小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『試験に出るパズル』高田崇史

2002年06月25日 | ミステリ感想
~収録作品~
背スラリ、髪サラリの天才高校生・千波くんが、いとこの“ぴい君”たちとあまりにパズル的な事件を鮮やかに解き明かす!

9番ボールをコーナーへ
My Fair Rainy Day
クリスマスは特別な日
誰かがカレーを焦がした
夏休み、または避暑地の怪


~感想~
『9番ボールをコーナーへ』
見事な解決にうなずく。ありえない偶然はいっそ潔い。

『My Fair Rainy Day』
やや解決が混沌としてしまい、純粋さに欠けるのが惜しい。

『クリスマスは特別な日』
およそ一般人の持ち合わせない知識を総動員しただけ。

『誰かがカレーを焦がした』
軽妙さは群を抜くが、知るよしもない手がかりはやや不満。人を食ったトリックは良い。

『夏休み、または避暑地の怪』
最高。開き直ったような設定、裏の真相(?)ともに結実。まさに怪作。「シャッフルシャッフル!」じゃねえよw 


~総括~
高田さんすみません。今まであなたを誤解していました。
こんな軽妙な……というかふざけた文章を書ける方だとは思いませんでした。
理系らしい物言いは多少鼻につくが、ここまで愉快(怪?)な代物はそうはない。


02.6.25
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『黄色館の秘密』折原一

2002年06月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
実業家の阿久津又造一家が住む「黄色館」は、世界の珍品を集めた秘宝館でもある。
ところが、犯罪集団・爆盗団から純金製の黄金仮面を盗むとの予告が。
そこへのこのこ現われた密室マニア・黒星光警部が、黄金仮面が宙を舞い、密室で人が死ぬ世紀の怪事件を見事なまでに掻き回す。


~感想~
黒星警部シリーズ。
このシリーズらしい肩の力の抜けきった作品。
文体はともかくとして、トリックが珍しく明快で面白かった。


02.6.20
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『比翼』泡坂妻夫

2002年06月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
風神雷神
筆屋さん
胡蝶の舞
スペードの弾丸
赤いロープ
思いのまま
お村さんの友達
比翼
記念日
好敵手
花の別離


~感想~
読みやすいものの、全体として受ける印象は退屈。切れ味をいまひとつ欠く。
衰えたとは思いたくない。真価を!


02.6.12
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『蔭桔梗』泡坂妻夫

2002年06月10日 | ミステリ感想
~収録作品~
増山雁金
遺影
絹針簪
蔭桔梗
弱竹さんの字
十一月五日
竜田川
くれまどう
色揚げ
校舎惜別


~感想~
直木賞受賞作。
ミステリこそほぼ皆無だが、見逃せない佳作ぞろい。直木賞って聞くと「うう~む」だけど。
一編あげるなら『くれまどう』が出色の出来。


02.6.10
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『亜智一郎の恐慌』泡坂妻夫

2002年06月04日 | ミステリ感想
~収録作品~
雲見番拝命
補陀楽往生
地震時計
女方の胸
ばら印籠
薩摩の尼僧
大奥の曝頭


~感想~
ちょっとミステリ初心者に気を配りすぎたのか、トリックも論理も浅く薄い。
「亜」らしさを求めると肩すかしを食う。泡坂作品のご先祖様が次から次へと出てくるのは、好事家には楽しすぎる。


02.6.4
評価:★★ 4
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