R45演劇海道

文化の力で岩手沿岸の復興を願う。
演劇で国道45号線沿いの各街をつないでいきたいという願いを込めたブログ。

琥珀の大地(第4.5回)

2010-10-23 13:50:11 | インポート

 第4.5話 全国の女子高生の皆さん

 YMG66が去った後、一人隠れ家にこもる『ざうるす?』こと、元・内間木竜男。中学生にちやほやされて、変ににやけている。

竜男  俺ってもしかして、女子にモテモテの存在になっちゃうわけ。たまんないねぇ。俺さぁ、ざうるすになってよかったかも知んない。人生の中で最大のモテ期がついにやってきたって感じかな。

  この調子で、もうちょっと売り出しにかかるかな。ついに、芸人としてデビューか!芸名、何にしよう。『ガタゴン』…んん…。全国意識すれば、ちょっと違うなぁ。『ぴんくざうるす』ひらがな、そしてはーとまーく。これ、いけそうだな。ん、わるくない。あれっ、誰か来た。とりあえず隠れようっと。

 そこへ、フォレストボードを持った二人の女子高生が現れる。

サッチー なんで、今日なわけ。

ミサ つべこべ言わない。

サッチー 春になってからでもいいっしょ。

ミサ 春になってからでは遅いの。あの子たちは、次の春には、このフォレストボードが撮りつけられているのを見ることはできないの。

サッチー っていうか、雪降ったら見えないしぃ。

ミサ 無理して、ギャル語使おうとしなくていいから。

サッチー あっそう。あ~よかった。肩こった。

ミサ あんた、本当に高校生。

サッチー どう見ても、高校生じゃん。

ミサ じゃん…。じゃん、なんてあんたくらいしか言わないし…。

サッチー やばっ。だから、高校生っぽくねぇ?。ありゃ、これは逆効果…。

 茂みの中で、竜男がつぶやく。

竜男 ようし、そろそろころ合いだ。登場するぞ!

 竜男ざうるす?登場。

竜男 じゃぁぁぁん。全国の女子高校生の皆さまこ~んにぃち~わ~。私が、今をときめく未確認生物界のアイドル『ピンクざうるす?』くんどうぇ~す。

 二人の高校生、立ちつくす。

竜男 あれ、ギャグがつまんかかったかな。反応うすいぞぉ?。

二人 きゃぁぁぁぁ。

 逃げようとする二人。それを追うざうるす。追ってきたことを知って、腰を抜かす二人。

ミサ 近づかないで。

竜男 脅かしてしまったかな。ごめんごめん。

サッチー しゃべってる…。

竜男 大丈夫だよ。日本語通じるから。

ミサ いやぁ、来ないで、日本語通じるなら、お願い来ないで。

竜男 ごめん、ごめん。こんなに可愛いピンク色の恐竜で。

サッチー ぴんくだって…。気持ち悪ぅい…。

竜男 気持ち悪い…。

ミサ いやぁぁぁぁ。来ないで。来ないで。

 竜男、その場にしゃがみ込む。

サッチー そう、そこから動かないでね。今のうちよ。

ミサ そうね。動かないでよ。

 サッチーと、ミサ這うようにして、その場から去ってゆく。

竜男 あれ、中学生にはかなり受けていたんだけどなぁ。人間の価値観ってさまざまで、本 当に難しいもんなんだなぁ。ピンクでかわいいが、ピンクで気持ち悪い…か。

 竜男、しょんぼりして、藪の中に隠れてゆく。