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ミステリ感想-『ナイチンゲールの沈黙』海堂尊

2009年01月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
病棟一の歌唱力を持つ看護師・浜田小夜の担当患者は、眼の癌・網膜芽腫の子供たち。眼球摘出をせざるをえない彼らに心を痛めた小夜は、患児のメンタルケアを不定愁訴外来担当の田口に依頼し、小児愚痴外来が始まった時同じくして、小児科病棟の問題児・瑞人の父親が殺され、警察庁から出向中の加納警視正が病院内で捜査を開始する。緊急入院してきた伝説の歌姫と、厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔も加わり、物語は事件解決に向け動き出す。


~感想~
白鳥を筆頭とする登場人物たちのキャラ立ち以外はきわめてリアルだった前作『チーム・バチスタの栄光』から一転、シリーズ第二弾はSF要素の濃い作品となった。
物語の鍵を握るある人物の才能が、もはや特殊能力としか呼べない、兵器として軍事利用さえ可能かもしれない突飛さで、解決シーンにいたっては冷静に考えるとギャグにしか思えない情景なのだが、それを納得させてしまう実力が作者にはある。
映画化の話も上がっているそうだが、解決シーンはどう描くのか、どう描いたらバカ映画にならないのか、今から興味がわいてくる。
そういえば解決の一歩手前のシーンも、よく考えてみると相当にアレなので(ヒントは水着)そのあたりもどうするのだろう。

脇道にそれすぎたが、田口と白鳥のかけ合いや、新キャラたちの造型など、前作ファンが期待するとおりのものは、今回も十二分にそろっているので、ファンは黙って買い。


上08.12.29
下08.12.30
評価:★★★☆ 7
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