とんげらけ(6)

2015-03-31 21:04:20 | 童話
次の日、小学校にみんなが集まってみこしを作り始めて、
去年のみこしと同じように、太い木を組み合せてツルで縛ってみこしの骨組みを作りました。

『やあ、カッコいいのが組み終ったね。』
『そうだね。これから木の葉っぱで屋根を作ると完成だね。』
『そうだね、もう少しだね。』
『がんばろうね。』

そして、みこしが完成したので、学校の倉庫に置きましたが、倉庫の中には、綱引きのツナや跳び箱や平均台や障害物レースに使うネットやマットも置かれています。

そして、5月の運動会は、みんなで徒競走と組体操をしました。
『みんなが同じ大きさだから徒競走ができるね。』
『そうだね。クマさんだけが大きいと競争にならないからね。』
『あっ、鳥さんは飛んだらダメだよ、みんな走るんだよ。』
『組体操も、みんなが同じ大きさだから、りっぱにできたね。』
『そうだね、今年の運動会も成功だね。』

そして、9月の盆踊りも、みんなが音楽に合せてうまく踊りました。
村の動物達はみんな仲が良いので、楽しい運動会と盆踊りでした。

とんげらけ(5)

2015-03-30 21:30:18 | 童話
そして、夏になると村では「とんげらけ祭り」が始まるので、その準備を相談する事にしました。

『今年のみこしは何にしようか?』
『去年は木の枝で作ったので、今年は木の葉っぱで作ろうか?』
『そうだね、それが良いね。』

『踊りは、どうしようか?』
『踊りは、去年みんなでうまく踊れたから、去年と同じ踊りで良いよ。』
『うん、そうだね。』

そして、明日から木の葉っぱのみこしを作る事に決めました。

今日の会議が終ったので、みんな校門をくぐってすみかの方へ帰って行きましたが、不思議な校門をくぐった時に、みんな元の大きさになりました。

とんげらけ(4)

2015-03-29 14:43:44 | 童話
お腹がいっぱいになったクマが帰って来たので、みんなで教室で会議をしました。

会議をする時は、いつものように、みんなで「とんげらけ」と言ってから始めます。

会議では、クマや昆虫たちが冬眠している時の出来事が報告されました。
それは、人間が山の木を切ったために雪崩が起きた事や、人間が山の広い道の雪をどけて、自動車が通れるようにした事でした。

『雪崩が起きると、みんな雪の中に埋まってしまうので恐いね。』
『自動車が通れるようになったので、交通事故にあわないようにしないといけないね。』
『そうだね。みんな気を付けようね。』
『人間は、まだ山の木を切るのかなあ? たくさん切ると、もっとたくさん雪崩が起きてしまうよ。』
『山にくる人に切らないように頼もうか?』
『人間が僕達の話しを、ちゃんと聞いてくれればいいんだけれどね。』

『山には僕達動物がいっぱい住んでいるので、自動車は速いスピードで走らないように頼もうか?』
『そうだね、頼んでみようよ。』
『これも、人間が僕達の話しを、ちゃんと聞いてくれればいいんだけれどね。』

とんげらけ(3)

2015-03-28 08:23:43 | 童話
この村の動物や鳥たちがあいさつをする時は、いつも「とんげらけ」と言います。

おはようも、こんにちはも、こんばんはも、全部「とんげらけ」と言います。

だからここは「とんげらけ村」なのです。

この村には、人間が使わなくなった小学校を有ります。

動物達は、この小学校で勉強をしたり、会議をしたり、運動会や盆踊りもします。

この小学校は不思議な小学校で、学校の入口に有る校門をくぐると、みんな同じ大きさになります。

クマはタヌキやキツネと同じ大きさになるために小さくなり、ウサギやリスはタヌキやキツネと同じ大きさになるために大きくなります。

だから、小学校の中ではみんな同じ大きさですので、運動会で「前にならえ」をやっても、教室でイスに座っても、みんな背の高さが同じです。

とんげらけ(2)

2015-03-27 21:25:15 | 童話
冬の間は食べ物が少ないので、みんなで仲良く分けて、少しずつ食べています。

『早く暖かくならないかなぁ。』
『そうだね、暖かくなったら、お腹いっぱい、おいしい物を食べたいね。』
『そうだね、いっぱい、いっぱい食べようね。』

動物達は、冬もエサを探していますが、クマは土の中に作ったほら穴で冬眠をして、昆虫は木の穴で冬眠をしています。

そして、雪が溶けて暖かくなると、クマは冬眠から目をさまして
『やあ、みんな、とんげらけ。ずっと長いあいだ冬眠していたので腹ペコだよ。』
と言ってエサを探して歩いて行きました。

ほかの動物達は
『とんげらけ、行ってらっしゃい。』
と行ってクマを見送りました。