小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『陀吉尼の紡ぐ糸』藤木稟

1998年01月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昭和九年、吉原・弁財天。
神隠しの因縁まつわる古木「触れずの銀杏」の側に、ぐったりと座る老人の姿があった。
顔がこちらを向いているのに、同時に背中もこちらを向いている。
顔が表裏逆さまについた老人の手が、ゆらりと動く。まるで手招きするように…。


~感想~
京極夏彦ブームに乗り、鳴り物入りで登場した新鋭。
デビューは大々的に宣伝され「新たなる妖怪小説家」のようにうたわれたが――。
ジャンル分けするなら、氏は明らかに島田荘司の流れを組む作家。
題材が近かっただけで、そのミステリ作法は京極とはまったく異なる。
内容はといえば、トリックやプロットよりも雰囲気で読ませるもの。
好き嫌いが大きく分かれることだろう。


評価:★★ 4
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ミステリ感想-『夏のレプリカ』森博嗣

1998年01月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
西之園萌絵の友人、簑沢杜萌(みのさわともえ)は、帰省した実家で、簑沢一家誘拐事件に巻き込まれてしまう。
事件が犯人同士の相討ちという奇妙な結末を迎えたとき、詩人の義兄が姿を消していた。
彼はどこへ? そして事件の真相とは?


~感想~
これもトリックの絶妙なキレにただ唸らせられる。
前作とそれほどリンクしないのは数少ない不満だが、それは贅沢というもの。
前作ともども、S&Mシリーズの白眉。


評価:★★★★ 8
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