カピバラさんの2泊3日(9)

2015-07-31 23:23:56 | 童話
そして、お父さんが玄関のチャイムを鳴らすと、
『あらっ、よく来たわね。』
とカピバラの飼い主さんのおばさんが迎えてくれました。

もう日が沈みかけて、少し暗くなりかけていたのです。

『疲れただろうから中に入ってくつろいで。』
と言って藁を敷いた箱をすすめてくれました。
その箱は僕達家族全員が入るのに丁度良い大きさでした。

この家で大事に育てられているカピバラが、自分達の箱を持ってきて隣りに置きました。
その箱も柔らかい藁が敷いてありました。

『これでみんなで遅くまでお話しができるね。』
とお姉ちゃんが言ったが、お父さんが
『今日は疲れたから早く寝るよ。』
と言って、夕食の後、お風呂に入りました。

お風呂はいつ入っても気持ち良く、ウトウトとしてしまいます。

僕達家族全員で風呂上りの牛乳を飲んだのですが、
『美味しいねぇ、お姉ちゃん。』
『うん、美味しいね。』
お父さんも『風呂上りの牛乳は、本当に美味しいね。』、
お母さんも『そうね、幸せね。』と言って目を細めていました。

この家のカピバラは両親と男の子の3匹で、子供は僕と同い年です。

僕はその子と遊びたかったのですが、お父さんの言う通り早く寝ました。

カピバラさんの2泊3日(8)

2015-07-30 21:33:39 | 童話
『有った、大きな杉の木だ。』
お父さんが言ったので、みんなで立ち止まって大きな杉の木を見ました。
『あの木の所にある家ね。』
『きっとそうだよ。』

僕はみんなに会いたくて駆け出しました。

お父さんが
『そんなに走ると危ないよ。』
と言ったが僕は全力で走って行きました。

その時、石につまずいて転んでしまいました。

『だから危ないって言われたでしょ。』

僕は背中から落ちたリュックをもう一度背負いました。

『みんなで一緒に行くよ。』
とお父さんが言って、またお父さんを先頭に一列になって歩きました。

カピバラさんの2泊3日(7)

2015-07-29 22:55:41 | 童話
その時、遠くで『キュルル、キュルル。』という声が聞こえました。

お父さんとお母さんが、『キュルル、キュルル。』そして、お姉ちゃんも、『キュルル、キュルル。』みんなで僕を探しているんだ。

僕は男の子に『僕は友達の家に行くところなんだよ、もう行くからね。』と言って、お父さんやお母さんに向って『キュルル、キュルル。』と鳴きました。

僕は急いで皆の所に戻った時に、お父さんからお尻をポカリとたたかれました。
『道草をしたらダメじゃないか。』
『ごめんなさい。』

そして、またみんなで歩き始めました。

みんなで元気を出して森の入口の大きな杉の木を目指して歩いたのです。

カピバラさんの2泊3日(6)

2015-07-28 21:29:50 | 童話
僕たちはここで最後の休憩をして、水筒のお水を飲みました。
そして、十分ほど休憩した後で歩き始めました。

僕が
『もうじきみんなに会えるね。』
と言うと、お母さんが
『そうよ、みんな頑張ったわね。』
と言って、僕とお姉ちゃんに声をかけてくれました。

お父さんが
『さあ、頑張って行くよ。』
そしてみんなが一列になって歩き始めました。
僕は、
『楽しいな、楽しいな。』
と何度も叫びながら歩いて行きました。

4匹で道路を歩いている時に、道端に綺麗な水が流れている小川があるのを見つけました。
『あっ、メダカだ。水草の所に小さなフナもたくさん居る。』
『よそ見しないで歩きなさい。行くわよ。』
と言って、お母さんは歩いて行きました。
僕は、お母さんの注意が耳に入らないくらい立ち止まって小川を眺めていると、
メダカが
『どこへ行くの?』
と話し掛けてきたので
『みんなと田舎の友達の所へ行くんだ。』
と応えると、メダカは
『僕達も川の上流まで行く事があるけど、すぐここに帰ってくるよ。ここは居心地がいいんだ。』
『僕も川に入っていい?』
『ああ、いいよ。』
『気持ちいいな~あ。』僕は小川の中に男の子が居るのに気が付いた。
『何しているの?』
『ヤゴを捕まえているんだ。』
『捕まえたヤゴはどうするの?』
『家の池で育ててトンボにするんだよ。』
『楽しそうだね。』
『トンボになって空へ飛んで行くのは、すごく楽しいよ。』

カピバラさんの2泊3日(5)

2015-07-27 21:27:53 | 童話
3時になったので僕達は休憩をして、残り半分のキュウリとニンジンを食べ、水筒の水を飲みました。

『疲れたね。』
『そうね。』
『もうじきだから頑張れ。』

そして、僕達はまた歩き始めました。

暫くしてからお父さんが
『あそこを曲がるよ。』
と言って細い道に入って行きました。

今度は道幅が狭く、所々に草が生えていて歩きやすかったです。

道の右側に池があり、アメンボがスイスイと走っていました。

『楽しそうだね。』
『水の上は涼しいし、スイスイ走れるので楽しいよ。』

向うから耕耘機がやって来て、運転していたおじいさんが、
『気を付けて行きな。』
と言いました。

お父さんが田舎に住んでいるカピバラさんの家を聞くと、
『まっすぐ一時間ほど行ったら森が有り、その森の前の神社を右に曲がって十分位行った所の、大きな杉の木のある家だよ。』
と教えてくれたのです。

『やっと近くまで来たのね。』
とお母さんがほっとして言いました。