小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『寝台特急はやぶさ1/60秒の壁』島田荘司

1999年01月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
双眼鏡でのぞきをしていた男が、マンションの浴室で、顔の皮をはがされた女の死体を発見した。
だが、死亡推定時刻に、彼女は寝台特急「はやぶさ」に乗っていた。
不可能犯罪に挑む捜査一課の吉敷竹史の前に、第二第三の事件が。


~感想~
ただの時刻表トリックには終わらず、奇想と本格味がふんだんに盛り込まれている。
まるで怪談のような謎が鮮やかに解かれ、さらに二転三転……。見事。


99.1.27
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『19ボックス』清涼院流水

1999年01月26日 | ミステリ感想
~収録作品~
カウントダウン50
華のある詩~モナミ
木村間の犯罪×2
切腹探偵 幻の事件


~感想~
読む順番によってストーリーが変わる4つの物語。読み進むごとに次第に真相が明かされる。すべての物語を読み終えると、隠された長篇が浮かび上がる。(裏表紙より) なのだが……。大きな問題が3つ。まず1つ、読む順番をどう変えても、同じ物語にしかならない。2つ、4話目の『切腹探偵 幻の事件』が解決編になっているので、最後に置かれないとほとんど意味がなく、また一度読み通してしまうと解決がちらついてしまい、いやまして違った物語として全く読めない。3つ、それぞれの物語がてんで面白くない。というわけで、評価は1点×4つ÷4=1点で。


99.1.26
評価:☆ 1
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ミステリ感想-『ダリの繭』有栖川有栖

1999年01月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人サルバドール・ダリ。
宝飾デザインも手掛けた彼に心酔してやまない宝石チェーン社長が、別邸で殺された。
現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体には、
トレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が……。
事件解決に立ち上がった有栖川有栖と火村英生がたどり着いた意外な真実とは? 


~感想~
これも氏らしい、丁寧で隙のない、綺麗な論理が鮮やか。
な、一方で、ケレン味に欠け中盤からかなりだれる。あまりにも長大すぎた。
ところどころ挿入されるダリの意匠も、うるさいだけで興味を引かない。


99.1.25
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『地球儀のスライス』森博嗣

1999年01月18日 | ミステリ感想
~収録作品~
小鳥の恩返し
片方のピアス
素敵な日記
僕に似た人
石塔の屋根飾り
マン島の蒸気鉄道
有限要素魔術
河童
気さくなお人形、19歳
僕は秋子に借りがある


~感想~
ミステリと幻想小説が約半々。『小鳥の恩返し』が傑作。それ以外はまあ……。


99.1.18
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『吸血の家』二階堂黎人

1999年01月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
江戸時代から遊郭を営んできた一家に下された殺人予告。
狂死した遊女の怨霊ばらいの夜、二つの殺人が。
一つは密室、一つは足跡なき事件。
二十四年前の惨劇をなぞるように三姉妹を襲う滅びの運命を、二階堂蘭子は防げるのか?

本格ミステリ・ベスト100 45位、第1回鮎川哲也賞 佳作


~感想~
いかにも二階堂作品らしい、フェアプレイに貫かれ、全体に趣向の施された構成で、安心して読める。
一方、フェアすぎてトリック・犯人が楽に見抜けがちなのは玉にきず。蘭子シリーズとしては気軽に読める部類。
オススメ。


99.1.16
評価:★★★☆ 7
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