中国の長い腕「なぜ、中国の少数民族ウイグル人は先般カンボジアから追放されたのか?」
ウォールストリートジャーナル 12月21日 ラビア・カーディル
土曜夜、暗闇に隠されて中国の特別機がプノンペン空港の軍用区から発ち、20人のウイグル人亡命申請者を運んでいった。このウイグル人亡命申請者の男女、子供のグループにとって、これが彼らの中国の体制からの自由を認める努力の失敗した終末だった。
カンボジアがこの亡命志望者を追放する決定、彼らは国連高等難民弁務官事務所において難民地位を申請する過程のうちにあったのだが、それは北京のウイグル人に対する抑圧は中国国境で止まらないということを思い起こさせるものであった。
ウイグル人とは東トルキスタン(新疆ウイグル自治区としても知られる)の主要なトルコ系のイスラム教徒である人々である。
何十年にも渡りウイグル人は中国政府の手による組織的な人権侵害の犠牲者でありつづけた。
さらなる迫害を恐れ、この20人のウイグル人はキリスト教徒支援団体の援助の元に11月にカンボジアに逃亡していた。カンボジア外務省は当初はUNHCRと亡命面接プロセスに関しては協力するだろうと宣言していた、しかし、悲劇的結果を伴なう180度の転回をした、二日後に20人のウイグル人は「不法入国」をしたと宣言した。カンボジア当局によってウイグル人たちが手錠され強制的にUNHCRの保護から連れ去られたとき、UNHCR事務職員はいまだ彼らの事案での面接を完了していなかった。
中国の送還されたウイグル難民への虐待の記録は中国の領土内で彼らがよりひどく予期するだろう恐怖に私たちを導いている。
追放されたウイグル人たちが公正な裁判を受ける希望はほとんどない:中国外交部発言人はその主張を裏打ちするいかなる証拠も提示せずに(またウイグル人のうちの2人が子供であるにもかかわらず)追放されたウイグル人が犯罪者であるとすでに宣言している。
中国が証明の不在の下にこれらのウイグル人の有罪を執拗に主張することはウルムチ騒乱の後に拘束した他のウイグル人への扱いと一致しており、中国官員はいかなる刑事裁判の開始に先がけてもその有罪を宣言しているのである。
北京はプノンペンに対してウイグル人の追放を確実にするよう強い圧力をかけた、なぜなら一度自由になれば彼らは疑いなく7月5日の出来事の公式の発表に異議をとなえるであろうからである、7月5日に公安部隊はウイグル人抗議活動者に対して暴力的に弾圧し騒乱はウルムチ市街全体に広がったのである。
ウイグル人抗議活動者の公安部隊による殺害やウイグル人への大規模な根拠のない拘束、そして7月5日の午後の平和的な抗議活動に係わらせることにウイグル人たちを向かわせた組織的な人権問題を黙殺し、政府は7月5日騒乱を単に暴力的なウイグル人の少数集団により行なわれた犯罪行動だと描写しつづけている。少なくとも追放されたウイグル人のうち2人が公安部隊が7月5日にウイグル人抗議活動者を殴打、殺害したことを目撃したと報じられている。
カンボジア政府は中国政府との共犯行動について責任を問われなくてはならない。カンボジアは1951年難民条約の署名国である、しかし20人のウイグル人亡命志望者の代理の難民条約締結国である合衆国や他の民主制諸国に耳をふさいだ。プノンペンの決定は疑いなく無法な中国の圧力の影響を受けていた、何億ドルもの援助そして報道されている外国直接投資のうちの10億ドルが背景にある。フン・セン首相は中国をカンボジアの「最も信頼できる友人」と評し、カンボジア政府官僚は12月20日にプノンペンを訪問する中国の習近平副主席を失望させることを嫌ったのである。
カンボジアのウイグル人の追放は、中国が人権侵害に関する国際的圧力に抵抗する能力が増大していることを表しているひとつのサインである。中国の経済的影響力が全アジア及び世界で成長するにつれて、その外交的影響力も同様に成長する。中央、南及び東南アジアの経済は中国との協力に益々依存しており、それにつれて中国市場がそれらの国々の活用できる天然資源への貪欲な欲求を養っている。中国近隣諸国の政府は中国当局を不快にするいかなる行動をすることも嫌っていて、ウイグル人が逃げるところを無くしている。
人権擁護にコミットしているアメリカ合衆国および他の国々は中国に、送還された20人のウイグル人へ法の適正手続きを与えることを要請しなければならない、また中国の「内政不干渉」の文言の下の異議申し立てにかかわらずに懸念の表明を続けなくてはならない。
私の中国の監獄での日々、私の担当看守は往々にして世界は私やウイグル人の自由への奮闘努力に関心を持たないと言っていた、しかしアメリカ合衆国や他の民主制諸国が私の釈放を運動してくれたときに私への扱い方は改善された。もしも20人のウイグル人亡命希望者の安全と幸福に幾許か希望があるならば、世界の諸勢力が中国に彼らの福利に関して中国に圧力をかけつづけることは不可欠である。
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