第4.5話 全国の女子高生の皆さん
YMG66が去った後、一人隠れ家にこもる『ざうるす?』こと、元・内間木竜男。中学生にちやほやされて、変ににやけている。
竜男 俺ってもしかして、女子にモテモテの存在になっちゃうわけ。たまんないねぇ。俺さぁ、ざうるすになってよかったかも知んない。人生の中で最大のモテ期がついにやってきたって感じかな。
この調子で、もうちょっと売り出しにかかるかな。ついに、芸人としてデビューか!芸名、何にしよう。『ガタゴン』…んん…。全国意識すれば、ちょっと違うなぁ。『ぴんくざうるす』ひらがな、そしてはーとまーく。これ、いけそうだな。ん、わるくない。あれっ、誰か来た。とりあえず隠れようっと。
そこへ、フォレストボードを持った二人の女子高生が現れる。
サッチー なんで、今日なわけ。
ミサ つべこべ言わない。
サッチー 春になってからでもいいっしょ。
ミサ 春になってからでは遅いの。あの子たちは、次の春には、このフォレストボードが撮りつけられているのを見ることはできないの。
サッチー っていうか、雪降ったら見えないしぃ。
ミサ 無理して、ギャル語使おうとしなくていいから。
サッチー あっそう。あ~よかった。肩こった。
ミサ あんた、本当に高校生。
サッチー どう見ても、高校生じゃん。
ミサ じゃん…。じゃん、なんてあんたくらいしか言わないし…。
サッチー やばっ。だから、高校生っぽくねぇ?。ありゃ、これは逆効果…。
茂みの中で、竜男がつぶやく。
竜男 ようし、そろそろころ合いだ。登場するぞ!
竜男ざうるす?登場。
竜男 じゃぁぁぁん。全国の女子高校生の皆さまこ~んにぃち~わ~。私が、今をときめく未確認生物界のアイドル『ピンクざうるす?』くんどうぇ~す。
二人の高校生、立ちつくす。
竜男 あれ、ギャグがつまんかかったかな。反応うすいぞぉ?。
二人 きゃぁぁぁぁ。
逃げようとする二人。それを追うざうるす。追ってきたことを知って、腰を抜かす二人。
ミサ 近づかないで。
竜男 脅かしてしまったかな。ごめんごめん。
サッチー しゃべってる…。
竜男 大丈夫だよ。日本語通じるから。
ミサ いやぁ、来ないで、日本語通じるなら、お願い来ないで。
竜男 ごめん、ごめん。こんなに可愛いピンク色の恐竜で。
サッチー ぴんくだって…。気持ち悪ぅい…。
竜男 気持ち悪い…。
ミサ いやぁぁぁぁ。来ないで。来ないで。
竜男、その場にしゃがみ込む。
サッチー そう、そこから動かないでね。今のうちよ。
ミサ そうね。動かないでよ。
サッチーと、ミサ這うようにして、その場から去ってゆく。
竜男 あれ、中学生にはかなり受けていたんだけどなぁ。人間の価値観ってさまざまで、本 当に難しいもんなんだなぁ。ピンクでかわいいが、ピンクで気持ち悪い…か。
竜男、しょんぼりして、藪の中に隠れてゆく。