タヌキとキツネと人間と(2)

2018-03-31 09:35:33 | 童話
別な暑い日に、森のタヌキがお寺の近くにあるお店にアイスクリームを買いにやって来て、アイスクリームの値段を調べました。
「1個108円か、キツネに1個あげるから、2個で216円だね。」
そして、タヌキはお店の外に出て、左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。
「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。」
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。こうして、タヌキとキツネは仲良く美味しいアイスクリームを食べました。

タヌキが
「もう1本食べたいね。」
というと、キツネが
「今度は僕が買ってくるよ。」
と言って、また左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。
「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。」
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。そして、キツネはタヌキの所に帰って、2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、2本のアイスクリームは木の枝になっていました。
キツネが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、タヌキが
「僕の時はちゃんとアイスクリームをくれたよ。」
と言いました。

タヌキとキツネは、
「今度は2匹で、もう一度アイスクリームを買いに行ってみようよ。」
「そうしようか。」
そして、今度は2匹がそれぞれ左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が1個と5円が1個と1円が3個になりました。
タヌキが、
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言い、キツネも
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言いました。
すると、お店の人が
「はいはい、ありがとうね。」
と言ってアイスクリームを1個ずつくれました。

そして、タヌキとキツネは2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、キツネのアイスクリームだけが木の枝になっていました。また、
キツネが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、タヌキが
「僕のはおいしいアイスクリームだよ。」
と言ってアイスクリームを食べました。
「どうして僕だけ人間に騙されるのかなあ?」
とキツネが言うと、
「どうしてかね?」
とタヌキが言いました。
しかし、なぜだか分かりません。