犬の社長(2)

2020-01-31 06:44:51 | 童話
その夜の夢の中で、ペットショップの前で荷物を下ろしていた運転手さんが
『昼間は荷物が一杯で大変だったよ。』
と話しかけてきました。
その時、犬の社長がその運転手さんに
『お疲れ様でした。』
と言いました。
そして、僕も
『お疲れ様でした。』
と言いました。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
そして、犬を連れて散歩している時に、また、あの運転手さんに会いました。
『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
と言ったので、僕は、あの人はまた夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだね、と思いました。

何日かして、夢の中で犬の社長がみんなを集めた会議をしました。
犬の社長は
『みんなが頑張ってくれたので、たくさん売れました、ありがとう。』
と言ったので、みんなは、パチパチパチパチと拍手をしました。
僕は、その拍手の音で目がさめました。

僕が犬に
『たくさん売れて良かったね。』
と言うと、犬は
『ありがとう。』
と言いました。
そして、昼間は僕が犬を散歩に連れて行き、夜は僕が犬の社長の代わりにトラックで荷物を配達するのを続けています。
 
おしまい

犬の社長(1)

2020-01-30 06:46:43 | 童話
僕の飼っている犬は、夜になると社長になります。
犬や猫用の、食べ物や家を売っている会社の社長です。
ここは僕の夢の中の、夜だけの会社です。
僕はこの会社で配達をしています。
大きなトラックを運転して、荷台いっぱいの食べ物や家を配達します。
トラックはたくさん有って、僕以外にもトラックを運転している人がたくさんいます。

犬の社長は、出来上がった食べ物を食べて、おいしいかどうか調べます。それと、家は寝心地が良いかどうかを自分で寝て確かめます。特に猫用の家は、寒がりの猫が温かく寝られるかどうかも調べます。
そして、犬の社長がOKを出した物だけをトラックで配達します。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
僕は毎朝、犬を連れて散歩に行きます。
散歩の時に、僕の犬は向うから来た犬や猫とお話しをします。
食べ物や家の話をしているのかなあ?
みんなの意見を聞いているのかなあ?

散歩している時にペットショップの前でトラックが止まって、荷物を下ろしていました。
その荷物を下ろしている人は、夢の中で一緒にトラックを運転している人です。
『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
僕は、もう夢の中ではないのにおかしいなぁと思いました。
すると、僕の犬が
『あの人は夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだよ。』
と言いました。

てんから、てんから、てんからてん(7)

2020-01-29 06:40:44 | 童話
そして、しばらくして、また満月の夜に
『てんから、てんから、てんからてん。』、
『てんから、てんから、てんからてん。』
と聞こえてきました。
『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』

都会の小学校のイヌとネコが
『暑くなってきたので、熱中症にならないように、汗をかいたらお水をたくさん飲むようにしています。』
と発表しました。
村の小学校の動物達が
『僕達も熱中症にならないように、お水をたくさん飲むようにしています。』
と発表しました。
『それでは、質問のある方はいますか?』

『ホタルはたくさん増えましたか?』
と都会の小学校のイヌとネコが、村の小学校の動物達に聞きました。
『うん、去年、小川や池をきれいにしたので、ホタルは増えたよ。』
『トンボやカエルもたくさんになりましたか?』
『うん、たくさん増えて、去年よりゲロゲロ、ゲロゲロとたくさん鳴いているよ。』
と言って、カエルがたくさんゲロゲロと鳴いている池を月に映して見せました。
『本当だ、いっぱいいるね。』
『うん、今年もたくさん鳴いているよ。』
そして、今度は赤トンボがたくさん飛んでいるのを月に映して見せました。
『うわっ、綺麗だね。』
『うん、みんなで池や小川を綺麗にしているからね。』
そう言って池や小川の中を月に映して見せました。
『メダカや鮒やヤゴやゲンゴロウがいっぱいいるんだよ。』
『凄いね。』
『都会の池や小川も水がきれいになるといいのにね。』
『うん、みんなで掃除をやっているよ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。
バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』

そして、村の小学校の動物達と都会の小学校のイヌとネコとの学級委員会は、今も続いています。

  おしまい

てんから、てんから、てんからてん(6)

2020-01-28 06:29:22 | 童話
そして、しばらくして、また満月の夜に
『てんから、てんから、てんからてん。』、
『てんから、てんから、てんからてん。』
と聞こえてきました。
『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』

都会の小学校のイヌとネコが
『庭やマンションのベランダで、お花の苗を大切に育てています。』
と発表しました。
村の小学校の動物達が
『お花畑にはお花がたくさん植わっているので、お花を大切にしています。』
と発表しました。
『それでは、質問のある方はいますか?』

『春になりましたが、雪はもう解けましたか?』
『まだ雪は溶けないで、少し残っています。だけれど、雪ダルマはもう溶けてしまいました。』
『村ではお花が咲き始めましたが、都会でも咲き始めましたか?』
『お花屋さんにはいっぱいお花を売っていますが、植わっているお花が少ないので、分かりません。』
『村にはお花畑があって、いろいろな色のお花が咲きますが、都会にはお花畑は無いのですか?』
『お花畑は有りません。公園も、木や芝生が多いですが、お花畑はあまり有りません。』
そして、都会の小学校のイヌとネコが、大きな公園を月に映して見せました。
『本当だ、木がたくさんあって、広い芝生の上でイヌや人間が運動しているけれど、お花が植わっている所が少ないね。』
『うん、少ないよ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。
バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』

てんから、てんから、てんからてん(5)

2020-01-27 06:29:39 | 童話
そして、しばらくして、また満月の夜に
『てんから、てんから、てんからてん。』、
『てんから、てんから、てんからてん。』
と聞こえてきました。
『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』

都会の小学校のイヌとネコが
『寒くなって、北風がピュ~ピュ~と吹くようになったので、外から帰ってきた時に、うがいと手洗いをして、カゼをひかないようにしています。』
と発表しました。
村の小学校の動物達が
『僕達も、うがいと手洗いをしています。』
と発表しました。
『それでは、質問のある方はいますか?』

『都会では、もう雪は降りました?』
『まだ降っていません。村では雪が降ったんですか?』
『うん、もう雪がたくさん降って積もったので、雪ダルマを作りました。』
と言って、雪ダルマを月に映して見せました。
『大きな雪ダルマだね。すごいね。』
『みんなで仲良く作るので楽しいよ。』
『ダルマの他に何が作れるの?』
『イヌやネコやペンギンや、何でも作れるよ。』
『今度、ダルマではないのを作ったら見せてね。』
『うん、いいよ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。
バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』