小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

1ページも読んでないテンカイチ 日本最強武芸者決定戦 予想

2021年03月02日 | マンガ感想

※クリックで拡大

このインパクト抜群のトーナメント表で戦国ファンをにぎわせた テンカイチ 日本最強武芸者決定戦 の予想を戦国ファン視点で今さらしてみる。
1ページも読んでいないが設定は、

・織田信長が天下統一したパラレルワールドの1600年
・死期を悟った信長が武芸者16人を集めさせ、優勝者の後援者に天下を与える

というものらしい。
つまり勝敗予想は武芸者の実力のみならず、後援者の地位・実力も重要だということだ。
早速予想を進めて行こう。


◆本多忠勝(徳川家康) VS 宮本武蔵(長宗我部元親)

第一試合から優勝候補筆頭を激突させるのは漫画的に上手い。
本多忠勝は生涯でかすり傷一つ負わなかったと言われ、そのため戦国BASARAではロボットにされた。
宮本武蔵は説明不要の戦国最強の剣豪である。
「喧嘩稼業」の陰陽トーナメントでいう陰の最強と陽の最強が戦う形だが、後援者を見ると随分と差がある。史実での天下人の徳川家康と、四国王者の長宗我部元親では、普通に考えれば勝負にならない。
漫画的に見れば史実の天下人が初戦敗退という展開は非常にありそうだし、長宗我部元親が勝ち進めば、誰が勝ってもおかしくない雰囲気は出せる。
だが戦国ファン視点と言っておきながら、漫画的な予想に流れては意味がないので、ここは素直に本多忠勝の勝利と予想しておこう。

本多忠勝 ○-× 宮本武蔵


◆風魔小太郎(北条氏政) VS 富田勢源(近衛前久)

服部半蔵と双璧をなす有名戦国忍者の風魔小太郎と、佐々木小次郎の師匠で「喧嘩稼業」の主人公の佐藤十兵衛の流派としても著名な富田流の始祖である富田勢源。
後援者は風魔小太郎は出身地の大名、富田勢源は戦国で最も有名な公家。後援者からは信長とも親交のあった近衛前久が有利だが大きな差はない。
漫画的に見ると風魔小太郎がくのいちらしいので大きなアドバンテージがあるし、富田勢源との知名度でも上回る。風魔小太郎に負ける理由は無いだろう。

風魔小太郎 ○-× 富田勢源


◆ウィリアム・アダムス(毛利輝元) VS 柳生宗矩(織田信忠)

全然戦うイメージのないウィリアム・アダムスこと三浦按針がまさかの参戦。絶対に暗器使いのはず。
柳生宗矩は単なる殺人技だった武芸を武道に昇華させた剣豪。戦国最強候補の一人でもあり、これを長男(織田信忠)の担当に付けた信長のガチっぷりがうかがえる。
アダムスを出されてはもう史実的な目線ではどうしようもないし、後援者の毛利輝元もしょぼいので、ここは柳生宗矩の勝利としか言いようがない。

ウィリアム・アダムス ×-○ 柳生宗矩


◆上泉伊勢守(柴田勝家) VS 日野長光(羽柴秀吉)

戦国で「剣聖」と呼ばれるのは塚原卜伝と上泉伊勢守だけ。対する日野長光は「信長お気に入りの力士」以外の事績がほぼ無い。
これも史実的な目線では困ってしまうが、後援者を見ると賤ヶ岳の戦いのリベンジマッチとなっている。リベンジを果たすなら柴田勝家の勝利だが、天下人の秀吉が連れてきた日野長光が弱いわけがない。
事績が無いのをいいことに日野長光がむちゃくちゃ強いと見立ててここは勝つと考える。史実なら上泉伊勢守100歳近いし。

上泉伊勢守 ×-○ 日野長光


◆佐々木小次郎(明智光秀) VS 服部半蔵(滝川一益)

武蔵に負けた小次郎と秀吉に負けた光秀のタッグは良い。実に良い。
服部半蔵は本来なら徳川家康が連れてくるはずだが、家康は本多忠勝を担当したため関東管領で任地が近く、前歴が忍者とも噂される滝川一益が後援者を務める。
これは小次郎が、というか光秀が負ける理由は一切ない。滝川一益が実は半蔵の父か師匠だったくらいの裏設定がなければ逆転不能だろう。

佐々木小次郎 ○-× 服部半蔵


◆東郷重位(島津義久) VS 弥助(織田信雄)

東郷重位は示現流の始祖で「二の太刀いらず」や「チェスト」の掛け声で有名で漫画的には色々できそうだが、史実では目立たない。弥助はだいぶ有名になってきた、信長に仕えた黒人。
後援者は東郷重位は出身地の大名、弥助は信長の次男と大差はない。
だが東郷がいかんせん後援者ともども地味すぎて、勝ち上がる画が一切見えない。弥助の順当勝ちでいいだろう。

東郷重位 ×-○ 弥助


◆宝蔵院胤舜(前田利家) VS 林崎甚助(伊達政宗)

また地味なの来たな! 宝蔵院胤舜は戦国で最も有名な槍術の始祖。林崎甚助は居合斬りの始祖である。
地味さでは甲乙つけがたいので後援者を見れば一目瞭然、利家が独眼竜に勝てるわけがない。
というかこれ利家は前田慶次を、宝蔵院流なら可児才蔵を連れてくるほうが漫画的には正解なのだが、そうはしない人選のガチさが戦国ファンにはうれしい。

宝蔵院胤舜 ×-○ 林崎甚助


◆伊藤一刀斎(丹羽長秀) VS 小笠原長治(上杉景勝)

後半4人、東郷入れて5人が地味すぎるのだが人選に困った? このへんの連載大丈夫? とちょっと心配になる地味さ。
伊藤一刀斎はいいとして小笠原長治は他に誰かいなかったのか? 後援者も丹羽長秀と上杉景勝って……。
大トリで上杉景勝が出てくるのもアレだし、もしや試合前に小笠原長治が退場して上杉景勝と縁深い前田慶次が殴り込んでくるのではなかろうか?
いやこれ本当にありそう! 戦国ファン視点はかなぐり捨てて、予想はこれで行かせてもらう。

伊藤一刀斎 ×-○ 前田慶次


◆本多忠勝(徳川家康) VS 風魔小太郎(北条氏政)

こうして見ると服部半蔵と友情を育んでそうな本多忠勝が風魔小太郎と当たる展開は実にありそう。
忍者や兵法家ばかり勝ってもなんだし、本多忠勝には決勝に行ってもらいたいし、いくらなんでも北条氏政がベスト4に駒を進めることはないだろう。

本多忠勝 ○-× 風魔小太郎


◆柳生宗矩(織田信忠) VS 日野長光(羽柴秀吉)

信長の長男と史実の後継者の対決! これもありそう!
次に当たる後援者が家康と考えると、ここは秀吉でいいだろう。陰陽対決の形にもなるし間違いない。

柳生宗矩 ×-○ 日野長光


◆佐々木小次郎(明智光秀) VS 弥助(織田信雄)

光秀 VS 弥助ありそう! 弥助が「お前は裏切ると思っていた」とか言い出しそう!
歴史的敗者タッグが信雄に負ける画はちょっと見えないのでここも小次郎が勝つだろう。

佐々木小次郎 ○-× 弥助


◆林崎甚助(伊達政宗) VS 前田慶次(上杉景勝)

政宗 VS 前田慶次これでしょ! 絶対こうなるでしょ!
あ、これ林崎甚助に1ミリも勝ち目ないな。

林崎甚助 ×-○ 前田慶次


◆本多忠勝(徳川家康) VS 日野長光(羽柴秀吉)

準決勝で天下人対決! これはありそう!
さすがに史実的にほぼ存在しない日野長光の快進撃もここで止まるだろう。
ここ勝ったらもう優勝させるしかないが、知らない力士が優勝ってなんだよとなるし。

本多忠勝 ○-× 日野長光


◆佐々木小次郎(明智光秀) VS 前田慶次(上杉景勝)

これは読めない。漫画的には電撃参戦した前田慶次が決勝に行くのが当然ながら、小次郎&光秀の決勝行きそう感が半端ない。
後援者の差からして上杉景勝が天下人はないだろうし、前田慶次は他の漫画の主人公だし、ここで消えてもらおう。

佐々木小次郎 ○-× 前田慶次


◆本多忠勝(徳川家康) VS 佐々木小次郎(明智光秀)

武蔵を倒した本多忠勝と、佐々木小次郎で新・巌流島。ありそう……。
何よりも史実の天下人・家康と三日天下の光秀の対決が超ありそう。
そしてこうなったら小次郎、というか光秀の勝利は疑いない。
光秀が「私は与えられるのではなく貴様から天下を奪ってみせる!」とわざわざ表彰式で信長に襲いかかりそうだし、なんやかやあって信長は紅蓮の炎の中で敦盛舞いながら死にそう。ってか絶対死ぬ。

本多忠勝 ×-○ 佐々木小次郎



※クリックで拡大

というわけで優勝は佐々木小次郎(明智光秀)と予想する。
1ページも読んでないので、すでに本多忠勝が負けてたり、前田慶次が死んでる可能性もあるが、気にしないでいただきたい。
後は打ち切られずに完走してくれることを切に祈りたい。
コメント (5)

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 12』加藤元浩

2020年03月09日 | マンガ感想
「封泥」★★☆ 5
~あらすじ~
古代バビロニアで交易に用いられた行政文書が盗難されるが、入っていた壺には封泥がされたまま。謎を解くため森羅を呼び寄せたのは、彼の3人の養父の一人レイ博士だった。

~感想~
森羅の養父の一人レイが初登場。森羅の変人ぶりの何割かは彼の影響だ。
読者には絶対解けないトリックだが、単純に封泥そのものが興味深い。

「老婆と猿」★★☆ 5
~あらすじ~
立樹の祖父の友人に頼まれ蔵の整理を手伝う森羅たち。だが屋敷の主の老婦人が急逝し、密室の中には彼女の飼っているマントヒヒだけがいた。

~感想~
某街の殺人オマージュというほどのことはない小ネタ。森羅が最後に手に入れた物が主眼である。

「張(チャン)の幽霊」★★★☆ 7
~あらすじ~
香港の占い師に羅盤を売って欲しいと粘る森羅。占い師の甥の刑事は、人気女優の張が3ヶ月前から幽霊が見えるようになり困っていると相談する。

~感想~
強気にも2回に渡り意外な解決をアピールしただけはある結末。アンフェアといえばアンフェアなんだけども。
それよりもこれまで何度も見せてきた、作者のホラーの素養が全開で素晴らしい。いっぺん純然たるホラーを描いて欲しい。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 11』加藤元浩

2020年03月08日 | マンガ感想
「ファイストスの円盤」★★★ 6
~あらすじ~
本物のオーパーツとも呼ばれるファイストスの円盤の印章が売りに出される。その商談中、買い手の兄嫁が離婚係争中の夫を追いクルーザーに乗り込んでくるが、彼女が何者かに射殺される。

~感想~
ファイストスの円盤がほとんど関係ないが、円盤自体は興味深いし、事件の構図とオチが見事。Q.E.D.でも全然描けた佳作ミステリだったと思う。

「初釜事件」★★☆ 5
~あらすじ~
茶会のたびに友人に自慢話をされるのにうんざりした立樹の祖父は、博識な森羅を連れて行き亭主の鼻を明かそうとするが、茶会の後に箱の中で黒楽茶碗が独楽にすり替わってしまう。

~感想~
マンガならではのトリック。内容より森羅を名字で呼ぶ立樹祖父に違和感がw
好好爺然してるのに壁を感じる。

「丸〆猫」★★★ 6
~あらすじ~
妻を亡くして以来ふさぎ込んだ男の周囲で奇妙な出来事が相次ぐ。彼は妻との思い出の品である丸〆猫があの世に招いているように思え……。

~感想~
普通にキモい丸〆猫がどんどん怖く見えてくるホラー風味。だが一番怖いのはひょっこり出てくる犯人で、こんな日常の謎にふさわしくない計算ずくの知能犯である。
あと人間心理のわかってきた森羅だが、(ネタバレ→)博物館へのアクセスまでは気が回ってないのが笑った。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 10』加藤元浩

2020年03月07日 | マンガ感想
「その差6千万年」★★☆ 5
~あらすじ~
ゴビ砂漠で発見された人間と恐竜が同じ地層に埋まった化石。人類は恐竜の絶滅から6千万年後に現れたはずが……。

~感想~
オカルトファンには有名な話なので特に感想はない。

「釘」★★★ 6
~あらすじ~
森羅らの高校で流行する不幸のメール。添付された写真に写る、杉の木に打ち付けられた藁人形にはひき逃げ事件の被害者の名前が書かれており、加害者は何者かが被害者を突き飛ばしたと主張していた。

~感想~
作者おなじみだが、ひき逃げ犯の名字が「出会頭」で笑った。チャカ崎かよ。
オカルト風味の物語はもちろんのこと、ある事実をその場で告げず、ここぞという場面まで口をつぐんでいる森羅の成長がうかがえるのも面白い。

「地球最後の夏休み」★★☆ 5
~あらすじ~
夏休み最後の日に海水浴に出掛けた森羅たち。海の家の主人から近くの洞窟に幽霊が出ると聞かされ、肝試しに行くと不気味な笑い声が……。

~感想~
夏を描くのがめっぽう得意な作者がまた一編を積み上げた。トリック? 何それおいしいの?

「ヒドラウリス」★★★ 6
~あらすじ~
イタリア山間部の村に伝わる呪いのパイプオルガン。それを弾いた者は命を落とすといい、森羅が調査に赴く。

~感想~
これは良いトリックですね! こういうのはマンガでやってこそ映える。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 9』加藤元浩

2020年03月06日 | マンガ感想
「太陽とフォークロア」★★★☆ 7
~あらすじ~
かつてインカ帝国の都として栄えたクスコ。太陽神殿の遺跡の地下道で黄金を手にした少年が発見される。
遺跡の道案内を務めていた少年は、大学教授とともに調査に行き、教授とはぐれたと語り、黄金郷の存在に騒然となる。

~感想~
C.M.B.ならではの歴史ロマンと冒険が光る一編。マチュピチュと現代にも残るロマンあふれ過ぎな地下迷宮が出てきただけでもう満足である。
ミステリ的にも意外な、そして最後まで悪気のなさそうな犯人のインパクトは強い。


「メタモルフォーゼ」★★☆ 5
~あらすじ~
森羅らの通う高校の図書室に飾られていたマリア・シビラ・メーリアンの絵画が忽然と姿を消し、居合わせた生徒が疑われる。

~感想~
小ネタ程度のトリックながらメーリアンという女傑と、タイトルと絡めた結末が良い。
立樹は年齢の割にちょっと人間が出来すぎているがw


「死滅回遊」★★☆ 5
~あらすじ~
沖縄を訪れた森羅らはスキューバダイビングインストラクターの夫婦喧嘩に遭遇。前妻は死滅回遊に飲まれ亡くなっていたが、夫に殺されたという噂も立っていた。

~感想~
森羅以外にほぼ推理不能のトリックは置いといて二段構えの真相に見どころはある。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 8』加藤元浩

2017年10月21日 | マンガ感想
「1億3千万人の被害者」★★★ 6
~あらすじ~
警視庁一の真面目人間と呼ばれる鯨崎警部のもとに届いた「1億3千万人が被害者になる」という予告状。差出人はかつての冤罪事件の被害者と目され、警部は張り込みを開始する。

~感想~
「Q.E.D.証明終了」の水原警部に相当する警察側の協力者として鯨崎警部が再登場。清涼院流水みたいなタイトルからの皮肉の利いたトリックで印象に残る。


「メテオライト」★★★ 6
~あらすじ~
カザフスタンで発見された隕石落下後のクレーター。そこはロシアの宇宙基地内であり、隕石の所有権を争う両国は森羅に裁決を委ねるが、なぜか隕石の破片は1つも発見されず……。

~感想~
C.M.B.の指輪の持ち主のため、この手の依頼を受けるのは実は燈馬よりも森羅の方が自然な流れである。
隕石の所有権についての小ネタと、1つ視点をずらしたトリックが冴える一編。


「櫛野村奇譚」★★★☆ 7
~あらすじ~
スキー旅行にやってきた櫛野村で吹雪により遭難した森羅と立樹。山小屋にたどり着くが、そこは過去の櫛野村で、伝承通りにある死が迫っていた。

~感想~
「Q.E.D.」でも描かれたタイムスリップ物。こちらは奇譚としての側面が強く、トリック云々よりも話自体が面白く、正直この分量で描かれるにはもったいないほど。


「牡山羊の像」★★ 4
~あらすじ~
森羅博物館の模様替えを依頼された運送業者。業績不振にあえぐ彼は大金に目がくらみ、森羅の所有する牡山羊の像をすり替えるようそそのかされる。

~感想~
ぶっちゃけ結末はわかっているのだが騙し合いが見もの。それにしてもあのヒントは不自然すぎだろw
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 7』加藤元浩

2017年10月19日 | マンガ感想
「飛蝗」★★★ 6
~あらすじ~
道路建設に揺れる村。蝗害が発生し農薬が撒かれることになるが、村の子供に綺麗な鳥が死んでしまうと相談され、ヤイロチョウとにらんだ森羅は現地に向かう。

~感想~
この巻から4話収録がデフォルトとなり、「Q.E.D.証明終了」で使えないような小ネタで描かれた1話が増えていく。それはそれで面白いからいっこうに構わない。
というわけで今回は蝗害とヤイロチョウのウンチクで1話が描かれる。なお森羅がイナゴに埋め尽くされる場面は閲覧注意。


「鉄の扉」★★★ 6
~あらすじ~
300kgの鉄の扉に閉ざされた防空壕の中で発見された死体。誰がいかにして男を閉じ込めたのか。

~感想~
重たい扉の開け方で1話……だけではなく、決定的証拠の隠し場所が光る1編。


「イン・ザ・市民プール」☆ 1
~あらすじ~
立樹の安息の場である市民プールで起こる数々の小事件。

~感想~
小ネタ過ぎて何を言えば良いのかすらわからないが、つくづく夏の描き方の上手い作者である。


「ザ・ターク」★★★ 6
~あらすじ~
チェスを指すからくり人形「ザ・ターク」の見物に来た森羅と立樹。森羅が対局相手を務めるが、そのさなかに盗難事件が発生する。

~感想~
きわめて単純ながら納得の行くトリック。熟練したミステリ作家にはたった一つの小ネタを与えるだけで短編が1つ作れるという好例である。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 6』加藤元浩

2017年10月17日 | マンガ感想
「カノポスの壺」★★★★ 8
~あらすじ~
エジプトの博物館で起こった猟奇殺人事件。被害者は銃殺され臓器を奪われていた。
銃弾で母の思い出の品を壊された森羅は怒りと悲しみを胸に犯人を追う。


~感想~
「Q.E.D.証明終了」とのコラボ作品。
森羅と燈馬は従兄弟同士という関係が明かされ、血は争えないというか、二人の名探偵の共通点や、それを補佐する可奈と立樹の苦労が描かれるのが面白い。
似通った立場と性格の可奈と立樹が意気投合するのは当然として、この二人が揃えば期待される大立ち回りはもう突き抜けるところまで行ってしまい、以降のシリーズではもはや人外の域に達しているのはなんともはや。それにしても立樹は用心棒として可奈を招くのだが、いったいどこで可奈の人外の力に気付いたのか。描かれなかっただけで裏で手合わせしたのか、それとも達人は達人を知るということか。

話が逸れたがミステリ的にも被害者をつなぐミッシングリンクや、謎めいた動機にどんでん返しと一通り揃い、またピラミッドにまつわる謎に加えられる森羅の解釈の数々も興味深い。
それだけではなく森羅の過去、亡き母との思い出もここぞという場面で描かれ、1冊をまるまる1話に費やしただけはある、シリーズ屈指の良作である。
コメント

マンガ感想-『Q.E.D.証明終了 44』加藤元浩

2017年09月19日 | マンガ感想
「チューバと墓」★☆ 3
~あらすじ~
殺人現場を目撃した探偵同好会の三人組。ところが死体が隠されているはずの現場にはチューバの入った箱と、ガラクタ人形が埋められた墓しか無かった。


~感想~
三人組がいないとほぼ成立しないトリックで、犯人にどういう勝算があったのか理解に苦しむ。警察が無能なだけで逃げ切りかけたような。


「Question!」★★★★★ 10
~あらすじ~
燈馬のもとに届けられたフェルマーの定理が書かれた便箋と、温泉旅館への招待状。
そこには同様に招かれた二組の離婚調停中の夫婦がいた。招待主の正体とその意図は?


~感想~
シリーズ全体でも最高クラスの傑作。初読時にはその年のこのミス裏1位に推したほど。
言われてみれば納得の、しかし予測不能の真相に仰天。
細かい疑問があるにはあるのだが(ネタバレ→)最大の疑問は資金源が不明なこと。まあこれだけの知能を持ちネットを自在に使えるならいくらでも稼げるだろうが。 疑問はあれど全てを補って余りある真相の衝撃がすさまじい。
またラストシーンもこの瞬間のためだけにやってきたのだと感慨深い。
コメント

マンガ感想-『Q.E.D.証明終了 43』加藤元浩

2017年09月17日 | マンガ感想
「検証」★★★☆ 7
~あらすじ~
多方面から恨まれていた製薬会社社長が自邸で殺され、娘婿が逮捕された。
その弁護士はアリバイが無いのは本当に娘婿だけなのか検証するため、TV番組に企画を持ち込み、燈馬らに当日の様子を再現させる。


~感想~
推理ゲームに燈馬がどう挑むのか、という展開をあざ笑うように斜め上の視点から真相が降って湧く。
皮肉の利いた解決もまた見どころの良作。


「ジンジャーのセールス」★★★☆ 7
~あらすじ~
MIT時代の恩師の依頼で、銀行の投資先の監査を手伝うことになった燈馬。
民間宇宙旅行会社への融資を求め天才セールスマンとうたわれたジンジャーが現れるが、旅行会社の実情は穴だらけで、ジンジャーは妻を亡くしたトラウマから嘘がつけなくなっていた。


~感想~
お察しの通り主役は燈馬でも可奈でもなくジンジャー。彼がいかにしてセールスを成功させるのかという興味で最後まで引っ張る。
コメント