カピバラさんの2泊3日(2)

2017-07-31 21:18:54 | 童話
お父さんの『出発するから起きなさい。』の声に起こされたが、外はまだ真っ暗です。
僕たちは、リュックの中から水筒を取り出し、水を入れて再び水筒をリュックに詰込んだ。
そして、みんな頭とお尻に懐中電灯を付けて、暗い道を歩き始めました。
僕たちカピバラは、飼い主さんと一緒でなければ電車に乗れないので仕方ないのです。
飼い主さんと一緒でも、カートの大きさ制限が、長さ七十センチ以内で、タテ・ヨコ・高さの合計が九十センチ程度には、お父さんやお母さんは入らないので仕方がないのです。

お父さんが先頭で、次がお姉ちゃん、そして僕、最後がお母さんで、一列になって道路の右側を歩いていきました。広い道路なので、前から大きな車が沢山来て少し怖かったです。
暫くすると太陽が出てきて明るくなり、僕たちは道路の横の草むらで懐中電灯をはずし、リュックを下して休憩しました。みんなの背中は汗でビッショリになっていました。その草むらには美味しい草がいっぱい生えていたのでリュックの中の干し草は食べませんでした。
1時間ほどして、僕たちは懐中電灯をリュックにしまい、そのリュックをまた背負って歩き始めました。
しかし、今度は日が照っていて暑いので、一時間ごとに休憩をして、リュックの水を飲みましたが、その水は、すごく美味しかったです。
そして、お昼になって野菜を食べることにしました。

僕は『ニンジンにしようかなぁ、それともキュウリにしようかなぁ。』と考えていると、お姉ちゃんが、『両方を半分ずつ食べればいいのよ。』と言いました。よく見ると、お父さんとお母さんも半分ずつ食べていました。そして、食後の休憩をしている時に、前から来た自動車が止まり、小さな男の子が窓から顔を出して『何処へ行くの?』と聞きました。
僕は『田舎の友達の所へ行くんだ。』と言ってバイバイしました。

カピバラさんの2泊3日(1)

2017-07-30 11:01:09 | 童話
僕はカピバラです。両親とお姉ちゃんと4匹で住んでいます。
僕たちはお風呂が大好きです。美味しい草をモシャモシャモシャと食べた後のお風呂が一番好きです。
お風呂の中でボ~としていると気持ち良くて、眠くなってしまいます。
そして、お風呂から出た時に飲む牛乳は最高のご馳走です。

こんな楽しい毎日を過ごしている時、お父さんが
『向うの角に住んでいたカピバラさんから手紙が来たよ。飼い主さんが定年で田舎へ引越し、みんなも一緒に広い土地の広い家に住んでいるらしいよ。』
お母さんは
『あらっ、素敵ね。』
『手紙の中に、是非、遊びに来て下さい、と書いてあるよ。』
『あらっ、いいわね。みんなで行きましょうよ。
『そうだね、飼い主さんに聞いて見ようか?』
『ええ、お願い。』

そして、お父さんが飼い主さんんとお話しをして、3日間のお出かけの了解を貰ってきました。
そして、飼い主さんから帽子とリュックと懐中電灯を貰ってきたのです。
帽子には「私たちカピバラは旅行中です。」と書かれていました。
リュックは前足と後ろ足が入る様になっていて背負える物です。
また、懐中電灯は、頭用とお尻用の2個ずつ有りました。
僕とお姉ちゃんは両手でハイタッチをして喜んだ。
お父さんが、
『明日は朝早く出かけるから、今の内に出かける用意をしなさい。』
と言いました。
僕たちは、お水を入れる水筒と、ニンジンやキュウリの野菜と、干し草をリュックに詰込んで今夜は早く寝ました。

なぜだろう(3)

2017-07-29 09:13:52 | 童話
今度は外のお花でやってみようよ。」
「そうだね、公園へ行ってみようよ。」
「そうしよう。」
「公園のお花さん、お話しできますか?」
「ああ、できるよ。ここで君達が来るのを待っていたよ。」
「公園のお花もお話しができるんだ。」
「ねえお花さん、大人はなぜ君達とお話しができないの?」
「大人の人も子供の頃は、僕達お花とお話しができたんだけれど、大きくなったからお話しができなくなったんだよ。」
「ふぅ~ん、そうなんだ。だけれど、大人の人はそれを知らないの?」
「みんな大きくなると忘れるんだよ。」
「そうなのか。」
「僕達も大きくなったら忘れるのかなぁ。」
「そうだよ、忘れるよ。」
「いやだけれど仕方ないのかな。」
「じゃ、今の内にみんなでいっぱいお話しをしようよ。」
「そうだね。だからいっぱいお話しをしようね。」

「おはよう。学校へいってくるよ。あれっ、玄関の花がしゃべらないや。僕はもう大きくなったのかな。友達の所のお花も、昨日お話しをしなかったと言っていたね。」
「やぁ、おはよう。君んちのお花はお話しをしなくなったの?」
「なぁ~に、お花がお話しをするハズがないじゃないか。」
「えっ、昨日までお花との話しをしていたじゃないか。」
「僕は知らないよ。」
「僕も明日になると、お花とのお話しを忘れてしまうのかなぁ。」

そして次の日、僕もお花とのお話しを忘れてしまった。だけれど、僕の妹はお花とお話しをしていると言っている。
             
おしまい

なぜだろう(2)

2017-07-28 21:31:38 | 童話
電車に乗っていると、窓に映った僕が話しかけてくる。
「気を付けていないと、電車が揺れた時に転ぶよ。」
「うん、わかった。」
どうしてみんなが話しかけてくるのだろうか?
何時ごろから話しかけてくるようになったのだろうか?

夏休みのある日の夕立で、近くの大きな杉の木に雷が落ちた事が有る。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ピカッ、ドド~ン。
「ビックリしたね。」
僕がおもわずつぶやいた時に、部屋の中に置いて有るサボテンが
「そうだね、ビックリしたね。」と返事をした。
「えっ、だれ?」
「僕だよ。サボテンだよ。」
「サボテン君はしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるけれど、今迄黙っていたんだよ。」
「君以外にしゃべれる植物がいるの?」
「みんなしゃべれるよ。」
僕は玄関に飾っている花瓶の花に話しかけた。
「君もしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるよ。」
「机の僕もしゃべれるよ。」
「テーブルの私もしゃべれるわよ。」
「植物以外もしゃべれるんだ。」
「犬や猫もしゃべれるよ。」
「わぁ、楽しいなぁ。みんなでお話しをしようよ。」
「ワイワイ、ガヤガヤ。」
僕以外にも、みんなとお話しができる子がいるのかなぁ?

僕は友達に聞いてみた。
「ねぇ、君んちのお花やテーブルは話をするの? 僕んちのお花やテーブルはお話しをするんだよ。」
「うん、お話しするよ。」
「いつから?」
「この前の雷が落ちた時からだよ。」
「ふぅ~ん。僕んちと同じだね。」
「そうだね。」
「どうしてなのかなぁ。」
「どうしてなのかね。」
「だれかに聞いてみようか?」

「ねぇお母さん お花やテーブルはしゃべれるの?」
「えっ、人間じゃないのに、しゃべれるハズが無いでしょ。」
「僕んちのお花やテーブルもお話しするよ。」
「そう、不思議ね。」
「どうしてなのかなぁ?」
「お母さんも分からないわ。」

「ねぇお母さん、このテーブルとお話しをしてみて。」
「もしもしテーブルさん、お話しができますか?」
「僕には話しかけるのに、お母さんには返事しないね。」
「そうだね。今度はお花に話しかけてよ。」
「お花さん、お花さん、返事をしてね。」
「やっぱり大人には話しかけないんだ。」
「そうだね。」

なぜだろう(1)

2017-07-27 21:19:43 | 童話
「おはよう。忘れ物は無~い? 教科書とノートは全部持ったの? 宿題のプリントも持ったの?」
「おはよう。全部持ったよ。」

僕に毎朝、玄関の花瓶の花が話し掛けてくる。
「おかえり。学校は今日も楽しかった? 宿題は有るの?」
「ただいま。宿題はね、プリントが2枚だよ。」
僕は玄関の花瓶の花に話し掛ける。

僕が宿題をしていると、机が話しかけてくる。
「今日も学校で頑張ったね。」
「うん、勉強も運動会の練習も頑張ったよ。」
「宿題が終ったらどこへ行くの?」
「友達とグラウンドで野球をするんだよ。」
「ケガをしないでね。」
「うん、わかったよ。」
「宿題が終ったからグラウンドへ行ってくるからね。」
「行ってらっしゃい。」
僕は机に行ってきますを言ってグラウンドへ向った。

家に帰って手を洗っていると、水道の蛇口から声が聞こえる。
「今日も楽しかった? せっけんをよく付けてゴシゴシと洗ってね。」
「うん、わかった。」

お母さんが用意してくれていたオヤツのケーキを食べようとするとフォークが話しかけてくる。
「今日のケーキはね、高いケーキだから特別おいしいよ。」
「そうだね、いつものケーキよりおいしいね。」
「終ったら片付けてね。」
「うん、わかった。」

「これから、どこへ行くの?」
「これからお母さんとお買い物に行くんだよ。」
「何を買いに行くの?」
「スニーカーを買ってもらうんだよ。」
「カッコいいのを買ってもらうの?」
「ううん、普通のだよ。走りやすいのがいいんだ。」
「お母さんが来たよ、行ってらっしゃい。」
「うん、行ってくるからね。」