火星ネズミ(4)

2014-06-30 20:59:02 | 童話
それからみんなは、いろいろな計器が異状を示した時に、原因を調べて修理する訓練をやっていました。

『ふぅ~ん、予備の装置がいっぱい付いているんだ。誰もいない宇宙に何年も飛んで行くから、全部自分達で直さなければならないから大変なんだね。』

僕は、何日か見ている間にいろいろ分かってきだしました。

火星ネズミ(3)

2014-06-29 11:26:41 | 童話
『訓練開始!』教官の大きな声が響きました。

僕は訓練装置の隙間から訓練の様子を見ています。

『ふぅ~ん、そうなんだ。
ハッチを閉めるのは、そのボタンで、船内の気圧は、あのメーターで、炭酸ガス濃度は、こっちのメーターなのか。』

計器類の確認が終わったら『Gをかけます。』とのアナウンスがあり、徐々に僕の体が重くなってきて、ついに体が床に張り付いて動けなくなってしまった。

『そうか、ロケットが打上げられる時に体にかかる重力なんだ。』

しばらくしてやっと歩けるようになりました。

『ふぅ、大変なんだね。』

火星ネズミ(2)

2014-06-28 10:28:30 | 童話
ハツカネズミの僕はみんなが寝ている間に訓練の装置を見て回りました。

僕は機械の操作はできないが、全部見ておけば人間が実際に訓練している様子が良く分かるのです。

昼間は見つかってしまうので夜の間の探検です。

僕の一番のお気に入りは操縦室です。

コンピュータ画面や計器がいっぱい並んでいて、まだ全然分からないが、打上げまであと一年くらいかかるのではないかと思うので、その頃までには全て分かる予定です。

火星ネズミ(1)

2014-06-27 20:57:00 | 童話
僕はハツカネズミです。

僕の仲間には宇宙環境の実験のために、小さなオリに入れられて宇宙へ行ったネズミもいます。

だけれど、僕は宇宙飛行士として宇宙に行きたいと思っています。

日本の宇宙飛行士10人は、ロケットの発射による重力に耐える訓練や宇宙船の操縦、そしてロボットアームの操作の訓練を毎日行なっていました。

一日の訓練が終ると疲れて、宿舎に帰って食事をしてお風呂に入ったら、すぐ寝てしまうのでした。

僕は、ただ今旅行中(8)

2014-06-25 21:01:15 | 童話
僕は男の子で、名前はツヨシです。
僕は今、絵本の中を旅行中です。

高い空から見ると、森も家も海もきれいだなぁ。
あっ、船の上でおじさんが手を振っている。

『お~い、君はどこへ行くのだい?』
『僕はね、遠くの森へ行くんだよ。そして、たくさんの動物と遊ぶんだ。』
『気を付けて行きなさい。』
『はあ~い。行ってきま~す。』

遠くの気球が近付いてきて、女の子が手を振っている。

『ねえ、どこへ行くの?』
『僕はね、遠くの森へ行くんだよ。そして、たくさんの動物と遊ぶんだよ。』
『いいわねえ。』
『バイバイ。』

やっと森に着いた。だれと遊ぼうかなあ。

『ねえ、キリンさん何して遊ぼうか?』
『駆けっこして遊ぼうか。』
『だめだよ、キリンさんにはかなわないよ。』
『ねえ、チンパンジーさん何して遊ぼうか?』
『木登りして遊ぼうか。』
『だめだよ、チンパンジーさんにはかなわないよ。』
『ねえ、ゾウさん何して遊ぼうか?』
『お水のかけっこをして遊ぼうか?』
『だめだよ、ゾウさんにはかなわないよ。』
『そうだ、みんなで「おしくらまんじゅ」をして遊ぼうか? でも、ゾウさんはソッとやってね。』
『いいよ。』
『わっせ、わっせ、たのしいなぁ。他の動物さんも一緒にやろうよ。』
『わっせ、わっせ、みんなで「おしくらまんじゅ」だ、わっせ、わっせ、楽しいな、楽しいな。みんなで遊ぶと楽しいな。』

君もみんなで仲良く遊ぶと楽しいよ。

『僕はもう帰るからね、またみんなで仲良く遊ぼうね。』

そして、今日の絵本の中の旅行は終ったけれど、今度はどの絵本の中の旅行をしようかな。
今度は君も一緒に行こうね。

  おしまい