僕の魔法のズボン(2)

2022-02-28 09:41:15 | 童話
僕は時々公園で友達と駆けっこをするが、いつも友達に負けてばっかりだったが、今日はお兄ちゃんにもらった魔法のズボンを履いているので、友達に勝てる気がする。
『ヨーイ、ドン。』僕は友達みんなを追い越して1番になった。友達みんなが『速いなぁ。』と言って驚いていた。そして、僕も驚いた。
お兄ちゃんのズボンは魔法のズボンだ。

僕は家に帰ってお母さんに『お母さん、お兄ちゃんからもらったこのズボンは魔法のズボンだよ。』
『どうして?』
『いつも、駆けっこの時には友達にかなわないけど、この魔法のズボンを履いて駆けっこをするとみんなに勝てるんだ。だから、このズボンは魔法のズボンなんだよ。』
『そうなの、じゃ、魔法のズボンね。お兄ちゃんに魔法のズボンを貰って良かったわね。』
『うん、大切にするね。』
『そうね。だけれど自分でも頑張らないと魔法のズボンじゃなくなるわよ。』
『うん、僕と魔法のズボンの両方で頑張るよ。』

そして、僕は大きくなり、お兄ちゃんからもらったズボンの脚の折り返しが1回となった。僕の魔法のズボンを履いて、友達と広場で戦隊ごっこをしている。
しかし、徒競走ではまだ1等賞は取れない。いつも2等賞だ。
僕は学校で遠くへ歩いて行く遠足も頑張った。

僕の魔法のズボン(1)

2022-02-27 21:31:30 | 童話
僕のズボンは、お兄ちゃんが小さい時に履いていたズボンだ。ポケットが前に2つ、後に2つ付いていて、後のポケットには模様が付いている。そして、色は薄いブルーで、カッコいいズボンだ。
お兄ちゃんはこのズボンを履いて、友達と戦隊ごっこをやっている時はカッコ良かった。僕もこのズボンを履いたから怪獣をやっつけて、カッコ良くなれるかなぁ。

お兄ちゃんは小学校の運動会の時に、このズボンを履いて徒競走で1等賞になった。僕はまだ小さくて、小学校も幼稚園も行っていないので1等賞は取れない。
お兄ちゃんが遠くまで歩いて遠足に行った時に履いていたのも、このズボンだ。僕も頑張って遠くまで歩いて行けるかなぁ。
お兄ちゃんは剣道を習っていて、僕も一緒に見に行ったことが有る。剣道場まで魔法のズボンを履いて行き、剣道場で稽古着に着替えて剣道の練習をやっていた。魔法のズボンを履いている時もカッコ良かったが、ズボンを脱いで稽古着の時もカッコ良かった。その時に僕も大きくなったら剣道を始めたいなぁと思っていた。

僕は今この魔法のズボンを履いているが、脚の所が長くて2回折り畳んでいる。お兄ちゃんのように、折り畳まないで履けるようになるのはいつかなぁ?次の次の日曜日には僕もこのズボンを折り畳まないで履けるかなぁ?
お兄ちゃんもお母さんも、牛乳をたくさん飲むと大きくなれるよと言っているので僕は頑張って牛乳を飲んでいる。僕も早くお兄ちゃんのようになりたい。

100才の小学生(6)

2022-02-26 17:53:00 | 童話
そして、一週間くらい過ぎた頃に、キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。』と言いました。
みんなが古川ゴン作さんに『キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。」と言っているよ』と言うと、古川ゴン作さんが『キュウリとトマトが、もう食べていいよ。』と言っているんだよと言いながら、みんなにキュウリを一本とトマトを一個採ってくれました。
みんなは小川の中で冷やしてから食べながら、
『キュウリはおいしいねえ。』
『トマトもすごくおいしいよ。』
と言ってみんなで仲良く食べました。

『古川ゴン作さん、次は何を植えるの?』
『そうだね、お米を育てておにぎりを作り、小麦を育ててパンを作ろうか?』
『うん、お米を育てよう。』
『小麦も育てようよ。』
『そうだね、お米と小麦の両方育てようよ。』
みんなで、おいしいおにぎりとパンができるのを楽しみにして、古川ゴン作さんのお手伝いをしています。

村の小さな小学校に、次はどんなⅠ00才の人が入って来るのか、みんなが楽しみにしています。

おしまい

100才の小学生(5)

2022-02-25 18:30:12 | 童話
この小学校のみんなは仲良しで、毎日たのしく勉強をしています。
そして次の年に、100才となった古川ゴン作さんが小学生となりました。
古川ゴン作さんは農業が得意で、小学校の近くでお米や野菜を作っています。だから、小学校の木やお花さんとも仲良しです。
古川ゴン作さんはニワトリの友達もいるので毎日卵をもらっています。
そして、古川ゴン作さんが初めて小学校に来た時に、みんなにお話しをしました。

『やぁ、みんな元気だね。鈴木ヨシさんも、田中トメさんも、山田熊太郎さんも、イヌさんやタヌキさんやキツネさんも、アライグマさんとネズミさんも、馬さんと牛さんも、そして猿さんも、それから木やお花さんも、みんなみんな元気だね。
わたしは古川ゴン作です。みんなと一緒にお米や野菜を作りましよう。夏の暑い日にトマトやキュウリを食べるとおいしいよ。』
みんなは『そうしよう、そうしよう。』と言いました。そして、小学校の近くの畑にキュウリとトマトの苗を植えて、雑草を取ったり、お水をあげたりして大切に育てました。
やがて、キュウリもトマトも花がいっぱい咲いて、たくさんの実がなるようになりました。
『あと少しで食べられるようになるね。』
『そうだね、楽しみだね。』

『いつになったら食べられるのか古川ゴン作さんに聞いてみようよ。』
『そうだね、聞いてみよう。』
『ねえ、古川ゴン作さん、キュウリとトマトはいつ食べられるの?』
『食べられるようになったら、キュウリとトマトが教えてくれるんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
『だから、今日は教えてくれていないから、まだ食べられないんだね。』
『そうなんじゃ、もう少し待ちなさい。』

100才の小学生(4)

2022-02-24 16:58:44 | 童話
ある日、猿さんが小学校に来て『僕もみんなの友達になりたいなあ。』と言ったので、みんなが相談して小学校の友達にすることにしました。
この村には猿さんが居なかったのですぐ仲良しになりました。だけれど、犬さんは猿さんが嫌いでケンカばかりしています。
みんなは困って山田熊太郎さんに相談しました。だけれど、山田熊太郎さんも『困ったね、困ったね。』と言いました。

ある日、みんなが居る時に山田熊太郎さんが転んで足をケガしました。その時、犬さんが一番早く山田熊太郎さんの所に走って来て『山田熊太郎さん、大丈夫?』と聞きました。
山田熊太郎さんは『少しすねを擦りむいただけだから大丈夫だよ。』と言いました。

その時、猿さんが布を持って来て『これを包帯の代わりにするといいよ。』と言って山田熊太郎さんのケガの上から巻いてあげました。

そして、犬さんと猿さんは後ろ足で立って山田熊太郎さんの右肩と左肩を支えて、山田熊太郎さんの自宅まで連れて行ってあげました。そして、小学校に帰って来る時に、犬と猿は、
『重たかったね。』
『うん、重たかったね。』
『山田熊太郎さんが早く良くなるといいね。』
『うん、きっとすぐ元気になるよ。』
と仲良くお話しをしました。

そして、田中トメさんと鈴木ヨシさんが、動物達から聞いて山田熊太郎さんの家にお見舞いに来ました。
『山田熊太郎さん、ケガの具合はどうなの?』
『痛いの?』
と聞きました。すると、山田熊太郎さんが
『転ぼうとして転んだので、あまり痛くないんだよ。』
と言いました。そして
『これで犬と猿は仲良くなっただろう。』
と言いました。
田中トメさんと鈴木ヨシさんは
『あらっ、そうだったの。』
『そうよね、山田熊太郎さんのおかげで犬さんと猿さんが仲良くなってよかったわね。』
と言いました。

そして、次の日、山田熊太郎さんが元気になって小学校に来て、みんなに
『みんなに心配をかけたが元気になったよ。特に犬さをと猿さん、ありがとうね。』
と言いました。犬さんと猿さんが、
『良かったね。』
『うん、良かったね。』
と言いました。