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引越しいたします。

新シルクロード 第5巻 千年の路地に詩が流れる ディレクター国分拓氏

2005-12-18 23:07:03 | テレビ番組

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先週日曜日、鳴り物入りで始まったNHKスペシャル新シルクロードは最終回の西安「千年の都」で放送終了した。

このシリーズ、特に当ブログにも関連しているウイグル族の今を主題とした、先月放送の第9集 「カシュガル、千年の路地に詩が流れる。」が話題を呼んだ。その取材記を記録したシリーズ第5巻が発売された。カシュガル取材記の執筆担当はNHKディレクター 国分 拓 氏である。いとこ(というか彼から見れば大叔父に当たるんじゃ?)の人のブログによれば仙台一高から早稲田を出てNHK。40台には見えないそうである。

当初の「英雄たちのグレートゲーム」の企画がなぜ変更されたのかは定かではなかった。取材記は北京からカシュガルに向かう飛行機の情景ではじまる。
飛行機内はほとんどが漢人、わずかに途中からウイグル人のビジネスマンがのってくる。そしてカシュガルにつけばスローガンの氾濫、「新疆は中国一」といった官製の歌がバザールまでにあふれる。
バザールにいる少年たち(ウイグル族)にあこがれの人物を聞くとNBAバスケット選手姚明とか宇宙飛行士の名前を挙げるという。ウイグル族ではと尋ねると、町のおじさんの名前があげられる。
「西部大開発」が現地の人々に恩恵をもたらさないであろうということは、中国の知識人には「常識」なのだそうだ、NHKにしてはかなり大胆な言い方だ。ちょっと驚き。
ディレクターは今回のテーマをカシュガル観光でも政治でもなく、単に今のカシュガルとウイグル族を見つめようということになり、ウイグル人の居住区で観光地化されてしまっている、チャサー老城の取材となる。当局は取材規制はかなりきびしいがどういうわけか、スムーズに通ったらしい。
老城でのパン職人の弟子の少年、パン売りの少年、そしていまは尊敬の称であるアクサカルと呼ばれるようになっている駄菓子売りの老人。
その内容は放映のとおり。
後日談として、アクサカルの老人は街の人から「漢人と仲良くするな」と言われ、2度目の取材は不可能となった。また、当局は職人見習や、パン売りの少年たちは「就学していない」ということであれ以上の深い取材は出来なかったらしい。

ウイグル人の歴史も多く取り上げられていた。もちろん古代遊牧帝国ウイグルの成立からその西遷、そして現在のウイグル族が彼ら自身の手による建国と信じるカラハン朝の記述もある。そのカラハン朝が西遼の支配下とされてからは「ウイグル族」は現在までに「大きな勢力のもとにずっと従ってきた。」という解釈であった。
残念ながら、その独自の高度な言語、精神文化(トルコ語集成や福楽智恵)については言及されなかった。
「東トルキスタン共和国」の成立もわずかではあるが言及されている。驚いたことにETICのホームページを写した写真もあった。urlこそ記載されてはいなかったが。
また、自治区成立のモニュメントの写真もある。

国分氏が取材対象にしようとしていた一つにテレビ工場がある。それはうちでも以前取り上げたのだが、従業員の30%がウイグル族ということで中国にとっても,
よい宣伝材料であると思われた。ところが直前になってカメラ取材を拒否されたということである。その理由は不明だったが、噂によるとその工場は受注生産制を取っているのだが、実際は工場の注文が少なくカメラを入れるとそれが暴露されてしまうと言う理由ではないかということであった。

ほとんど期待されていなかった、ウイグル人一般の実態を映し出しただけでもNHK国分ディレクターはよい仕事をしたといえるのではないか。彼が先輩の秦正純ディレクター、あるいは安出光伸氏(まだNHKにいるのか?)を意識しているのかはわからない。ぜひ先輩たちの新疆でのよい仕事を受け継いでほしいものである。しかしまた現地のウイグル族が虐げられ、抑圧されている「だけ」だ。というのもある意味うがちすぎている見方かも知れない。最近のエコノミストの記事を見てもそう思える。状況はかなり複雑である、中国のやり方というのが巧妙すぎるからなのか。ウイグル族はじめ各民族の精神、文化を尊重すること。それはウイグル族がムスリムであるがために政治と結びつき限界が現れてくる、その反動としての「厳打」弾圧、そして経済発展にウイグル族ムスリムを参加させる為の費考通の「中華民族」の創造、それは成功しつつあるのか?
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2 コメント

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ご無沙汰しています。ご存知かもしれませんが、本... (梶ピエール)
2005-12-21 18:57:08
ご無沙汰しています。ご存知かもしれませんが、本日のNYTにハワード・フレンチ記者による、コルラにおける資源開発とウイグル人の生活に関する記事が載っていました。ご参考まで。http://www.nytimes.com/2005/12/20/international/asia/20oasis.html
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梶先生お久しぶりです。 (kok)
2005-12-22 22:13:57
梶先生お久しぶりです。
情報有難うございます。早速それをもとに記事をエントリーいたしました。またよろしくお願い致します。
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