第三話 竜男の葛藤
竜男 これっていったい何なんだよ。どうして、俺が恐竜にならなきゃいけないんだよ。琥珀が悪かったのかな。きっと、あの琥珀の中に何かエキスのようなものが入っていてそれが、俺に…。でも、何で俺なんだよ。いや、待てよ、あれをあのまま堅実に渡していて、何かの拍子にブローチを壊していたら、彼女が恐竜になっちゃったってわけ…。それを思うと、自分でよかったよな。いやいや、俺でもよくない。
これから、もっと寒くなると、恐竜だから死んじゃうんだろうなぁ。寒さに弱いからなぁ。その割に、今は寒く感じないから助かっているけど。まるで、着ぐるみでも来て、ライトを浴びてるくらいの汗ばむくらいの感じなんで、寒くて死ぬってことは無さそうだなぁ。
それより、腹減ったなぁ。何か食いてぇなぁ。あぁ、千春でラーメン食べたいなぁ。
ラーメン食いに行ったら、ヤスさん驚くだろうなぁ。ラーメン代払えって言うかなぁ。それより、俺だってわかってくれるかなぁ。
…これから、どうやって生きていこう。…これじゃぁまるで、『ガタゴン』じゃねぇか。『ガタゴン』…『ガタゴン』。そうだ、俺は『ガタゴン』になったと思えばいいんだ。俺は『ガタゴン』として、この地に立ち、『ガタゴン』として、生きていけばいいんだ。
ようし、まずは、新聞にでかでか掲載されるように、俺がこの地に居ることをアピールして、華々しくデビューしてやる。
俺は、今日から『ガタゴン』だ!
立ちつくす竜男のシルエットを残像としながら暗転する。