アリの小さな魔法使い(2)

2018-03-29 07:00:39 | 童話
僕達アリは体が小さいので、魔法も小さくて遠くまで届かないから、僕みたいな魔法使いはたくさんいるんだよ。
毎日働いていたアリ達が、冬になって巣穴でじっとしている間に、僕のようなアリの魔法使いが集まって会議をするんだよ。そうだよ、遠くからも、みんな魔法を使って飛んでくるんだ。

えっ、どうやって飛んでくるのかだって。僕達アリは、人間の魔法使いのように、空飛ぶホウキや空飛ぶジュータンは持っていないので、木の葉っぱに乗って飛んでくるんだ。
寒い時に、木の葉っぱがいっぱい飛んでいるでしょ。全部の葉っぱに、僕達アリの魔法使いが乗っているんだよ。
そうそう、遠くから集まってくる時は、魔法が遠くまで届かないので、魔法が切れた時は、一度地面に下りてから、また魔法で飛んでくるんだ。
だから、葉っぱは高くまで上がったり、地面に落ちてきたりしながら遠くへ飛んでいるんだ。

そして、魔法使いのみんなが集まったら会議が始まり、今年生まれたアリの数や、今年集めたエサの量などが報告されるんだ。そ
のあとで、来年の計画を考えるんだけれど、来年のアリの数を予測して、みんなに必要なエサの量を考えて、そのエサの見つけ方や、エサを運ぶ方法を相談するんだよ。
だから、計算するのが大変なんだ。そうしないと、たくさんのアリが生きて行けないからね。

来年の計画ができると、僕達魔法使いは葉っぱに乗って、元いた所へ帰って行くんだ。
そう、遠くから集まって来た魔法使いは、魔法が切れたら、一度地面に下りてから、また魔法で飛んで帰るんだ。

そして、温かくなってきたら、僕達魔法使いがまた集まり、生まれたばかりのアリの先生をするんだ。
前からいるアリはエサ集めに忙しいので、僕達魔法使いが先生になって、いろいろと教えるんだよ。
アリ地獄のように危険な生き物や、水たまりの様に危険な場所などを教えるんだよ。巣の外は危ないからね。

だけれど、人間は大きくて、歩いたり、走ったりするのが早いので、人間に踏まれないようにするのは難しいんだ。
だから、人間に踏まれそうになった時は、僕達魔法使いが、人間が転ぶようにしているんだ。

それからね、大きなエサの運び方なんかも教えるんだけれど、たくさんのアリが、みんなで協力してエサを持たないといけないので、みんながエサのどこを持つのかをみんなで考えるんだ。
魔法使いはね、その決める方法を教えるんだよ。
そして、普通のアリは、僕達魔法使いの決めたエサの見つけ方や、エサを運ぶ方法を、みんなでやるんだよ。僕達アリは、みんな仲が良いので、全員でやるんだ。そして、ケガをしそうになった時は、僕みたいな魔法使いが、ケガをしないように、いつもみているんだ。君達のお父さんやお母さんも、君達のことを、ちゃんとみているんだよ。

だから、僕達魔法使いは忙しいんだ。
あ~、忙しい、忙しい。

       おしまい