僕の元気君(3)

2019-04-30 04:39:30 | 童話
しばらくしてから友達が遊びにきた。
『僕にも元気君が来たよ。今はね、消しゴムになっているんだ。』
『本当だ、消しゴムが動いている。』
『昨日は鉛筆だったけれど、やっぱり動いていたよ。』
『僕の元気君は消しゴムの時は、お話しはしていたけれど、動かなかったよ。えっ元気君、動けるの、なんだ動けるのか。』

『明日、二人の元気君に自転車になってもらって、二人で公園へ行こうか。』
『ああ、いいね。』
『元気君にカッコいいマウンテンバイクになってもらおう。』
『僕もマウンテンバイクがいいな。』
『じゃ、明日ね、バイバイ。』
『バイバイ。』

次の日、僕の元気君は赤い色に青色のラインの入ったカッコいいマウンテンバイクになっていた。
『わぁ、カッコいいなぁ。』
公園に行くと友達は、黄色に赤いラインの入ったマウンテンバイクに乗ってきていた。
二人は自分のマウンテンバイクを自慢したが、お互いのマウンテンバイクをカッコいいと思った。

僕の元気君(2)

2019-04-29 09:29:06 | 童話
それから、昨日、隣りの男の子が転んで足を擦りむいたので、元気君が行ってバンソウコウになっていたんだ。
だけど、すぐ良くなったので、今日帰って来たんだ。

『元気君はすごいんだね。』
元気君は勉強も教えてくれるよ。勉強を教える時は先生に変わるんだ。
『ふぅ~ん。元気君は今どこに居るの?』
今はね、う~んとね、居ないね。
『僕はもう帰るから、元気君が来たら教えて。』
ああっ、いいよ。

なんだ元気君、そこに居たの。友達が会いたいと言っていたけれど、会えないのかなぁ。
えっ、会っても見えないし、声も聞こえないの。やっぱり友達には見えないのか、残念だなぁ。
君は僕だけの元気君だから他の人には会っていても、見えないし声も聞こえないのだね。
見えるようになるのには、どうすればいいのかなあ。

そうだ、友達も友達だけの元気君ができるすればいいんだ。それにはどうすればいいの?
ふぅ~ん、学校での勉強や宿題をちゃんとやるだけじゃなくて、年寄りや小さい子に親切にしていると元気君が来るんだね。
そうだね、元気君が僕の所に来るようになる前に、僕は年寄りの人に電車の座席を代わってあげたし、迷子の子を交番に連れて行ってあげたし、妹が転んでケガをした時に薬を塗ってバンソウコウを付けてあげたりしたね。

でも、みんなやっている事じゃないのかなぁ。
そうか、1回だけではなく、いつも、ずっとやっていないといけないんだね。
僕は電車やバスの中ではいつも席を代わってあげているよ。よしっ、友達に教えてあげよう。友達にも元気君が来るといいんだけれどね。

だけど、友達の所に元気君が来たら、僕の元気君はどうなるの?
そうか、友達の元気君と僕の元気君とは別なんだね。元気君は何人くらい居るの?
そうか、数えきれないくらい居るのか。

元気君はいつまで僕の所に居ることかできるの?えっ、小学6年生までなの、もって永く一緒に居られないの?
そうか、元気君はたくさん居ても、子供の方がもっとたくさん居るから、次の子供の所へ行かないといけないんだね。
それでは後2年、僕と一緒に居られるね。

えっ、僕が悪い子になると元気君は直ぐ居なくなってしまうの?
そんなのイヤだよ。良い子にしているから居なくなったらダメだよ。約束の指きりだよ。

僕の元気君(1)

2019-04-28 07:54:40 | 童話
僕の元気君は、今はハムスターだけれど、昨日はカピバラだった。
『どうして変わるのか?』だって、
あのね、元気君は、僕が友達でいて欲しいものに何にでもなってくれるんだ。自転車だったこともあるよ。明日は滑り台がいいかなぁ。

『どうして僕には元気君が居るのか?』だって、
それはね、僕が元気君を大事にしているからだよ。

『元気君はどこからきたのか?』だって、
遠い所から来たらしいけれど、僕の知らない所らしいんだ。

『元気君はお話しするのか?』だって、
僕と居る時だけ、お話しをするよ。

『元気君を見たい。』だって、
お父さんもお母さんも見えないらしいから、君も見えないと思うよ。

『元気君はずっと一緒に居るのか?』だって、
いつも僕の所に居るけれど、時々元気の無い子の所へ行くんだ。
先月は病気で入院している女の子の所へずっと行っていたよ。
『その女の子は元気になったの?』うん、元気になって退院したから、また僕の所に帰って来たんだ。

『その女の子の所に居る時は、何になっていたのか?』だって、
最初は絵本になって、女の子のお母さんに読んでもらっていて、元気になり始めてからは上履きになって、足を優しく包んでいたんだって。

僕の背中(3)

2019-04-27 07:38:40 | 童話
妹が
『ガンバレ、ガンバレ。』
と言って応援をしてくれた。
そして、お父さんが、
『だいぶ高く上げられるようになったから時間を計ろうか?』
と言った。僕はなんだか速く走れるような気がした。
『よ~いドン。』
僕は前より、もっとヒザを高く上げるようにして思い切って走った。
お父さんが
『ああ、いいよ。さっきより5秒も速くなったよ。』
僕は嬉しかった。

それから僕は学校にいる時も、家に帰って宿題が終った時も、一生懸命に練習をした。
そして、学校の体育の時間に徒競走があって僕が走る番になった。
『よ~いドン。』
僕は練習どおりヒザを高く上げて走った。
そのとき僕は5人で走って3番目になった。
僕の背中を見ながら走っている友達が2人いたのだ。

僕は夕ご飯の時にみんなに、5人で走って3番になった事を話した。
お母さんは
『すごいわね。』
と言って喜んでくれた。
だけれどお父さんは
『まだ前に2人いるからガンバレ。』
と言って励ましてくれた。
僕は
『うん、あと2人だね、がんばるよ。』
といってうなずいた。

そして、楽しみにしていた運動会がやってきて、僕達の徒競走の順番となった。
僕はヒザを高く上げて走り、2番となった。
1番の友達はすごく速いので追い越す事ができなかったのだ。
だけれど、僕は1番になるために毎日毎日練習を続けている。

     おしまい

僕の背中(2)

2019-04-26 06:38:53 | 童話
僕は自動車に聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『エンジンの回転を多くするとスピードがでるんだよ。』
『だめだよ、僕にはエンジンが付いていないよ。』

夕ご飯の時に、僕はお父さんに聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『前にテレビでやっていたけれど、ヒザを高く蹴り上げるようにするといいんだと言っていたよ。一緒に練習をしようか?』
『うん、楽しみだなぁ。』

僕はお父さんと公園に来て練習を始めた。
そして、お父さんが腕時計で測った。
『まだダメだよ、もっと高くヒザを上げて走らない。』
『だめだよ、上手くできないよ。』
『そんな事を言っていたら、いつまで経って速く走れないよ。』
『うん、わかった。』
『今度は走らないで、ヒザを高く上げる練習をしよう。ほら、右、左、右、左。よしっ、その調子だ、右、左、右、左。だいぶ高く上げるようになってきたよ。』
『うん。』
『ちょっと休憩しようか。』
僕はお父さんからもらったお金でジュースを買った。冷たくておいしかった。

そこにお母さんと妹がやって来た。
お母さんはお父さんから僕が頑張っている事を聞いて
『偉いわね。』
と喜んだ。
お父さんが
『今度は走ってみよう。』
『うん、頑張るから見ていてね。』
僕は思いっきりヒザを上げるように注意をして走った。
最初はうまくヒザを高く上げる事ができなかったが、だんだんできるようになってきたのが自分でもわかるようになってきた。