真夜中のお話し仲間(1)

2021-10-29 10:15:08 | 写真
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
もう帰る時間なので、公園で遊んでいた男の子が、友達と別れて自転車で家に帰ってから自転車を物置に入れて家の中に入って行った。
『外から帰ったら、セッケンでよく手を洗いなさい。』
『はぁ~い。』

しばらくして、自転車を1台入れているだけの物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
その時、男の子が、自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを取りに来た。
『あれっ、誰かいるのかなぁ?』
男の子が物置の戸を開けると、急に静かになった。
『有った、有った。』
男の子は自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを持って、物置の戸を閉めて家の中に入って行った。
すると、また物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。

『今日は、僕が頑張って漕いであげたので、速く走れたんだよ。』
とペダル言うと、
『ちがうよ、僕がグラグラしないように頑張ったから速く走れたんだよ。』
とハンドルが言った。
『ちがうよ、僕が頑張って地面の上を転がってあげたから速く走れたんだよ。』
とタイヤが言った。
すると、ベルが
『危なかった時に僕が頑張って音を出したから、ぶつからないで速く走れたんだよ。』
と言った。

そして、ワイワイガヤガヤは夜通し続きました。

真夜中のお話し仲間(1)

2020-11-01 09:06:54 | 写真
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
もう帰る時間なので、公園で遊んでいた男の子が、友達と別れて自転車で家に帰ってから自転車を物置に入れて家の中に入って行った。
『外から帰ったら、セッケンでよく手を洗いなさい。』
『はぁ~い。』

しばらくして、自転車を1台入れているだけの物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
その時、男の子が、自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを取りに来た。
『あれっ、誰かいるのかなぁ?』
男の子が物置の戸を開けると、急に静かになった。
『有った、有った。』
男の子は自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを持って、物置の戸を閉めて家の中に入って行った。

すると、また物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
『今日は、僕が頑張って漕いであげたので、速く走れたんだよ。』
とペダル言うと、
『ちがうよ、僕がグラグラしないように頑張ったから速く走れたんだよ。』
とハンドルが言った。
『ちがうよ、僕が頑張って地面の上を転がってあげたから速く走れたんだよ。』
とタイヤが言った。
すると、ベルが
『危なかった時に僕が頑張って音を出したから、ぶつからないで速く走れたんだよ。』
と言った。

そして、ワイワイガヤガヤは夜通し続きました。

お~い、風く~ん、遊ぼうよ。

2020-09-30 07:15:53 | 写真
お~い、風く~ん、風く~ん、遊ぼうよ。あれ、返事が無いや。
 お~い、風く~ん、遊ぼうよ。
ビューとふいている風君、
 そよそよふいている風君。
南からふいている暖かい風君、
 北からふいている冷たい風君。

おやっ、この風君はいいにおいだなぁ。
 そうか、お花畑からふいている風君だ。
こんどは海のにおいがする、
 遠くの海からふいてきている風君だ。

あっ、風君いたずらしたらダメだよ、僕の帽子が飛んでいっちゃった。
 ころころころころ、ずいぶん遠くまで飛んでいっちゃった。
あれっ、遠い空にたこが浮かんでいる、
 そうか、高いところは風君がいっぱいふいているからだ。
よく見ると高い空にたこがいっぱいだ。
 風君が楽しそうに遊んでいるんだね。
こっちの風君がんばれ、あっちの風君もがんばれ。
 みんなみんな、がんばれがんばれ。

僕達の小さくて大きな森(4)

2020-02-04 06:47:00 | 写真
次の日、僕達の小さくて大きな森の盆栽を、おじいちゃんが大事にしている花壇の、一番奥の安全な場所に置いてあるのを見つけた。
『お~い、有ったよ、僕達の小さくて大きな森が。』
『本当だ、良かったね。』
『また、二人一緒に入って行くよ。』
『いいよ。』
また二人でエンピツを持って植木に近付いて行った。
『うわっ。』
『うわっ。』

僕達は森の中に入って行った。
しばらく歩いて行くと、多くの動物が集まっている広場に出た。
『みんなで何をやっているのかなぁ?』
『何をやっているのかね。』
『ゾウやキリンもいるし、カブトムシやクワガタもいるよ。』
『本当だ、チンパンジーやカピバラもいるよ。』

『やぁ、人間がやって来た。』
『みんなで何をやっているの?』
『相談しているんだよ。』
『みんな僕達とお話しができるの?』
『うん、みんなお話しができるよ。』
『みんなで何の相談をしていたの?』
『この森からの引越しを相談しているんだよ。』
『どうして引越しをするの?』
『この森はね、すごく年を取ったので、みんなで遠くへ引越しをするんだよ。この森が生まれ変わるのには永い時間がかかるので、それまでのあいだ、若い木も連れてみんな引越しするんだよ。』
『生まれ変わるのにはどれくらいの時間がかかるの?』
『何百年か何千年か分からないんだよ』
『ふぅ~ん。引越したら新しい森の場所を教えてね。』
『ああ、いいよ。』
『きっとだよ。』
『ああ、約束するよ。』

20センチの巨人(1)

2019-11-27 21:10:11 | 写真
『おはようございます。』
『ああ、おはよう。』
僕は毎日絵本の中の巨人とお話しをします。だけれど、巨人は絵本の中から出ることができませんし、僕も絵本の中に入ることもできません。
だから、巨人とジャンケンをすると巨人の手がグーチョキパーと動きますが巨人と手をつなぐことはできません。

ある日、友達とゲームをしている時に、ひろげていた巨人の本の上にサイコロが転がって行きましたが、僕がサイコロを取ろうとした時にサイコロが本の中に入ってしまいました。
その時、本の中の巨人が
『お~い、サイコロが入ってきたよ。ほれっ。』
と言ってサイコロを本の中から投げ返してくれました。

『ありがとうございます。』
僕は巨人にお礼を言いましたが、なぜサイコロが本の中に入ることができたのか、なぜ巨人がサイコロを投げ返してくれることができたのか分かりません。
サイコロの代わりに消しゴムを本の上に置きましたが、消しゴムは本の中には入って行きませんでした。
『本の中の巨人さん、消しゴムを取ってみてよ。』
『そんな高い所にある消しゴムには手が届かないよ。』
『さっきはサイコロを投げ返してくれたでしょ。』
『サイコロはわしの手に落ちてきたから投げ返せたんだよ。』
『ふ~ん、そうなんだ。それでは、今度はど~お?』
僕は消しゴムを本の上にポトンと落としてみました。
『ああ、消しゴムが届いたよ。ほれっ。』
と言って消しゴムを投げ返してくれました。
『置くのではなく、ポンと落とすといいんだね。』