みんなの気持ち(窓の気持ち)(1)

2015-10-31 10:07:03 | 童話
僕は窓を開けて外を見るのが大好きです。
そして窓から外のみんなとお話しをします。

『窓さん、こんにちは。お外のみなさん、こんにちは。』
『やあ、また来てくれたね。ずっと待っていたんだよ。』
『窓さんは僕が来るとうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『今日は天気がいいからお外が良く見えるね。』
『そうだね。』
『今日のように天気がいい時は良いけれど、雨が降ると窓さんは濡れるからかわいそうだね。』
『ありがとう、君は優しいんだよね。だけれど、窓の私が雨や風が入って来ないようにしているから、みんなが濡れたり、寒かったり、暑かったりしないので、私はここに居て嬉しいんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

『ねえ、窓さんは、窓さん同士でお話しをするの?』
『ああ、窓はみんな仲良しだから、たくさんの家の窓さんとお話しをするよ。遠くに見えていてもお話しができるし、見えない窓さんとは耳でお話しをするんだよ。小さなささやくような音でも聞こえるんだよ。』
『ふぅ~ん、すごいんだね。』
『特に子供の居る家は、窓からも元気な声が聞こえてくるんだよ。だけれど、お年寄りだけの家の窓は静かだね。』
『お年寄りだけが住んでいる家からも大きな声が聞こえてくると良いね。』
『お年寄りだけの家からも子供の大きな声が聞こえてくる時が有るんだ。遠くに住んでいるお孫さんが来たんだと窓さんが教えてくれるんだ。』

『お孫さんが来るとみんなうれしいんだね。』
『ああ、他の窓のみんなもうれしいと言っているよ。』
『良かったね。』
『そうだね、良かったね。』

みんなの気持ち(クツの気持ち)(3)

2015-10-30 21:30:28 | 童話
『すみません、クツが載っている絵本は有りますか?』
『はい、ちょっと待ってね、調べるから。』

『それは何ですか?』
『これは図書館に有るたくさんの本を探す装置なのよ。』
『ふぅ~ん、すごいんだね。』

『やっと出てきたわ。「シンデレラ」や「こびとのくつや」や「くつやのねこ」という絵本が有るから案内してあげるからね。』
『はい、ありがとうございます。』
『ここに有るから見てね。』
『はい、ありがとうございます。』
『図書館の人は親切なんだね。』
『そうだね、親切だね。』

『よしっ、この「こびとのくつや」をイスの有る所へ持って行って、座って見ようよ。』
『この絵本はおもしろいので借りて帰って、おうちで見ようか。』
『えっ、借りて帰れるの?』
『そうだよ、このカードが有るからね。』
『さっき、図書館に入る時に使ったカードがそうなの?』
『そうだよ。借りる本とカードを一緒に係の人に渡すんだ。そうして借りる登録が終ると、本とカードを返してくれるんだ。そしてね、返す日までに図書館に持ってくるんだ。』
『ふぅ~ん、便利だね。』

『また電車に乗って帰るよ。』
『うんわかった。この絵本を図書館に返しに来る時に、また一緒に図書館に来られるね。』
『うん、また一緒にね。』
 
   おしまい


みんなの気持ち(クツの気持ち)(2)

2015-10-29 21:26:10 | 童話
『さあ、図書館のある駅に着いたよ。』
『今度はホームから駅の外は出る階段だよ。』
『いっぱい階段が有るんだね。』
『そうだね。』
『ほら、あそこが図書館だよ。』

『こんにちは、本を見に来ました。』
『はい、どうぞ。ここに図書館のカードを入れてね。』
『は~い。』
『ねえ、それはな~に?』
『これはね、図書館に入るためのカードだよ。お母さんが登録してくれたんだ。』
『ふ~ん、そうなんだ。』

『わあ~、いっぱい本が有るね。』
『今日は、どの本を見ようかな。』
『クツの本はないの?』
『探してみようか。う~んとね、「大きな株」や「あかずきんちゃん」や絵本の中の子はみんなクツを履いているけれど、クツだけを書いている絵本はないね。』
『そうだね。』
『有ったよ。サンタクロースの本の中にお菓子をいっぱい入れたクツがモミの木にぶら下がっているよ。』
『そうだね。だけれど本当のクツの本を探そうよ。』
『うん、いいよ。』
『なかなか見つからないね。そうだ。、図書館の人に聞いてみよう。』

みんなの気持ち(クツの気持ち)(1)

2015-10-28 16:51:56 | 童話
僕はこのクツが大好きです。
だからこのクツを履くとお話しをしたくなります。

『クツさん、おはよう。』
『おはよう、また履いてくれるのを待っていたよ。』
『クツさんは僕が履くとうれしい?』
『うん、すごくうれしいなあ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいなあ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『今日はどこへ行くの?』
『今日はね、図書館へ本を見に行くんだよ。図書館にはたくさんの本があって楽しいよ。』
『そう? 僕は初めてだから楽しみだなあ。』
『図書館はね、電車に乗って、二つ目の駅を下りたらすぐ近くにあるんだ。』
『うん、わかった。駅まで頑張って歩こう。』

『クツさん、駅に着いたから階段を登るよ。』
『あそこに駅のホームへ行くエレベーターが有るよ。』
『だめだよ、クツさん、子供は運動をしないといけないから階段を使うんだよ。』
『うん、わかった。階段を使おう。』
『あっ、僕の乗る電車が来たよ。お父さん達が会社へ行く時間ではないのでお客さんが少ないね。ここに座ろう。』
『うん、座れたね。』

『だけれど、お年寄りの人や、赤ちゃんを連れた人や、病気の人が乗ってきたら席を代わってあげないといけないんだよ。』
『そうなの?』
『そうだよ。』
『うん、わかった。』

『僕が席を代わってあげるとクツさんが席を代わってあげたことになるから大丈夫だよ。』
『そうだね。』

みんなの気持ち(飛行機の気持ち)(2)

2015-10-27 21:12:30 | 童話
僕が公園に着くと友達が待っていました。
『やあ、早いね。待った?』
『ううん、僕もさっき来たんだよ。その絵本はな~に?』
『僕の大事な飛行機の絵本だけれど、公園の飛行機に乗りたいんだって。』
『絵本が言ったの?』
『そうだよ。僕はこの絵本といつもお話しをしているんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

『絵本さん、公園の飛行機に乗るよ。』
『この飛行機は、僕の中に載っている飛行機より小さいんだね。』
『公園の飛行機さん、こんにちは。僕は大きな飛行機がいっぱい載っている絵本だよ。』
『うん、こんにちは。僕は昔、子供さんをたくさん遊覧飛行に連れて行ってあげたんだけれど、古くなったので、今はこの公園で子供達と遊んでいるんだ。』

『みんなと遊んでいて楽しい?』
『ああ、楽しいよ。』
『空を飛んでいる時と、こうして子供達と公園で遊んでいる時と、どっちが楽しいの?』
『う~ん、空を飛んでいる時は空を飛ぶのが楽しかったし、今はこの公園で子供達と遊んでいるのが楽しいよ。』
『さあ、みんなで飛行機に乗るよ。』

僕が『ぶ~ん。』
友達が『ぶ~ん。』
絵本が『ぶ~ん。』
そして、飛行機が『ぶ~ん。』

僕が、『わあ、楽しいなあ。』
友達が、『楽しいなあ。』
絵本が、『楽しいなあ。』
飛行機が、『楽しいなあ。』
              おしまい