小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『にわか名探偵 ワトソン力』大山誠一郎

2024年05月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
警視庁捜査一課の和戸宋志は、周囲半径20メートルの人々の推理力を底上げする特殊能力「ワトソン力」を持つ。
和戸の周囲で起こる事件を、居合わせた面々がワトソン力による推理合戦で解いていく。


~感想~
大山誠一郎にとってワトソン力は一つの発明である。
もともと典型的なパズラーを得意としていた作者が、舞台と登場人物と事件だけ数ページで説明したら後は延々と推理パートを描けるおかげで筆はイキイキと乗り、誰が最終的な探偵役になるかわからない目まぐるしい推理合戦も実に楽しい。
どれもこれも期待通りに粒揃いなので個々の短編について詳しく言及しないが、個人的に最も好みだったのは冒頭の「屍人たちへの挽歌」で犯人特定の流れが実に美しかった。
また書き下ろしのラスト一編はボーナストラック的内容で、無理くり連作短編集としてつなぎ合わせる荒業かつ、それまでの各編と異なり無から次々と伏線を取り出しては無為の推理を繰り広げ笑わせておいて、油断したところに重たい一撃を叩き込んでくる見事なものだった。


24.5.28
評価:★★★★ 8
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今週のキン肉マン #453 最強の男を閉じ込める方法!!

2024年05月27日 | 今週のキン肉マン
・まさかここでダンベルが来るとは
・全く気付かないザ・マン面白い
・何ポーズ決めとんねん
・墓守鬼がサイコマンコールして歓迎したの目に浮かぶ
・ファナティックこれでサイコマンの容姿も知らないは無理がある
・命だったダンベル
・ネメシスも不老不死を授かってるはずだがどうなってるんだろうか
・ということは悪魔将軍も固まってる
・ザ・マン、ジャスティスマン、悪魔将軍の強すぎ3人の封印に成功
・飛行中に固まったシングマンかわいそう
・シングマンはまだサンシャインにかっ飛ばされて空を飛んでいるという風潮
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ミステリ感想-『最悪』奥田英朗

2024年05月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
近隣住民の騒音への抗議に苦しむ工場長。
その日暮らしからヤクザの怒りを買い命の危機に陥ったチンピラ。
上司のセクハラと妹の引きこもりに悩む銀行員。
重ならないはずの3人の運命が交錯する。

99年このミス7位、文春9位、吉川英治文学新人賞・候補


~感想~
伏線のカタルシスも見事なオチも意外な結末もない伊坂幸太郎だった。
直木賞作家の筆力で延々と気分が悪くなるだけの話をしかも三通りも描く中盤まではタイトル通りに「最悪」で、3人の運命が交錯する場面までは良かったが、結末が実にいただけない。期待される着地のうちで最も無難な、最もつまらない、最も何も起きない軟着陸で、これだけの長編のオチとしては「最悪」の部類である。
オチが命の群像劇でこれは無い。完全に無い。ストーリーもチンピラがただただ愚かなために成立しているだけなのも残念だった。
というか個人的にはいったい何をどう楽しめばいいのか、何がどう面白いのか全く理解できなかったのだが?
たぶん唯一の「最悪」という言葉が誰から出たのかが面白いのか? だったら全然後発だが「忍者と極道」の方がはるかに処理が上手い。
とにかく自分にとっては全く口に合わない、面白さすらわからない一冊だった。


24.5.23
評価:★ 2
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今週のキン肉マン #452 五大刻の暗躍!!

2024年05月20日 | 今週のキン肉マン
・ペシミマン全然気づかない
・頭も弱そうだ
・行けるぞウォーズマン!
・オニキスマン戦で自分は悪だったと語ったウォーズマンが希望の光を論ずる
・絶望を教えてやるペシミマンと希望を教えてやるウォーズマンの対比
・試合前に形勢を五分以上まで戻した
・ウォーズマンは今クロエの姿でオニキスマンの胸当てを持っている
・ロビンは鎧を失い五大刻の足止めに向かっている
・オニキスマンの胸当てはケビンマスクの鎧そっくり
・満身創痍で劣勢のウォーズマンとロビン交代し鎧を渡すのでは?
・むざむざ交代できないと言うウォーズマンに正体を知りながらロビンはクロエとして接して交代する展開
・ここでネメシスパートに
・サイコマンではなくまずグリムリパーと呼んでしまうのいいね!
・本人をよく知るネメシスが別人と考えるその正体は
・囚われのジャスティスマン!
・ファイティングポーズで固まってるから負けたわけではなく罠にはめられた
・ファナティックといえどもページ外で倒せる相手ではない
・次回数ページでハワーーでタンク破って出てきてもおかしくないからジャスティスマンはすごい
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今週のキン肉マン #451 ウォーズマンライジング!!

2024年05月13日 | 今週のキン肉マン
・一番手ウォーズマン!
・パピヨンマンに続き時間超人が実力を見せそうな試合順
・ウォーズマン読み切り読んだような読んでないような…
・量産型クロエwww
・クロエのデザインここからなの!?
・ペシミマンむちゃくちゃしゃべるじゃん
・ニキニキwwwww
・なんJ民みたいな笑い声でだいぶ株が下がった
・まさかのクロエ変装!!!!!
・不思議なほどに馴染む姿――は絶対流行る(※流行った)
・死ななければいいやと思ってたウォーズマン戦が超面白くなった
・無口キャラかと思ったら全然そんなことなかったペシミマンもだいぶ株下がったし行けるぞ!!
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ミステリ感想-『ぼんくら』宮部みゆき

2024年05月11日 | ミステリ感想
 


~あらすじ~
江戸の町のどこにでもある長屋の一つだった鉄瓶長屋に次々と起こる大小さまざまな事件。
若き差配人・佐吉の奮闘むなしく一人、また一人と住民は去っていき、のんびり屋の同心・井筒平四郎はその裏に何かを感じ取り、美少年の甥の弓之助らとともに探りを入れる。

00年文春9位


~感想~
江戸時代が舞台だがそこは時代小説を何度となく書いてきた国民的作家なので心配無用。専門用語も適宜説明が加えられ読むのに支障はない。
文春9位とミステリ的に評価されたのも納得で、冒頭から殺人や日常の謎に分類される事件が次々と起こり、裏にはもちろん何かが隠されている。
一癖あるしかし憎めないキャラ立ちした登場人物がいきいきと描かれ、文庫版で上下巻を少しも飽きさせずに読ませてくれ、勧善懲悪とはいかないどこかやりきれない物語を、末尾の「幽霊」でしかるべき人物がしかるべき人物へやることをやるのが実にお見事。宮部みゆきは本当に物語の着地が上手い。
ランクインしていないが続編もあるそうなのでいつか読んでみたいと思う。

なお直前に読んだ米澤穂信「Iの悲劇」が大小さまざまな事件により住民が次々と去っていき裏に何かがあるプロットまでは同じだったが、全くの別物だったことを付記しておく。


24.5.11
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『冬季限定ボンボンショコラ事件』米澤穂信

2024年05月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
小鳩くんは小山内さんと下校中に車にはねられる。手術を終え朦朧とする小鳩くんの枕元には、ひき逃げ犯を許さないという小山内さんのメッセージが。
ひき逃げ事件には3年前、中学時代に二人が出会い、そして追った事件といくつもの共通項があり…。
これは高校生活の終わり、小市民の時代の終わりのエピソード。


~感想~
小市民シリーズ完結編。
前作にしてシリーズ番外編「巴里マカロンの謎」は小鳩くんも小山内さんもいつになく推理にキレがなく、読者には自明の真相に気づかない二人にやきもきさせられたが、本作にはこのシリーズに求めるものが全部入りである。
そのうえ二人の出会いやまだ未熟ながらも実に二人らしい中学時代の捜査も描かれ、そして3年間の月日で変わってきた二人の関係も丹念に描かれと、もう捨てるところのない「それだよ読者が求めているモノは!」と興奮気味に叫びたくなる逸品である。
肝心の真相は丹念に描かれた分わりと気づきやすく、中盤にはもう仕掛けや構図はほぼほぼ見破れてしまったが、それで評価を下げるわけはないし、そんなことよりも読みどころははるかに多い。ラストシーンに至ってはあまり使わない「エモい」という言葉を進呈したいほど。さすがにもう覚えてない15年前のセリフも解説の松浦正人がきちんと拾ってくれていて助かった。
シリーズを追ってきた人は当然読むだろうが、こんな素晴らしい完結編が待っているのだから、夏アニメから入る未来の読者にもぜひシリーズをはなから読んで欲しいと願うばかりである。

ここからは無為の愚痴だが、「可燃物」程度で三冠取りかけられるともう今年のこのミスは「ボンボンショコラ事件」一択である。
安定して80点以上を叩き出しコンスタントに年に数作書け投票しとけば安牌な国民的作家がいたらもう年間ランキングは終わり。宮部みゆきの頃は「もう今さらランキングに宮部みゆきはいいでしょ。でも模倣犯を出されたら1位」という気概を持つ投票者たちだったが今は安牌しか切らない。
「可燃物」で20年楽しんできたこのミスは死んだ。文春はとっくに死んでる。本ミスは首の皮一枚つながってる。早ミスはそもそも生まれてすらいない。


24.5.3
評価:★★★★ 8
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5月の新刊情報

2024年05月01日 | ミステリ界隈
10日 創元推理文庫
伊吹亜門 雨と短銃

15日 講談社
金子玲介 死んだ山田と教室 ※メフィスト賞

22日 光文社
大山誠一郎 にわか名探偵 ワトソン力

22日 星海社
深水黎一郎 真贋

23日 実業之日本社
東野圭吾 クスノキの女神

29日 新潮文庫
芦沢央 神の悪手

31日 東京創元社
櫻田智也 六色の蛹

31日 創元推理文庫
方丈貴恵 名探偵に甘美なる死を
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