夢のおじさん(3)

2018-03-22 06:54:56 | 童話
僕は次の日も、夢を見る前に夢のおじさんに会いました。
『やあ、また来たね。昨日の夢は楽しかったかい? 今日の夢は二つしかないんだよ。一つ目は、お父さんやお母さんと旅行する夢で、もう一つは、学校で勉強する夢だよ。』
『僕の飼っているポチとお話しする夢は、楽しかったよ。だけれど、今日は無いの?』
『残念だけれど、今日はその夢は無いんだよ。』
『それでは、学校で勉強する夢がいいなあ。お父さんとお母さんと一緒に旅行するのは、来月本当に行くんだよ。』
『それでは、二番の階段を上がって行くんだよ。』
『夢のおじさんありがとう、行ってくるね。』
『ああ、気を付けて行きな。』
『バイバイ。』

そして、僕は白い霧みたいな中の階段を上がって行くと学校が見えてきて、たくさんの友達が教室の中で手を振っていました。
『やあ、みんなも夢のおじさんに教えてもらって来たの?』
『そうだよ。』
『ええ、そうよ。夢のおじさんに教えてもらったのよ。』
『あそこに居る先生は、知らない先生だね。』
『あの先生はずっと夢の中にいるんだって。』
『ふぅ~ん、僕達みたいに夢が終わる時に夢から出ないんだ。』
『そうなんだって。』

『だけれど、いつも勉強を教えてくれている先生が誰もいないね。』
『この学校には先生はいないんだよ。』
『どうして先生がいないの?』
『この学校はみんなで考えて、みんなで教えるんだよ。』
『面白い学校だね。だけれど通信簿は誰がつけるの?』
『通信簿は無いよ。』
『それだと成績が上がったのか下がったのか分らないね。』
『みんなで考えて、みんなで教えるから、みんな同じ成績になるんだよ。』
『宿題は有るの?』
『無いよ。学校にいる時にいっぱい勉強をするから、学校が終ったら一生懸命に遊ぶんだよ。』
『楽しそうだね。』
『そうだよ、楽しいよ。だから、次の夢もこの学校で勉強をする夢にするんだ。』
『そうだね、僕もこの学校の夢にするね。』
『そうだね、みんなこの学校の夢にしようよ。』

そして、みんなで何を勉強するのか決めて、その勉強には何を調べないといけないのかを、みんなで話し合い、みんなで決めた勉強を楽しくしました。
『あっ、もう起きないといけない時間になったから帰るね。』
『僕も帰る。』
『私も帰る。』
そして、みんなが帰って、この学校にずっといる先生一人になりました。