ぽろろ、ぽろろ。(3)

2020-05-31 07:18:16 | 童話
小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。
『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』

僕の足の下の土の中から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
モグラ君かな?
『なぁに、僕は土の中には入れないよ。』
『えっ、モグラ君は昼間は眩しくて外に出られないから、夜になったらジャンケンをして遊うよ、だって。ダメだよ、僕は夜は家に帰らなければいけないんだ。だから今ジャンケンをしようよ。モグラ君は土の中から手だけ出せばいいんだよ。ジャンケンポン、僕はチョキだけどモグラ君はパーだから僕の勝ちだよ。そうか、モグラ君はパーしか出せないんだ。』

空から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
そうか、空の上の雲君だ。
『なぁに、雲君の背中に乗せてくれるの? ダメだよ、僕は重たいから乗れないよ。雲君が空に何か絵を書いてよ。わっ、おいしそうな綿菓子とドーナッツだね。それに、飛行機雲もきれいだね。』

ぽろろ、ぽろろ。(2)

2020-05-30 07:18:18 | 童話
公園の木の上から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
小鳥が呼んでいるのだ。

『なぁに、僕は羽根がないから一緒に飛べないよ。えっ、きれいな歌声の競争をするの? 僕は歌がうまくないから、小鳥君が唄ってよ。』
『ピピピピ、チチチチ、ピーピピ、ピーピピ。』
『やっぱり小鳥君は歌が上手いね。だけど、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』とは鳴かないの?
そうか、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と鳴くのは友達を呼ぶ時だけなのか、だから僕を呼ぶ時はみんな『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と言っているんだね』

ぽろろ、ぽろろ。(1)

2020-05-29 07:14:13 | 童話
僕のいる窓の外から、
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
風が遠くで僕を呼んでいるのだ。

『なぁに、宿題が終ったら外で遊ぼうよと言っているの? 30分位で宿題が終るので待っててね。』
『宿題が終ったよ、何して遊ぼうか。よしっ、駆けっこをしようよ。だけど、1人だと寂しいから、いつも一緒に遊んでいる友達を呼んで来るね。』
3人の友達と僕の4人で風と競争をした。ヨーイドン 。
『風君は速いなぁ、僕達4人は全然かなわないや。』

石の飛行機(6)

2020-05-28 08:56:49 | 童話

よし、僕は明日、ジェット旅客機の隣りにロケットを作ろう。そして、火星へ行こうと考え、ワクワクしながらロケットをスケッチした。『そうか、ロケットはコンピュータと宇宙センターで操作するので宇宙飛行士は操縦しないんだ。』
そして明日は朝ご飯を食べたらすぐに川原へ行けるように、明日の宿題も終わらせた。
ロケット、ロケットとワクワクしながらお風呂に入って早く寝た。朝起きると、お母さんがサンドイッチを作ってくれていた。

『今日は火星まで行くんでしょ。でも遅くなったらだめよ。それから、水筒のお水で手を洗ってから食べるのよ。』
『はぁ~い。』
みんなで朝ご飯を食べてから、僕は自転車で川原に来た。そして、昨日のスケッチを見ながら石を並べたが、ジェット旅客機以上に時間がかかった。
『できた、やっとできた。』

『燃料注入完了、酸素の圧力異状無し、宇宙飛行士が乗り込みます。』
『座席のベルトの固定も終わりました。宇宙センターどうぞ。』
『こちらは宇宙センターです、機体も燃料も問題有りません。これから打上げの秒読みを開始します。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射。補助エンジン点火。順調に上昇しています。補助エンジンを切り離しました。』

『地球がだんだん小さくてなっていく。今、月を通り越しました、すごいスピードです。』
『火星が見えてきました。どんどん近付いていきます。宇宙センター、僕は今日、遅くなるとお母さんに怒られるので、火星には着陸しないで、火星を一周したら帰ります。』
『こちらは宇宙センターです、了解しました。気を付けて地球に帰ってきてください。』

地球が見えてきて、川原が見えてきた。
『宇宙センター、これからロケットを逆噴射して着陸しまします。』
『了解しました。』
ゴーとエンジンが逆噴射した。
『着いたから、さあ帰ろう。』
夕飯の時にお父さんに、『本物のロケットに乗りたいなぁ。』と言うと、お父さんが『宇宙飛行は全部英語を使うので、英語を勉僕しないといけないよ。』と言った。

僕は宇宙飛行士になるために英語を勉強している。

    おしまい

石の飛行機(5)

2020-05-27 07:18:40 | 童話
『ねえ、お父さん、なぜ遠い所へはジェット機じゃないと行けないの?』
『高い所は空気が薄く、抵抗が少ないので早く飛べるし、燃料が少なくて済むからだよ。だけれど空気の薄い所はプロペラ飛行機は飛べないのだよ。』

『お父さん、抵抗って何?』
『空気が飛行機を押し戻そうとする力だよ。』
『ふぅ~ん。』

『ねえ、お父さん、火星へはジェット旅客機で行けるの?』
『宇宙には空気が無いからジェットエンジンでは飛べないよ。』
『じゃぁ、何で行くの?』
『燃料と、それを燃やす酸素と両方を積んだロケットで行くんだよ。』

『ふぅ~ん。よし、明日の日曜日はロケットを作って火星へ行こう。』
僕は昼から本でロケットを調べた。大きい燃料タンクが2本付いていて、大きいエンジンが3本付いている。しかし、人間が乗る所は小さくて狭いんだなぁ。