カタツムリの富士登山(7)

2018-03-16 21:44:23 | 童話
『あ~あっ、よく寝たなぁ。』
僕は、あまり寒くないので目がさめた。
そして、岩の穴の中から外を見ると雪はほとんど無くなっていた。
『お父さんとお母さん、僕はまた約束を守って家の中にいたよ。』
そして、穴の外でお水をタップリ飲んで歩き始めた。雪の上や、雪解け水の上は冷たいので、乾いている所を歩いて行った。
『ランランラン、ランランラン。』
今度も、僕が歌っても、だれも『ルンルンルン、ルンルンルン。』や『ピッピピピ、ピッピピピ。』と歌ってくれる友達がいません。
また時々寒い日があるので、寒い時は暖かそうな岩の穴を探して暖かくなるのを待つことにした。

そして、何日か歩いて下りて来ると、トンボがやって来て、『おかえり。』と言った。だけれど僕の知っているトンボ君ではなかった。
そこへチョウチョがやって来て『おかえりなさい。』と言った。
『だけれど、一緒に登ったトンボ君とチョウチョさんとは違うね。』
『そうよ、チョウチョもトンボも1年しか生きていられないので、前に会ったチョウチョもトンボも、もういないんだよ。だけれど、僕がまだ卵の時に、カタツムリさんの事をお父さんやお母さんから聞いていたんだ。そして、お父さんやお母さんも、卵の時におじいさんやおばさんから聞いていたんだと、お父さんやお母さんが言っていたよ。だからここで待っていたんだよ。』
『そうなのか、うれしいなぁ。それでは一緒に下りて行こうか?』
『うん、いいよ。』
『ええ、いいわよ。』
そして、みんなで
『ランランラン、ランランラン。』
『ルンルンルン、ルンルンルン。』
『ピッピピピ、ピッピピピ。』
と歌いながら下りて行きました。
何日間かみんなで歩いて、富士山の登山口に着きました。