紅旗征戎

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黒人の民主党支持

2004-09-29 17:17:46 | 政治・外交
黒人はいつから民主党を支持するようになったのだろうか?これもよく質問を受ける事柄である。
 
1860年の大統領選挙で、現在の共和党対民主党の二大政党制が成立したが、この時の共和党大統領がリンカンで、共和党が奴隷制廃止を掲げ、北部都市の産業利益を代表し、民主党が奴隷制廃止に反対し、南部の農業利益を代表していた。しかしフランクリン・ローズベルト(民主党)が当選した1932年選挙では、ローズベルトは社会福祉や景気対策を全面に掲げ、都市労働者、黒人、カトリック、ユダヤ系を含む幅広い支持層(いわゆる「ニューディール連合」)を形成し、以後、黒人は民主党支持となり、1960年代にはケネディ、ジョンソン両民主党政権下で公民権政策・人種差別撤廃策が実現し、黒人の民主党支持は堅固になった。
 
しかしアメリカの政党は地方分権的で、以上のような全国民主党(連邦レベル)の動向とは別に、南部諸州では、南部民主党が人種差別や州権的な立場を維持して、州政府や州議会を支配し、また大統領選挙に独自候補を立てたりしていた。しかし1960年代以降になると、①全国民主党の公民権政策が南部の保守的白人の反発を買ったことや、②共和党が保守的政策を掲げて、南部にも進出したこと(ニクソンの「南部戦略」)、③「サンベルト」と呼ばれるように、南部都市でも経済発展が進んだことなどを背景に、南部でも共和党州知事や州議会議員が多数誕生するようになり、政党の地域格差がなくなり、全国的に二大政党制が成立するようになった。簡単に言えば、黒人は1932年以降、全国民主党の支持基盤となっていたが、1960年代までは南部民主党は支持していなかったということになる


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