小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『生贄を抱く夜』西澤保彦

2004年12月15日 | ミステリ感想
~収録作品~
一本気心中
もつれて消える
殺し合い
生贄を抱く夜
動く刺青
共喰い
情熱と無駄のあいだ


~感想~
『一本気心中』
これ、超能力が必要不可欠か? それどころか全く必要ないのでは

『もつれて消える』
アンフェアにもほどがある

『殺し合い』
例によって胸くそが悪いだけの話。トリックに意外性がないどころかトリックすらない

『生贄を抱く夜』
長い。そしてあまりにも練り込み不足。計画がずさんすぎて説得力ゼロ

『動く刺青』
本書中で最も超能力を効果的に使ってはいる

『共喰い』
最悪。偶然で全てを片づけるとは、どこまで堕ちたのか

『情熱と無駄のあいだ』
なんだこれ


~総括~
ほぼ問題外。
「シリーズキャラを外側から眺めてみたい」その試みは解る。
だが、外側から眺められたキャラたちが、いままでの印象から全く逸脱せず、意外な一面を少しも出さないのならば、こんな試みは無駄としか言えない。
シリーズキャラたちはただ顔を出すだけ。物語に進展もなにもない。
最近めきめきと腕を落としている氏。とうとうここまで来たか。
見限りたくなるほどの酷い出来。かつてはその突飛さと緻密さでならしたトリック・プロットの構成力は見る影もない。
ネタ切れならシリーズを打ち切りすべき。
『殺し合い』などの、例によっての冷めた視点は、読んでいてウンザリしてくる。
もう、こんな西澤氏は見たくない。


評価:★ 2
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ミステリ感想-『白い兎が逃げる』有栖川有栖

2004年12月15日 | ミステリ感想
~収録作品~
不在の証明
地下室の処刑
比類のない神々しいような瞬間
白い兎が逃げる


~感想~
『不在の証明』
はい、肩すかしでした。

『地下室の処刑』
前代未聞とか自分で言われても……。たしかに珍しかったけども。

『比類のない神々しいような瞬間』
ひっぱってひっぱってひっぱって……はあ。
こういったトリックは、現実にあったらそりゃあ驚くだろう。面白いだろう。
だが、氏の筆力では、まるで現実に起きたような感慨を抱かせるところまではいけない。読者をそこまで導きえない。
トリックが明かされた時に思うのは「ああ、あれを知って、このトリックを思いついたんだね」という白けた感想だけ。

『白い兎が逃げる』
時刻表ものは面白く読めない。ごめん。


~総括~
いいかげん、ワトスン役の有栖川がトリックを見抜いてしまうのは鼻につきだした。
なんらかの伏線なのかもしれないが、トリックを解けない読者をコケにしているようで、不快。


04.12.15
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『QED 龍馬暗殺』高田崇史

2004年12月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
平家の落人伝説が残る高知の山村。
嵐による土砂崩れで、麓への一本道が塞がれる中、殺人と自殺の連鎖が村襲う。
村を訪れていた祟たちは否応なく事件に巻きこまれるが、その最中、
龍馬暗殺の黒幕を決定づける手紙の存在を知り……。


~感想~
トリックと言うほどのトリックはなく、真相も京極夏彦ばりのネタでありながら、京極のように圧倒的な衒学と博識と筆力で、有無を言わせず納得させてしまう豪腕はなかった。
浮世離れした設定が浮世離れしたままで、地に足が着かなかった印象。
だが、個人的に興味のある題材だったので、なかなか楽しく読めた。


04.12.11
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『QED 竹取伝説』高田崇史

2004年12月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
“鷹群山の笹姫様は、滑って転んで裏庭の、竹の林で右目を突いて、橋のたもとに捨てられた”
不吉な手毬唄が残る村。この村で、まるで唄をなぞったような殺人事件が発生。
崇は、事件の本質を解き明かすべく「竹取物語」の真実から「かぐや姫」の正体にまで迫る。


~感想~
竹取物語の解明に重点が置かれすぎ、事件は二の次三の次。トリックも例によって……の感じで、消化不良。
事件と解明が有機的に結びつかず、解明自体も前作『式の密室』と焼き直しといった感。


04.12.7
評価:★★☆ 5
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