僕の顔のクラス会(1)

2015-11-30 21:50:13 | 童話
僕の目と鼻と口と耳がお話しをしています。

みんなで、みんなで、お話しをしています。

みんなが、まぁ~るく座って、お話しをしています。

その丸く座った真ん中には鼻が座っています。

ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤとお話しが続きます。
朝から寝るまで、お話しが続きます。

口が言いました。
『朝に食べた卵焼きがおいしかったよ。』

そして鼻が、
『うん、良いにおいだったね。』

今度は目が、
『そうだね、良い色だったね。』

しかし、耳は
『卵焼きは軟らかで、食べている時に音がしなかったから、僕は分らなかったよ。』

と言いました。

僕の順番(4)

2015-11-29 10:21:43 | 童話
滝が終ると川幅が広くなり、ゆっくりと進んで行きました。

広い河原ではたくさんの人がキャンプをしているのが見えます。

そして木の船をさおで押しながら進んで行く遊覧船が見えます。

僕はゆっくりゆっくりと何日もかかって川を下って行きました。

ずっと進んで行くと、大きな橋がいくつも見えてきました。

そして、目の前が広くなり、大きな船がたくさん停泊している所に来ました。
『あっ、塩辛い。海だ海だ。もう川は終ったんだ』

僕は、また海に帰って来たのです。

僕は、しばらくすると、また水蒸気になって空へ行き、雲になってから雨になり、川から海に戻って来るのです。

だから、家や森や山や大きな木や小さな木やお魚さんや大きな岩や滝やキャンプをしている人や遊覧船のみんな、もうすぐ、また行くから待って居てね。

おしまい

僕の順番(3)

2015-11-28 11:59:06 | 童話
そして、葉っぱから落ちた僕は、小川に流れ込んで行き、やがて、僕は川の水になって、みんなで小川を下流へ進んで行きました。

『やあ、魚さんがいっぱいだ。』

僕達はたくさん集まったので川が段々広くなり、流れが速くなりました。

大きな岩がいっぱい有る所では、あっちこっちの岩にぶつかりながら進んで行きました。

右の岩にドスン。
今度は左の岩にドスン。
次から次からぶつかりながら進んで行きました。

そして、急に前が何も無くなり、勢いよく下に落ちて行きました。

『あっ、これは滝だ。』

一番下の滝壷に落ちて行き、上か下か分らなくなりました。
『ブクブクブク。』

僕は滝壷の中で一回転してから上に上がって来ました。
『ブァ。』

僕の順番(2)

2015-11-27 21:46:14 | 童話
高い空を、ゆっくり、ゆっくりと、風に押されて流れて行きます。

『ここからは、家や森や山がよく見えるなあ。
あそこの道路は自動車がいっぱい走っている。
さっきまで居た海もよく見えるなあ。』

そして、僕はどんどんと空の高い所に上がって行きました。

『あっ、寒くなってきた。高い空は寒いんだね。』

僕達は寒いので、みんなでくっ付きました。

『あっ、下へ下り始めた。』

僕は空から降ってくる雨になったのです。
たくさんの友達と一緒に降っています。
いつもは小さい粒で下に下りて行きますが、台風の時や夕立の時は、たくさんの友達と手をつないで大きな粒となって一緒に降ってくるので、ザーザーと大きな音がします。

大きな木の葉っぱにザーザーザー、大きな木の下の小さな木の葉っぱにポツポツポツ。

僕の順番(1)

2015-11-26 21:27:34 | 童話
僕は今、海の中の水になっています。

小さな波や大きな波となって、ゆ~らゆら、ゆ~らゆら、と上下しています。

そして、すぐ近くを船が進んで行くと、大きな波がザブ~ンと来て、僕は大きく飛び上がり、ドスンと落ちます。

海の中にはたくさんのお魚がいて、みんなで楽しそうに泳いでいます。

だけれど、ヒトデは泳げないので、海底をゆっくり、ゆっくりと歩いています。

僕は海岸に来て、砂浜に向って、ザブーン、ザブーン、と進みました。

小さな子供の右足をザブーン、今度は左足をザブーン、そして、お尻をザブーン。

ずっと暖かい場所に居たので、僕は蒸発して、小さな、小さな水の粒の水蒸気になったのです。

そして、空気と一緒に、どんどんと高い空に上がって行きました。

そして、みんなで手をつないで大きな雲になりました。