アマゾン・プライム・ビデオで、マネー・ショートを見ました。公開されたときに日比谷あたりの映画館で見て以来です。
マネー・ショートは、リーマンショックに至るまでに、サブプライムローンに疑問を感じて動いた人々の話です。
2008年9月18日、埼玉県産学官交流プラザという中小製造業の異業種交流会の会長を務めていた私は製造業の経営者ではないけれど経営に役に立てる別の視点で情報を提供したいと、日本経済新聞の編集論説委員を講師にお願いしていました。破綻から数日、経済への影響は未知数でしたが、編集論説委員の方は駆け込んで約束の講演をしてくださった後、駆け足で帰って行かれました。
それから、定期的な会合に来られる経営者の方々は、顔を合わせるたびに階段を下るように面持ちが暗くなっていきました。(とはいえ、お会いしていた方々は、危機をもちこたえ現在も企業が存続しています)
当時の関与先が専門加工業で、客先の荷物を預かり加工をしていて、いつも加工対象物が在庫置き場からあふれていたのに、足を運ぶたびにどんどん在庫が少なくなっていく様は、怖くて辛いものでした。数か月前に4年続けてやっと成果が出てきてきた人材育成も、終わりになってしまいました。(こちらも、現在も堅実な経営を続けています)
さて、マネー・ショートを見たことで、関連するコンテンツとして、「リーマン・ブラザーズ最後の4日間」というイギリスBBCのドラマが紹介されました。緊迫する4日間、経営責任とは何だろうと改めて考えさせられる内容でした。
さらに、「しんがり」という山一證券の破綻に関するWOWOWのドラマが紹介されました。
私にとって、1997年11月は、中小企業診断士の2次試験に合格し、新しい扉が開き、そして、そのために走り始めたところでした。
自主廃業の涙の記者会見には強烈なイメージがありましたが、関心を持って調べることなどしないで過ごしてきました。
「しんがり」は、自主廃業の後、最後まで真相究明と清算業務を続けた社員たちの話です。
ドラマを見て、もっと本当のところを知りたいと思いました。
原作のノンフィクション、清武英利著「しんがり~山一証券最後の12人~」を手に取りました。
破綻までの道のりの、気持ちの悪くなる「簿外債務」隠し。
一方で自ら「社内調査」により破綻までの道のりを明らかにしようとする社員と無給の取締役。
責任逃れの旧経営陣と腐った組織と断じてしまえばそれまでのことだけれど、「社内調査」を担った常務取締役が経営陣であったことはどう考える?
さらに、本当のところを知りたくなり、「社内調査」に加わった、国広正弁護士の「修羅場の経営責任」を読みました。
「経営責任」という言葉の重さをさらに強く感じました。そして、義憤に駆られながらも、冷静に着実に真相に辿り着こうとする姿に、恐れ多くも自分の不器用さを重ねてしまいました。
なお、国広正弁護士のHPから、山一證券の社内報告書を見ることができます。
SDGs、企業倫理など、社会の中の人や組織として、責任をもった行動が強く求められています。
経営者責任とは何かを、改めて考えることができた数週間でした。
参考
各種配信サイトで見ることができます
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