真夜中のお話し仲間(3)

2021-10-31 09:39:37 | 童話
そして、家に着いて、お母さんに
『ただいま。』
と言ってから、お水で洗っていると、お母さんが
『あらっ、えらいわね。』
と言ったので、
『自転車からきれいにしてほしいと頼まれたんだよ。』
『えっ、自転車から頼まれたの? そうね、ずいぶん汚れているわね。』

僕はきれいに洗ったあと、車輪の回転する所には油をさしました。
『これでいいや、きれいに洗った。』
すると、自転車は喜んで、ハンドルをブルブルブル、ペダルをクルクルクル、タイヤをポンポンポン、ベルをリンリンリンと楽しそうにしました。そして、いつものように自転車を物置にしまってから、僕も物置で、みんなと一緒にワイワイガヤガヤと、お話しをしました。
『もうすぐご飯だから家に帰って手を洗いなさい。』
とお母さんが言ったので、僕は
『バイバイ、また明日ね。』
と言って家に帰りました。

真夜中のお話し仲間(2)

2021-10-30 10:22:08 | 童話
次の日、学校から帰って来た男の子は、宿題を終らせてから、物置から自転車を出して、友達と約束をしている公園へ行きました。

ペダルは頑張って漕いで、ハンドルはグラグラしないように頑張って支えて、タイヤは頑張って地面の上を転がって、ベルは危ない時に頑張って音を出して、みんなで協力して、公園へ走って行きました。

そして、公園に着いて、男の子が友達と野球をしている間、みんなでワイワイガヤガヤとお話しをしていました。
今度は友達が乗って来た自転車ともお話しをしたので、にぎやかでした。
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』

その時ハンドルが男の子に話しかけてきました。
『今日の野球は楽しかった?』
『えっ、君は話せるの? うん、野球は楽しかったよ。だけれど、いつから話しができるの?』
『ずっと前から話しができるのだよ。』
『それで、物置でもお話しをしていたんだね。』
『うん、そうだよ。』
『僕も話しができるよ。』
と、ペダルもタイヤもベルも話しました。
そして、ハンドル達が
『僕達は汚れてしまったので、きれいにしてほしいなぁ。』
と、男の子にお願いをしました。
『ああ、いいよ。家に帰ったら洗ってあげるね。』

真夜中のお話し仲間(1)

2021-10-29 10:15:08 | 写真
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
もう帰る時間なので、公園で遊んでいた男の子が、友達と別れて自転車で家に帰ってから自転車を物置に入れて家の中に入って行った。
『外から帰ったら、セッケンでよく手を洗いなさい。』
『はぁ~い。』

しばらくして、自転車を1台入れているだけの物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
その時、男の子が、自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを取りに来た。
『あれっ、誰かいるのかなぁ?』
男の子が物置の戸を開けると、急に静かになった。
『有った、有った。』
男の子は自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを持って、物置の戸を閉めて家の中に入って行った。
すると、また物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。

『今日は、僕が頑張って漕いであげたので、速く走れたんだよ。』
とペダル言うと、
『ちがうよ、僕がグラグラしないように頑張ったから速く走れたんだよ。』
とハンドルが言った。
『ちがうよ、僕が頑張って地面の上を転がってあげたから速く走れたんだよ。』
とタイヤが言った。
すると、ベルが
『危なかった時に僕が頑張って音を出したから、ぶつからないで速く走れたんだよ。』
と言った。

そして、ワイワイガヤガヤは夜通し続きました。

僕の元気君(5)

2021-10-28 09:41:09 | 童話
公園からの帰りに、信号待ちしていたお年寄りがいたので、僕と友達はマウンテンバイクから降りて、手を挙げてお年寄りと一緒にゆっくりと信号を渡った。僕達はそのお年寄りから、『ありがとうね。』と言われた。

僕達は、元気君に明日何になってもらおうか相談した。
『明日は月曜日だから、宿題する時に教えてもらえる先生がいいよ。』
『そうだね。』
ある日、僕はおやつのケーキの大きさで妹とケンカをした。
『僕のケーキの方が妹のより小さいよ。』
『お兄ちゃんのイチゴの方が大きいわ。』
『そんなことないよ、うるさいなぁ。』
『うわ~ん。』

その時、僕のフォークになっていた元気君が、『兄弟ケンカするのなら居なるよ。』と言った。僕はあわてて妹に『ゴメンね。』を言って仲直りをした。
しばらくして、僕と友達は明日、小学校の卒業式を迎えることになったときに僕の元気君が話し掛けてきた。

『今迄楽しかったね。君は明日で小学生じゃなくなるから、僕は次の子供の所へ行かなくてはならないんだ。今迄、いろいろな所へ行ったし、いっぱい楽しい事も有ったよね。中学生になっても、お父さんやお母さんの言う事を良く聴いて良い子でいるんだよ。そして、お年寄りや小さい子供に優しくするんだよ。』
『うん、分かった。今迄すごく楽しかった、ありがとう。元気君も次の子供の所で頑張ってね。明日の朝起きた時に居ないと思うので、今バイバイするね。おやすみなさい。』
              
  おしまい

僕の元気君(4)

2021-10-24 08:26:43 | 童話
しばらくしてから友達が遊びにきた。
『僕にも元気君が来たよ。今はね、消しゴムになっているんだ。』
『本当だ、消しゴムが動いている。』
『昨日は鉛筆だったけれど、やっぱり動いていたよ。』
『僕の元気君は消しゴムの時は、お話しはしていたけれど、動かなかったよ。えっ元気君、動けるの、なんだ動けるのか。』

『明日、二人の元気君に自転車になってもらって、二人で公園へ行こうか。』
『ああ、いいね。』
『元気君にカッコいいマウンテンバイクになってもらおう。』
『僕もマウンテンバイクがいいな。』
『じゃ、明日ね、バイバイ。』
『バイバイ。』

次の日、僕の元気君は赤い色に青色のラインの入ったカッコいいマウンテンバイクになっていた。『わぁ、カッコいいなぁ。』
公園に行くと友達は、黄色に赤いラインの入ったマウンテンバイクに乗ってきていた。二人は自分のマウンテンバイクを自慢したが、お互いのマウンテンバイクをカッコいいと思った。

※ 明日から27日まで入院しますので、退院してから登校しますのでよろしくお願いします。