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『いつ恋』のお母さんへの手紙 と「働くということ」

 


 今は、ドラマや映画も大量生産 大量消費 大量廃棄なので、1週間前に最終回の放送だった番組のことは もう話題にもならないかもしれない。でもこの『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』は、後々まで語り継がれるいいドラマだたっと思う。

 しかし営業的には、月9ドラマとしては史上最低の視聴率だったようですね。僕は第4話くらいから見始めたので、前半のストーリーはよくわかりません。視聴者からは「話が暗い」という声も少なくないようですが、「働く」ということをきちんと描いた、いいドラマだったと思います。

 たいていのドラマは 働くということが、大学のサークル活動みたいなノリの描き方だったり、あるいはスーパーマン的な活躍だったりね。それにこのドラマは 派手なBGMはなく、俳優たちのセリフだけのシーンが多かったのも、まるで舞台を見ているようでよかったですね。主人公(高良と有村ね)の演技だけで、見る人をくぎ付けにしていました。

 そして、最終回の、天国にいる母親への主人公の手紙も泣けましたねえ。「いつかつらいことがあったら、この手紙を読み返して きっと元気になれる」と思います。


お母さんに手紙を書くのは何年ぶりかな?
久しぶり、お母さん。音は27歳になりました。
とっても元気にしています。音は今、なんと東京に住んでる。

雪が谷大塚という坂の多い街で一階にラーメン屋さんのあるアパート。
今はずっと介護の仕事をしています。立派な資格も持っているんですよ。

休みくれとか、もっと給料くれとか思う。大変は大変。
でも「ありがとう」って言われると頑張って良かったなって思える。

努力って時々報われる。お金は溜まらない。でも、私には足りている。
ちょっとのいいことがあれば、夜寝る時に思い出せる。
やさしい気持ちになれる。寝て起きたら次の日が来る。
私には思い出が足りてる。

坂の上に立つとね、東京の夜の街を見渡せるの。
そこで会ったことがない人のことを想像するのが好きです。
今、鉄塔の下で女の子がマフラーを落とした。
パン屋の男の子が拾ってあげた。
「ありがとう」「気をつけて」

深夜の街を走り抜けていくバス。
後ろから3番目の席に座った、引っ越し屋さんと介護福祉士さん。
「お疲れ様でした。」「お疲れ様でした。」
この街にはたくさんの人たちが住んでるよ。

時々思うの。世の中ってきれいなものなのかな?恐いものなのかな?
混ざってるのかなって思った。だからきれいなものは探さないと見つからない。
そんなことを教えてくれた人がいた。

1人で見る景色と2人で見る景色は全然違ってたよ。
お母さんにお願いがあるの。私の恋もしまっておいてください。

私ね、お母さんの言う通り好きな人と出会えたよ。ちゃんと恋をしたよ。
6歳の私に教えてあげたい。
あなたはいつか1人じゃなくなるよ。その人はトラックに乗って現れる。

トラックの荷台にはたくさんの桃の缶詰が積んであって
飴をひとつあげるとバリバリと噛んで食べる。

恋をすると、楽しかったことは2倍になるよ。
悲しかったことは半分になるよ。
それまで待っててね。頑張って待っててねっ、て。
この恋は私の大切な思い出です。

お母さん、どうか、しまっておいてください。
大好きなお母さん。また手紙書くね。じゃあね
 
 
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (透明)
2021-01-26 20:26:27
初めまして。
このドラマを見たのは高校1年の時でとても衝撃と感動したのを今でも覚えています。田舎の女子高生でしたが卒業と共に東京に上京しましたが色々あり実家に帰ってきました。そしてなんだか久しぶりにこのドラマのことを思い出して、手紙の内容がどんなものだったかな?時になり調べた時にこのブログに出会いました。視聴率が悪かったものの私にとってはとても大切なドラマでした。なのでこの手紙の内容に再び出会わせてくれてありがとうございました。
私語りをしてしまいすみません。最近は寒いですがどうかご自愛ください。
 
 
 
丁寧なコメントありがとう (ku129)
2021-01-27 07:27:24
 透明さん、とても丁寧なコメントありがとうございます。

 確かに現実の生活の中には、いろんなことがあるけれど、それでも、人はみな、何かを支えにしながら、生きていってるのかもしれませんね。
 
 実はこの拙ブログのタイトル「努力は時々報われる」はこの音ちゃんの手紙からとりました。素直な心にしみる手紙だと思います。今でもたまに読み返しています。
 
 
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