OKANOの法則
写真を撮ろうとカメラを構えた途端、それまでずっと誰もいなかったのに突然人が現れ、ファインダーのなかに入ってくる。
突然現れたその人物は、たいていの場合、すぐに立ち去ることはなく、ずっとそこに居座る。
ようやくその人物が立ち去った時、写したいところに当たっていたいい光が当たらなくなっている。
もしくは、ようやくその人物が立ち去ったあと、すぐにまた別の人物がやってくる。
つつじ園
シャッターを押そうとした瞬間、ファインダーのなかで動いているものに気付いた。
それまで誰もいなかったのに、いつのまにか人が入っていた。
その人がいなくなって、再び一人きりになったと思ったのも束の間、一人のカメラマンがやってきた。
僕がいるのを無視するかのように、その辺をあっちでパチリ、こっちでパチリ。
レンズを望遠に替え、広角に替え、目の前を縦横無尽に、かつ延々と動き回っていた。
藤棚
カメラを構えていると、カメラマンがファインダーのなかに現れた。
やがて、彼はこちらに背中を向けて写真を撮り始めた。
そのまま同じ場所、同じ姿勢で十枚以上は撮っているだろうか。
一枚撮るごとに液晶モニターでじっくりと確認している。
カメラを構えた僕の姿は目に入っていたはずなのに。
彼が撮り終えるのを待っているうちに、僕が撮ろうとしていたポイントに公園管理の人が脚立に登って作業を始めてしまった。
牡丹芍薬園
牡丹は既にほぼ終わり。
わずかに残った花を撮る。
見頃を過ぎたせいか、カメラマンの姿はない。
落ち着く。