~収録作品~
身内に不幸がありまして
北の館の罪人
山荘秘聞
玉野五十鈴の誉れ
儚い羊たちの晩餐
~感想~
「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた連作」と聞くとかの異色作、事件の真相を一枚の絵で示してみせた蘇部健一の『動かぬ証拠』を思い出すが、さすがに一行で事件をひっくり返したり、真相を明らかにするのは無理というもの。「ラスト一行でオチをつける」が正しい表現であり、誇大広告とは言わないが、期待をあおりすぎて失敗としか思えない。
連作ではないが舞台を同じくする短編集なのだが、語り手の口調や登場する人物の造型にほとんど違いがなく、単調さを招いているのもマイナス。
ガチガチの本格ミステリかと思いきや、とにかくブラックな風格なのも肩透かしだし、書き下ろしのラスト短編のオチが、途中の一編のネタと丸かぶりしていて、食傷ぎみになってしまうのも痛い。
どうもこれは作者のせいではなく、ジャケ帯の的外れなあおり文句といい、企画自体の計算ミスではないだろうかと思いたくなる。
変なあおりをつけず、舞台を統一せずにものしていれば、だいぶ印象も変わったのではなかろうか。
09.12.7
評価:★★☆ 5
身内に不幸がありまして
北の館の罪人
山荘秘聞
玉野五十鈴の誉れ
儚い羊たちの晩餐
~感想~
「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた連作」と聞くとかの異色作、事件の真相を一枚の絵で示してみせた蘇部健一の『動かぬ証拠』を思い出すが、さすがに一行で事件をひっくり返したり、真相を明らかにするのは無理というもの。「ラスト一行でオチをつける」が正しい表現であり、誇大広告とは言わないが、期待をあおりすぎて失敗としか思えない。
連作ではないが舞台を同じくする短編集なのだが、語り手の口調や登場する人物の造型にほとんど違いがなく、単調さを招いているのもマイナス。
ガチガチの本格ミステリかと思いきや、とにかくブラックな風格なのも肩透かしだし、書き下ろしのラスト短編のオチが、途中の一編のネタと丸かぶりしていて、食傷ぎみになってしまうのも痛い。
どうもこれは作者のせいではなく、ジャケ帯の的外れなあおり文句といい、企画自体の計算ミスではないだろうかと思いたくなる。
変なあおりをつけず、舞台を統一せずにものしていれば、だいぶ印象も変わったのではなかろうか。
09.12.7
評価:★★☆ 5