カピバラさんの2泊3日(10)

2015-02-28 09:04:20 | 童話
僕は急いで皆の所に戻った時に、お父さんからお尻をポカリとたたかれました。

『道草をしたらダメじゃないか。』
『ごめんなさい。』

そして、またみんなで歩き始めました。

みんなで元気を出して森の入口の大きな杉の木を目指して歩いたのです。
『有った、大きな杉の木だ。』
お父さんが言ったので、みんなで立ち止まって大きな杉の木の方を見ました。
『あの木の所にある家ね。』
『きっとそうだよ。』

僕はみんなに会いたくて駆け出しました。

お父さんが
『そんなに走ると危ないよ。』
と言いましたが僕は全力で走ったので、石につまずいて転んでしまいました。
『だから危ないって言ったでしょ。』
僕は背中から落ちたリュックをもう一度背負いました。

カピバラさんの2泊3日(9)

2015-02-27 21:36:30 | 童話
そして、僕は小川の中に男の子が居るのに気が付きました。
『何をしているの?』
『ヤゴを捕まえているんだ。』
『捕まえたヤゴはどうするの?』
『僕の家の池で育ててトンボにするんだよ。』
『楽しそうだね。』
『トンボになって空へ飛んで行くのは、すごく楽しいよ。』

その時、遠くで
『キュルル、キュルル。』
という声が聞こえました。

お父さんとお母さんが、
『キュルル、キュルル。』
そして、お姉ちゃんも、
『キュルル、キュルル。』
みんなで僕を探しているのでした。

僕は男の子に
『僕は友達の家に行くところなんだ、もう行くからね。』
と言って、お父さんやお母さんに向って
『キュルル、キュルル。』
と鳴きました。

カピバラさんの2泊3日(8)

2015-02-26 21:14:21 | 童話
4匹で道路を歩いている時に、道端に綺麗な水が流れている小川があるのを見つけて、
『あっ、メダカだ。水草の所に小さなフナもたくさん居るよ。』
と言うと、
お母さんは
『よそ見しないで歩きなさい。行くわよ。』
と言って歩いて行きました。

僕は、お母さんの注意が耳に入らないくらい立ち止まって小川を眺めていました。

するとメダカさんが
『どこへ行くの?』
と話し掛けてきたので
『みんなと田舎の友達の所へ行くんだ。』
と応えると、
メダカは
『僕達も川の上流まで行く事があるけど、すぐここに帰ってくるんだよ。ここは居心地がいいからね。』
て言いました。

『僕も川に入っていい?』
『ああ、いいよ。』
『気持ちいいなあ~。』

カピバラさんの2泊3日(7)

2015-02-25 21:15:38 | 童話
『やっと近くまで来たのね。』
とお母さんが言ったので、僕たちはここで最後の休憩をして、水筒のお水を飲んで、十分ほど休憩した後で歩き始めました。

僕が
『もうじきみんなに会えるね。』
と言うと、

お母さんが
『そうよ、みんな頑張ったわね。』
言って、僕とお姉ちゃんに声をかけてくれました。

そして、お父さんが
『さあ、頑張って行くよ。』
といったので、その合図でまたみんなで一列になって歩き始めました。

僕は、
『楽しいな、楽しいな。』
と何度も叫びながら歩いて行きました。

カピバラさんの2泊3日(6)

2015-02-24 20:51:04 | 童話
3時になったので僕達は休憩をして、残り半分のキュウリとニンジンを食べて、水筒の水を飲みました。

『疲れたね。』
『そうね。』
『もうじきだから頑張れ。』

そして、僕達はまた歩き始めました。

暫くしてからお父さんが
『ここを曲がるよ。』
と言って細い道に入って行きましたが、今度は道幅が狭くなり所々に草が生えていて歩きやすかったです。

そして、道の右側に池があり、アメンボがスイスイと走っていたので、
『楽しそうだね。』
とアメンボウさんに言うと、アメンボウさんは
『水の上は涼しいし、スイスイ走れるので楽しいよ。』
と言いました。

その時、向うから耕耘機がやって来て、運転していたおじいさんが、
『気を付けて行きな。』
と言ってくれたので、お父さんが田舎に住んでいるカピバラさんの家を聞きました。

『まっすぐ一時間ほど行ったら森が有り、その森の前の神社を右に曲がって10分位行った所の、大きな杉の木のある家だよ。』
と教えてくれました。