『あなた』
今の時期、畑は夏野菜の準備で忙しい。先般、種まきをした野菜の苗の管理、
畑での畝つくり、早く耕した場所では草が生え始めている。苗ものを露地に植
えつけるには、夜の温度が低いから未だ早い。
どの仕事を、どうするか・・・・などを思いながら音楽を聴いていたら、小坂 明子
の『あなた』、懐かしいヒット曲だった。
♪ もしも私が家を建てたなら
小さな家を建てたでしょう
大きな窓と小さなドアーと
部屋には古い暖炉があるのよ
真赤なバラと白いパンジー
子犬のよこには
あなた あなた
あなたが居て欲しい
それが私の夢だったのよ
いとしいあなたは今どこに ♪
こんな曲だから当然のことながら若者で流行した。この曲に噛みついたのが、
なんたら評論家のおっさんだった。 『今の若いものには夢がない。小さな家
を建てることが夢 だなんて』酷評をしていた。この歌は1974年にヒットした。
私も未だ若い時、せめてこれくらいの夢を叶えたいと思い一生懸命に働いて
いた時期だった。だから、このおっさんの言い分には腹を立てていた。当時
の日本は景気のいい、バブルの裾払い時期で上げ潮、ムードだったから、
おっさんの評論になったのかもしれない。一世代も変わらない内に、非正規
社員の増加、国内雇用はそして空洞化し、当時、揶揄された小さな家どころ
か、『あなた』すらいない人生を歩まざるを得ない世の中にしてしまった。
何もすべてが、おっさんたちの精だと言っているのではない。
その後のバブル、莫大な利益を手にした経営者はどうしたのか、将来のた
めに何とかしようとしたのか。結局、日本の経営者たちには、経営というもの
の資質を持ち合わせていなかったのだ。かつての大企業の創業者や、その
ブレーンたちは『経営のために雇用に手をつける経営者は失格』とまで言っ
ていた。
グローバル化だとか、何とかだとかの理由をつけて、雇用に手をつけ、人件
費の安い所に工場を作り続けている。こんなことが経営なら誰にでもできる。
東南アジアの人件費が上がったら、アフリカにいく。アフリカが上がったら、
どこへ行くのだろうか。『あなた』の歌で思い出したことから、余りにも世の移
りがおかしな形になったことを嘆くばかり。