<iframe align="left" marginwidth="0" marginheight="0" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=truthofsilkro-22&o=9&p=8&l=as1&asins=406280705X&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" frameborder="0" scrolling="no" style="WIDTH: 120px; HEIGHT: 240px"> </iframe>いかに栄え、なぜ滅んだかをテーマとした「興亡の世界史」シリーズが講談社から発行されている。古代ソグド、ウイグル史を中心においた中央アジア史を専攻する歴史学者の森安孝夫氏が「シルクロードと唐帝国」をそのシリーズのひとつとして出版された。
森安氏はまずはじめに序章として、「真の自虐史観とは何か」と命題を立て、近代歴史学の動向を追い、国民国家とはひとつの概念に過ぎず、その枠組みを守るために一国史、国民史が存在し、それは近代市民社会によって創られたものだとする。そして20世紀になって他方あたらしい進歩主義の唯物主義史観が大きな影響を歴史学に与えたがソ連崩壊と共に影響力が弱まった。そして現在は歴史学の方向として比較史、関係史という視点を踏まえたグローバル世界史が叫ばれている。そして日本では未だに西欧中心の近代史が日本人の歴史観に影響を与えていてそれが「真の自虐史観」であるとする。
そしてこの書の目的として西洋中心主義や中華主義思想とも異なる中央ユーラシアからの視点で前近代の世界史を見直すこととしている。ユーラシア世界史の提唱といえるであろう。
実際、この本のコンテンツの中心をなすのは1.ソグド民族東方発展史、2.唐史での突厥の動向3.安史の乱での(古代)ウイグルの活動の三本立てで新しく定説化しているがいまだ一般にはよく知られていない事実の紹介である。
その序章の中で民族、国民などの概念を説明する部分に気になる記述がある。
「古い時代のウイグルが民族集団として活躍するのは唐からモンゴル帝国の時代までであり、それ以後はウイグルの名はいったん消滅する。
ウイグルの流れを汲むがモンゴル時代以降徐々にイスラム化していった東トルキスタン東部のトルコ人たち、並びにそれより早くカラハン朝治下にイスラム化した東トルキスタン西部のトルコ人たちはオアシス都市群ごとに自己認識し、トルファン人とかクチャ人とかカシュガル人という風に出身地に応じてバラバラに呼ばれるようになる。
それが20世紀前半になって東トルキスタンの政治的統一の必要に迫られたとき、かつて栄光に包まれたウイグルの名前を全体名称として採用するのである。本来ウイグルでない旧カラハン朝下のカシュガル人、コータン人までもウイグルと呼ぶようになったのであり、古代ウイグル史を専門とする私に言わせればこうした新ウイグルは偽ウイグルである。しかも古ウイグルはイスラム教徒ではない。」
私は森安先生のこの偽という言い方はないだろと思う。確かに現在のウイグル族が古代ウイグルの直系であるというのは問題がある考え方である.しかし森安氏は東トルキスタン東部のトルコ人が「(古代)ウイグルの流れを汲む」ということを認めている。これは「偽」という表現と矛盾はしていないだろうか。また東トルキスタン西部のトルコ人がカラハン朝下でイスラム化したとしている、確かにそのカラハン朝の起源は歴史学上定説はないしかし著名な中央アジア学者の羽田明氏ははっきりと「(古代)ウイグル亡命者」としている。(面白いことに中国の学者やウイグル独立派もカラハン朝は古代ウイグル起源説をとっているらしい。)(つづく)
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