『川面の鯉のぼり』
今年も、当地ではお馴染みの行事がやってきた。町に入ると直ぐに川が迎え
てくれる。その川に鯉のぼりを飾ろうと始められたのが22年前になろうか。
昨年は大震災で自粛し、今年が21回目になるそうだ。今では、あちらこちらで
同じようなイベントがなされ、規模も大きいものもあり珍しさはなくなった。当地
自慢ではないが、ここの鯉のぼりは老舗なのだ。
と、威張ってばかりはおられない事情がでてきた。イベント実行委員の高齢
化、後継者不足である。
どのイベントをみても、後継者というものが育っていない、育てる若者がいな
い訳ではないのだが。団塊の世代より一回りくらい若い年代までは青年団が
闊歩し、後継者は必然的に生まれ育っていた。
地域の活動をどうやって守るか、継続するか本気で考えなければならないと
『鯉のぼり』も警鐘を鳴らしている。
『手術の説明書』
手術の必要性と危険性の説明書。当然のこと麻酔が必要になる。麻酔の説明
書が出される。術中、何らかの原因で術中に輸血が必要になった場合、輸血
の同意。宗教上の理由で輸血を拒否するケースもあるからだ。
術後、意識のない時に暴れたりして、機具を取り外したりする恐れがあり、身体
拘束、平たく言うとベッドに縛り付けてもいいですか、の同意を取っておく。手術
をするにも手続きだらけで、聞いていても緊張するより、説明が早く終わらない
かなー、とだらけてしまう。
手術の説明書なるもの、長文ながら何かの参考になればと思い、意を決して入
力することにした。
胸部下部食道と胃の噴門部にびらん、潰瘍性病変が認められ、病理組織
検査にて下部食道癌ならびに噴門部胃癌と診断された。化学治療施行に
てやや縮小傾向は認めているが、放置しておくと狭窄による食物通過障害
などの症状進行、出血の出現、転移による病巣の増大などで全身状態が
悪化していくことが予想され、外科的 治療の検討を要する。
10月9日、リンパ節郭清を伴う胸部下部食道摘出術、胃切除術、胆嚢摘出
術、胸腔内もしくは頸部にての結腸、 もしくは小腸、残胃の胃管を用い
た再建を予定。(再建臓器は血行動態をみて選択) 術中の開腹所見に
て癌の広がりをみて、リンパ節郭清のために脾臓摘出、膵尾部切除施行も
要する可能性がある。また、癌の浸潤や腹膜播種転移など回復所見にて
病変が広範囲な場合や、手術にて根治性が得られないと判断した場合は、
切除せず、後日よりの化学療法施行を検討する。
手術は腹部処置、胸部処置、頸部処置の可能性を要し長時間の手術を
必要とし、さらに術中の所見により拡大手術、他臓器切除や輸血などの処
置を必要とする場合もある。侵襲が大きな手術であり術後合併症として血
栓塞栓症、呼吸循環機能低下、出血、感染(肺炎、創感染、腹腔内膿瘍、
腸炎など)や、縫合不全による全身状態の悪化、アルコール性肝障害、慢
性膵炎の悪化などに注意を要する 術後、ICUにての人工呼吸器管理
を要するが、呼吸状態の改善までに長時間を要する可能性もあり気管切
開を要する場合もある。術後のせん妄の出現の際には拘束処置の検討も
要する。
術後の病理組織検査により術後の補助療法(化学療法、放射線治療な
ど)の必要性の検討を行う。術後は、長期的にも神経麻痺による嚥下障
害、嗄声の持続、噴門部狭窄、腸閉塞などに注意を要し定期的な検査
にて、再発の出現確認、食事摂取方法など生活面での注意を要する。
改めて、こうして読むと説明を受けた時とは全く違う文書のように思える。余裕
度の違いか。こうした説明を受けて私からの先生への提言『もしせん妄が出た
ら、縛るなり叩くなり好きな方法で静かにさせてください。どうせ、本人は何を
されたのか分からないでしょうから。』