アリの小さな魔法使い(1)

2018-03-28 06:04:14 | 童話
僕はアリですが、魔法使いなのです。
みんなが歩いている時や、走っている時に、つまずいて転ぶ時があるよね。
あれはね、僕達アリが踏まれそうになったから、僕が魔法を使って踏まれないようにしたからなんだよ。

それと、君達は見たことがあると思うんだけれど、大きなエサの昆虫を、僕達がたくさんで運んでいる時に、少し経ってみんなが気が付いた時には、もう運び終っていることがあるよね。これも僕の魔法なんだよ。

あとね、僕達はエサを探して遠くまで歩いて行くけれど、時々迷子になることがあるんだ。その時僕が魔法で帰り道を教えるんだよ。

もう一つ、僕達アリが高い木に登って行くのを見たことがあるでしょ。僕達アリも高い所から落ちることがあるんだけれど、その時も僕が魔法を使って、そっと地面に着くようにしているからケガをしないんだよ。

それから大切なことなんだけれど、僕達アリの家は地面の下にあるので、雨がたくさん降ってきて僕達の家に水が入ってくると困るので、僕が魔法を使って巣の入口にふたをするんだよ。
いつもは、雨が降ってくるのが分るので、早くから全部の巣の入口にふたをするんだけれど、急に雨が降ってくると、魔法使いの僕は忙しいんだ。

だから、僕達アリが行列を作って歩いている時に、出かけるアリと帰って来るアリとが、頭でコッツンコをしているよね。あれはね、出かけるアリが帰って来るアリに、魔法使いの僕がどこにいるのか教えてあげているんだよ。僕の魔法が必要になった時に、僕のいる所を知らないと困るからなんだよ。

えっ、僕のような魔法使いは僕だけかい、だって?