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ミステリ感想-『福家警部補の挨拶』大倉孝裕

2009年01月09日 | ミステリ感想
~収録作品~
最後の一冊
オッカムの剃刀
愛情のシナリオ
月の雫


~感想~
「刑事コロンボ」のノベライズも手がけるコロンボマニアの作者が、倒叙形式(犯人の視点で犯行が描かれるもの。古畑任三郎でも有名)に挑んだ作品集。
さすがはミステリ作家界のコロンボ第一人者、巧みなトリックと大胆な伏線、刑事による気づきとねちっこい捜査と、倒叙――というよりコロンボ物――に必要なものがすべてそろっている。
白眉はドラマ化もされた『オッカムの剃刀』。上記の必要なものはもちろんのこと、倒叙ミステリになくてはならない「初めて会ったときから犯人だと思っていました」が炸裂する年間ベスト級の傑作である。
コロンボ代わりとなる福家警部補のキャラが童顔のドジっ娘(でも三十路)くらいしかないのがわずかに不満だが、シリーズが進むにつれ肉付けされて欠点は解消されることだろう。今後も実に楽しみなシリーズである。


08.12.22
評価:★★★☆ 7
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