夢の交換(4)

2020-02-29 07:53:00 | 童話
ある日、僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませました。
そして、友達はクワガタを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませて学校へ持って来て交換することにしました。

夢の入ったゴム風船は、白くてフアフアしているので、夢を持って行く時は、ゴム風船が割れないように大事に持って行きました。
僕のカブトムシも友達のクワガタも大きくてかっこよかったので、夜に夢を見るのが楽しみです。
僕も友達も、夢の入ったゴム風船を大事に家に持って帰りました。
胸のポケットにゴム風船を大事にしまって布団の中に入りました。
『楽しみだなあ。』
そして、僕は友達が見たクワガタを捕まえた夢を見ました。
大きくてカッコいいクワガタ でした。

夢の交換(3)

2020-02-28 06:29:43 | 童話
ある日、また僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、起きた時に夢を入れるペットボトルの蓋を開けて「夢っ!」と言って蓋を閉めました。
次の朝、夢を入れたペットボトルを学校へ持って行って友達にあげました。
すると、友達もキャンプに行った夢をペットボトルに入れて僕にくれました。
そして、二人とも家で寝る時に蓋を開けて「夢っ!」と言って寝ました。
だけれど、二人ともペットボトルの中の夢は見ませんでした。

『夢を見なかったね。』
『そうだね。』
『何に入れればいいのか考えてみようよ。』
『それじゃ、ゴム風船だとどうかなあ?』
『ビンより良いんじゃないかなあ?』
『よしっ、やってみようよ。だけれど、どうやって夢を入れるの?』
『夢を見た朝に「夢っ!」と言った後でゴム風船を膨らませるといいと思うよ。』
『うん、分かった。今度はうまくいくよね。だけれど、ゴム風船の中の夢を見る時はどうするの?』
『ゴム風船は結んでいる所をほどいたら夢がすぐ外へ出てしまうよ。』
『そうだね、すぐ出てしまうね。』
『よしっ、夢の入ったゴム風船はパジャマのポケットに入れて寝ようよ。』
『そうだね、きっとうまくいくよね。』
そして、僕も友達も夢を見るのを楽しみにしていました。

夢の交換(2)

2020-02-27 06:38:30 | 童話
僕も友達もしばらく夢を見ないか、起きた時に夢の内容を覚えていなかったので、夢を入れることができませんでした。

ある日、僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、起きた時に夢を入れるビンの蓋を開けて「夢っ!」と言ってビンの蓋を閉めました。
そして、夢を入れたビンを学校の持って行って友達にあげました。
『ありがとう。だけれど、どうやって夢を見るの?』
『寝る時に、ビンの蓋を開けて「夢っ!」と言って寝るといいんだと思うよ。』
『うん、やってみるよ。』

次の日、友達は
『言われたとおりやったんだけれど、夢は見なかったよ。』
と言いました。
『夢の入れ物はビンだとダメなのかなあ?』
『ビンはダメなんじゃないかなあ?』
『よしっ、今度はジュースの入っていたペットボトルに入れてみようよ。』
『そうだね、ペットボトルならきっと大丈夫だよ。』
『うん、ペットボトルならきっとうまくいくよ。』

夢の交換(1)

2020-02-26 06:51:25 | 童話
僕は学校で昨日見た夢を友達に教えてあげることがあります。
旅行に行った夢、飼っている動物とお話しをした夢、友達と遊んだ夢、大きなカブトムシやクワガタと遊んだ夢、そのほか楽しい夢がいっぱいあります。
そして、友達もたくさんの楽しい夢を見ますが、僕しか知らない夢や、友達しか知らない夢がいっぱい有るので、僕は友達と夢を交換する方法を相談しました。

『僕の見た夢を、何かの入れ物に入れて持って来ることができるといいんだけれどね。』
『そうだね。どんな入れ物だと夢が入れられるのかなあ?』
『キャンディーが入っていたビンに入るかなあ?』
『うん、やってみようよ。』
『だけれど、どうやって夢をビンの中に入れるの?』
『夢を見た朝に、ビンの入口に向って「夢っ!」と言ってビンの蓋を閉めたらどうかなあ?』
『いい考えだね。やってみようよ。』
『今度、夢を見たらやってみようね。』

虹の階段(2)

2020-02-25 06:31:53 | 童話
やがて、僕達は階段ではなく平らな所に着いた。虹の真上に着いたのだ。
『高い所から見るときれいだね。』
『そうだね、きれいだね。』
『なんだか泳げそうだね。』
『そうだね、泳いでみようよ。』
『うわっ、楽しいなあ。』
『すごく楽しいね。』

泳いで行くと体育館で使うマットが敷いてあり、ハムスターが平均台を渡っていた。
もっと泳いで行くと、今度は下り坂になったので、僕達は滑り台のように滑って下りた。
『泳ぐよりもっとたのしいね。』

僕達は滑り台の終点となったので立ち上がって周りを見たが全然知らない所だった。
『知らない所に来たね。もう一度虹を上がって元の場所に戻ろうか?』
『そうだね、戻ろう。』
しかし、僕達が振り返ったが虹は消えて無くなっていた。
仕方なく、僕達は近くにある交番へ行き、帰り道を教えてもらった。

『ただいま。』
僕が家に帰るとお母さんが
『遅かったわね。』
と言って、半分に切ったおまんじゅうをおやつに出してくれた。
テーブルの上にはお母さんがバレーの本を置いて有った。
そして、僕の飼っているハムスターが棒の上を渡っていた。

お母さんが
『あんたの服がキラキラと光っているけれど、どうしたの?』
と聞いたので、僕は
『虹の中を通って来たんだよ。』
と言うと
『あらすてきね、昔から虹の中を通ると良い事が有ると言われているのよ。』
と教えてくれた。
僕は虹の中にいたことを絵日記に書いて、また虹が出るのを楽しみに待っている。

    おしまい