小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『黄土館の殺人』阿津川辰海

2024年03月06日 | ミステリ感想
~あらすじ~
元名探偵・飛鳥井光流のSOSに応え芸術家一家の暮らす荒土館を訪れた葛城輝義と田所・三谷。
しかし地震で道路は封鎖され、葛城と田所・三谷は内外に分かれてしまう。
近くの旅館で宿を取った葛城は偶然にも殺人計画に巻き込まれ、そして荒土館では惨劇の幕が開く。


~感想~
シリーズ3作目。
もう章題からして「名探偵・葛城輝義の冒険」「助手・田所信哉の回想」「探偵・飛鳥井光流の復活」と激熱の並びでワクワクしてくるが、冒頭には「顔を見ずに交換殺人の約束を交わす二人の殺人者」というさらに激熱かつ「某有名作家の代表作の真相」を思い出さずにはいられない展開が飛び出すホットスタートで、サービス精神はいつも通りに満点。
その後も別の「某有名作家の代表作の真相」を思い出させる仕掛けが思っただけで3つ繰り出され、既視感はさすがに否めないし、わりと無理のある強引な設定・トリックは多々見られるが、膨らんだ期待にきっちり応えた真相と結末が待ち受けていてくれるので、十分に満足した。
デビュー以来続けている本ミスランクインは今回も確実だろう。

しかし欠点が無いわけではなく、自分を「勘の良い読者」に定義するのは汗顔の至りだが、「勘の良い読者」なら(※以下ネタバレのため 別ページへ)で早々に犯人も構図もわかってしまうのはさすがにいただけない。

全くの余談だが、友人に「ネットで表紙に犯人が隠れていると指摘されている」と教えてもらい一目見るや爆笑した。
思っていたのとは違って逆に感心したのだが、興味のある方はぜひネタバレに注意してググって欲しい。


23.3.6
評価:★★★☆ 7
コメント    この記事についてブログを書く
« 今週のキン肉マン #444 1億... | トップ | ミステリ感想-『スコッチ・... »

コメントを投稿