小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『涜神館殺人事件』手代木正太郎

2023年11月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
かつて神をも恐れぬ冒涜的な所業が繰り広げられた「涜神館」に集められた、時代を象徴する霊媒師たち。
エクトプラズム、ラップ現象、自動書記……交霊会によって涜神館の秘密が暴かれ、冥府の穴が開く。
不可能状況下で次々と起こる殺人事件は、人知で解けるのか?


~感想~
まずオカルトファンならひと目でわかる有名霊能力者が、名字そのままでオールスター出演し、彼らの代名詞の霊媒を繰り広げるのだからたまらない。何これご褒美?
オールスターなのは霊媒だけではなく、涜神館をめぐる設定や過去もさる有名な神話・歴史・物語のごった煮で、初見の作者だが趣味を活かしていきいきと筆を走らせ、ストーリー自体を大いに読ませてくれる。
それに加えていかにもな道具立てを用いた本格ミステリ的事件が次々と起こり、人知を超えた謎を、人知を超えた技術と人知そのものの推理で解き明かしていくのだから最高。
飛鳥部勝則作品のように現物が大暴れする中、予想だにしない犯人と強烈な動機が導き出され、カタストロフィを迎えた後には、ある意味で台無しながらこれしかない結末へと至り、評判に違わぬまさに異形の本格ミステリだった。

作者の知名度とレーベルで少しハンデはあるかもしれないが、本ミスランキングで良い所へ行って欲しい、ぜひとも行くべき傑作である。


23.11.28
評価:★★★★☆ 9
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今週のキン肉マン #433 時間に心服する男たち!!

2023年11月27日 | 今週のキン肉マン
・連載再開!
・ゼブラはマリキータ戦の時も短期休みがあったし毎回こうなる運命
・急にポエムを語り出す時間超人
・ダウンカウント中に回復してしまうのは雲行きが怪しい
・まあ恥ずかし固め落としで決まっても困ったし
・洗脳されイカれてやがる
・神の使者として戦っただろお前らww
・マリキータもアリステラへの信仰心は大概だからな
・体重を乗せただけのツープラトン
・頭上から襲ったのに鳩尾に入るのは相手側の協力が不可欠
・説得力はあるけどこれで決まったら困る
・手を握るなよww
・友情のシェイクハンドがあるにしてもその握り方はもうできてるよ
・ロールシャッハドットをまた変な使い方するだろうとは全読者が思ってたけどゼブラに変身は予想できない
・Wマッスルインフェルノの予感!
・なんだかものすごく嫌な予感がするのう
・Wマッスルインフェルノで正面衝突ではなくゼブラが上、マリキータが下になるサンドイッチマッスルインフェルノだと予想するぜ

⊥←ゼブラとインフェルノされる相手
T←マリキータと相手

こういうの
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ミステリ感想-『でぃすぺる』今村昌弘

2023年11月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
小学六年生のユースケ、サツキ、ミナは掲示係になり壁新聞で町に伝わる七不思議を特集。
サツキの従姉のマリ姉は七不思議のメモを遺して殺されており、真相を探るためサツキは推理から、オカルト好きのユースケは怪異から事件を追い、ミナは中立の立場で裁定を下す


~感想~
自分が無類のオカルト好きで、男1人女2人の編成も「夕闇通り探検隊」を思い出させたこともありめっぽう面白かった。
作者はデビュー作の「屍人荘の殺人」から続くシリーズでも本格ミステリと怪異を融合させており、いわばお家芸のような設定で、安定感は抜群。
七不思議一つ一つが怪談として良く出来ており、しかも本格ミステリ的な仕掛けが施されている。
ユースケのオカルト目線とサツキの現実目線がせめぎ合い、真相がどちらに転ぶか最後まで迷わせようと試みるが、到底現実に落とし込めないような怪異が連発されるのが玉に瑕で、
このあたり作者がミステリ作家で読者もほとんどがミステリファンだろうから「どうせミステリ的解釈ができるんでしょ?」という思い込みに依存して、現実目線が常に劣勢を強いられているのは確か。
とはいえ最終的にオカルトと現実のどちらに落ち着くかはもちろん言わないが、個人的には本格ミステリと怪異の融合としてバランス良い、しかし大胆極まりない真相に非常に満足した。
好事家(笑)の間では中途半端とか失敗作とささやかれ、自分も重度のオカルト好きのためだいぶ採点が甘くなったとは自覚しているし、たぶん年間ランキングでもそう上位には行かないと思うが、事前の期待値は優に超えてくれた偏愛したくなる良作だった。


23.11.26
評価:★★★★ 8
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70点のお題を作る方法

2023年11月22日 | お笑い
この前SCPからお題を作っているという異常な話をしたのでもう怖いものはない。
僕は70点くらいのお題なら1分に1~2つペースで無限に作ることができる。実際に1時間で100のお題を作る企画に挑戦したが、2人で交互に作り合うリレー方式のため100問ギリギリだったが、単独でやっていれば余裕で120~130は行けたと思う。
70点のお題を延々と作り続け、たまに来る80点をストックするのがコガトナ前の恒例行事である。

そこでこんなお題は駄目だという訓示を偉そうに垂れていくとともに、70点のお題を作る方法を教えようと思う。暫定ギネス保持者なので。
なお僕自身は生大喜利には未参加で、全く傾向が異なるため、あくまでネット大喜利のこととして聞いてもらいたいが、参考になる部分も少しはあるだろう。

まず言いたいのは、どんなお題からでも傑作は生まれるが、駄目なお題から傑作は生まれづらいし、平均点も低くなるということだ。
駄目なお題から出される回答は面白くなりづらい。当然だ。
タイマンや少人数で答え、回答数が少ないなら目立たないが、大勢で一つのお題に回答する大会で駄目なお題が使われると、傑作は少なく、平均点の低い、言ってしまえば面白くない回答がたくさん並ぶ惨状になる。

さらに大前提が一つある。


1.「大喜利は回答だけではなくお題も普通のことを書いてはいけない」ということだ。

たとえばこんなお題は成立しない。


例:カレーにこれを入れると美味しい


きっと「ソース」「チョコレート」「ビール」といった回答が並ぶだろう。正解だが面白くない。
「ジャム」「たくあん」「セミの抜け殻」は大喜利の回答だが面白くはない。ちなみにジャイアンシチューのレシピだ。


例:こんな選手がベイスターズに欲しい


「イニングを食える先発」「毎年安定した成績を残すセンターライン(※特に捕手)」「状況に応じて早打ちをやめたり進塁打の打てる1~2番」「盗塁ができる先頭打者タイプ」「ロングリリーフも谷間の先発もできるタフなベテラン」が正解だが面白くはない。
「石井琢・波留・鈴木尚・ローズ」は大喜利の回答だが面白くはないし内川コピペだ。


普通ではないお題を作る。これができていないと「新聞を読んでいるおばあさんが一言」などの恐ろしいお題が誕生する。それはお題じゃない。日常だ。
新聞・おばあさんで2つのフックがあると思ったら大間違いである。(※以下フックという言葉を使いまくります。僕が現役の頃には「要素」なんて言葉はなかった)
新聞もおばあさんも日常から何も逸脱していない。あなたの祖母に新聞を読みながら面白い一言を言う確率が1%以上ありますか? そこから笑いが生まれる可能性は著しく低い。


2.シンプルすぎるお題は答えづらい


駄目な例:不死鳥が一言


これだけではフックがなさすぎて答えづらい。
70点のお題を作るには2つ以上のフックを付ければいい。いわゆる2要素お題だ。
不死鳥には「死なない」というわかりやすい特徴があるので、そこから付け加えていけばいい。


→死んだことがある不死鳥が仲間に自慢して一言
→不死鳥が生涯で唯一「これは死んでしまうかも」と思った出来事
→「自分は死なない」と初めて気づいた不死鳥が一言


不死鳥そのものを別のお題に当てはめるのもいい。


→転校生のタカシ君のあだ名が「不死鳥」になった理由
→笑点の新メンバー不死鳥亭フェニックス師匠の大喜利はこんなだ


3.物が答えになるお題は面白くなりづらい


駄目な例:福引の一等でこんな物が当たったら嫌だ


物はあくまで物でありその物自体が面白くはない。よって物が答えになるお題が面白くなることはそうそうない。
面白くしようとした結果、単なる面白い単語勝負になることも多々ある。
それを避けるためにはたとえば前提に一工夫する。


→地獄商店街の福引の一等でもらえる物
→福引の一等よりすごいビッグバン等に当たるとこんな物がもらえる
→福引の一等が当たった人へさらに町内会長から与えられる物


物でなくても単語を答えさせるお題は面白くなりづらい。単語はあくまで(ry
単なる面白ワードやダジャレ勝負になる危険性もある。


駄目な例:史上初のアカデミー賞全てを獲得した映画のタイトル


これも前提を変えれば対処できる。


→新設されたエロデミー賞を獲得した映画のタイトル
→「スターウォーズ」はそのまんま過ぎるのでもっと良いタイトルに変えてください
→ハリー・ポッターとあの有名人がコラボした新作タイトル「ハリー・ポッターと○○○」


4.面白くないものが答えになるお題は面白くなりづらい


駄目な例:視聴率1%だったバラエティ番組の内容


これは面白くないものを答えるのだから当然面白くなりづらい。自明の理である。
対処は簡単で、面白くないものを答えさせないようにすればいい。


→視聴率1%だったバラエティ番組で一瞬だけ10%を記録したシーン
→どうして今週の大河ドラマ「どうする家康」は視聴率1%だったんですか?
→生放送中に視聴率1%だと知ったバラエティ番組のMCが一言


5.画像で一言には特にフックが2つ以上必要

いつからか画像で一言にはフリー画像を使わなければいけない暗黙の了解ができたようだが(※どこかのサイトで広告の関係上フリー画像しか使えなかったらしい)フリー画像には回答する上でのフックが1つしかない物が多々見られる。僕がよく「特に何もしていない人の画像で一言」と揶揄するものだ。


駄目な例:


「女が」「歌っている」でフックが2つあると思うかもしれない。大間違いだ。
これは「歌っている女」でフックは1つだ。
たとえば容易に図書館と特定できる背景が写っていれば「図書館で」「歌っている女」でフックが2つになる。
そばに「しかめっ面の男」がいれば「しかめっ面の男」と「歌っている女」でフックが2つで答えやすい。

もちろんこんなク…画像でも傑作回答は出る。だがそれは回答者がすごいだけで画像のおかげではない。
むしろ「特に何もしていない人の画像」のせいで多くの回答者が苦しんでいる。

つまりこういう画像も駄目だ。有名人や有名キャラが写っている画像だ。


駄目な例:



「歌っている男」が「歌っている」「長渕剛」になっているからフックが2つあると思うかもしれない。
ところが長渕剛は歌手で、歌っているのは常態でありフックが増えていないのだ。それどころか長渕剛の知識がない人にとってはただのハンデになっている。長渕剛が図書館で歌っていればいい。

この有名だが誰もが要素を知っているわけではないという事態を回避するのは簡単だ。国民誰もが知っているキャラを使えばいい。だから僕はドラえもんやアンパンマンの画像ばかり使うのだ。

画像に説明を付けるという手段もある。僕がデイリー大喜利で定期的に出題している「百鬼夜行」が典型だ。
マイナー妖怪を説明し、そのうえで出題する。説明が煩雑なのでお題自体はシンプルでいい。
妖怪に限らずともマイナーな物を題材にする場合には、簡単な説明や画像を加えるのもいい。

単なる画像で一言ではなくもう一言付け加えてフックを増やすという方法もある。


この女に5分後に起こった悲劇 


6.穴埋めお題の作り方


駄目な例:まさか○○○
駄目な例:やっぱり○○○だね
駄目な例:「銀行強盗だ!○○○!」
駄目な例:テレビを観ているおじいさん「○○○」


末期のぼけおめでよく見たがこんなものはお題でもなんでもない(怒)回答者を舐めているだけだ(怒)
僕も穴埋めお題を作るのは苦手で、


例:銀行強盗が全然1ミリも怖くない受付の女「○○○」


のようにセリフ部分の穴埋めでお茶をにごすことが多い。だがこれは有効な手段で、「○○が一言」系お題を簡単に作り変えられるので、穴埋めお題が必要な時には便利だ。

また穴埋めお題の難しいところは、文章の中に持ってくるケースで、


駄目な例:まさか○○○なんて


この「なんて」の部分が強烈な縛りになるため、いつも頭を悩ませる。1文字違うだけで難易度も面白さも変わってしまうのだ。
駄目な例に上げたように、接続詞や助詞だけで要素がなさすぎるのも難しい。せめて名詞を入れよう。
無理に穴埋めを中に持ってこず最後にするのもおすすめだ。


→まさか銀行強盗がこんな○○○なんて
→まさか不死鳥がこんな○○○


7.困ったら「嫌だ!」でいい

急にお題が必要になり困ったら「こんな○○○は嫌だ」にすればいい。
僕も毎週チャット大喜利を開催していた頃には、肩慣らしのジャブとして第一問はほぼ「嫌だ」にしていた。
先に嫌だを作った後に「良い」にアレンジするのも簡単だ。


→こんな不死鳥は嫌だ
→こんなことで不死鳥が死んだら嫌だ
→こんな不死鳥になら焼かれてもいい
→こんな銀行強盗は嫌だ
→こんなくだらない理由で銀行強盗に失敗したら嫌だ
→こんな銀行強盗なら毎日でも来て欲しい


8.困ったら「どうして?」でいい

「嫌だ」くらい手軽に作れるお題がもう一つある。「どうして○○○?」だ。
○○○には職業やキャラを当てはめ、普通はやらない行為を入れるだけで作れる。


→どうしてあのボクサーは棒立ちで殴られてるんですか?
→どうしてあの女は全裸で全力疾走してるんですか?
→どうしてあのドラえもんは道具を出さずにニヤニヤしてるんですか?


9.ダジャレはお題にしやすい

何か固有名詞をダジャレにすると意外と面白いものができやすい。お題にしようとすら考えず目についた固有名詞をダジャレにしてみるのも手だ。そのダジャレからお題を連想してみよう。


→味も値段もなにもかも普通なモブバーガーの新作CM
→眠くなったら寝ていいIT企業マイネロソフトはこんなだ
→店員がカスなファミレス「カスト」の接客


以上、偉そうにレクチャーしてみた。ほんの1ミリでも参考になれば幸いである。
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今週のキン肉マン ステカセキング&ス二ゲーター外伝 episode5

2023年11月20日 | 今週のキン肉マン
・全く出ていなかったブラックホールがなんで来るんだw
・アイスロックジャイロもノーズフェンシングも完全に殺しにかかってる
・悪魔超人のスパーリングは命がけ
・でもこの後ターボメンに負けるんだよね…
・5話はいくらなんでも長すぎた
・入院中の原作ゆでが携わってないと思うんだが作画ゆでだけだとⅡ世の頃のペースに戻るのか?
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ミステリ感想-『午後のチャイムが鳴るまでは』阿津川辰海

2023年11月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昼休みに学校を抜け出してラーメンを食べ、泊りがけで部誌を作り、消しゴムポーカーに熱中し、不可解な言葉を推理する。
下らないけれども輝かしい青春の日々の裏に潜む数々の謎は、午後のチャイムが鳴るまでに解き明かされる?


~感想~
全作読んでいないので断言できないが、これまでガチガチの本格ミステリを書いてきた作者が初めて挑んだ学園青春物。
阿津川辰海といえばデビュー作から7作続けて5年連続で本ミスベスト10入りしてきた本格ミステリの鬼であり、今回もガワだけ青春物でいつものように全ページに伏線が張り巡らされたようなガチガチの内容かと思いきや、いわゆる「肩の力を抜いて描いた」と冠されてもおかしくないゆるさ。
もちろん(既刊と比べればゆるめだが)豊富な伏線や連作短編集らしい仕掛けも用意され、好人物ばかりのキャラ造形で楽しい学園ミステリに仕上がってはいるものの、全体を貫くトリックは作者ほどの実力者がいまさら披露するまでもない代物で、伏線もほとんどが仕掛けられた瞬間に丸わかりのゆるさで、期待を上回りはしなかった。
特に3話目の消しゴムポーカーのコンゲームが繰り広げられる「賭博師は恋に舞う」は漫画ならまだしもやはり文字だけで読むと厳しく、盛り上がっているのは登場人物ばかりだった。(余談だが今月刊行の青崎有吾「地雷グリコ」も同様の理由で厳しそう)
とはいえそこは本格ミステリの鬼で及第点は優に超えており、阿津川辰海の初の学園青春物!?と期待し過ぎたこちらが全面的に悪いだけで普通に楽しいミステリではある。
しかし流石に本ミスベスト10入りは難しそうか。


23.11.16
評価:★★★☆ 7
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お題の作り方

2023年11月16日 | お笑い
先日、某サイトさんからお題についての記事を依頼されたのだが、僕の作り方があまりに異端すぎて「考えさせてください」と半ば断りを入れてしまった。
それに昔はまだしも現在はなんとなくで感覚的にお題を作っており、言語化するのが非常に難しいし、その方法が異常すぎるのだ。
しかしせっかくの機会なのでありのままにお題の作り方を書いてみたい。

まずは自慢話から。
おそらく僕は世界一多くの大喜利のお題を作っている。

諸事情により改名したがネット大喜利は2003年から始めており、当時参加していたサイトでは毎日のようにチャット大喜利が開催され、1位の人が次のお題を出題するルールだった。これにより毎日数問は出題する機会があった。
翌2004年に大喜利サイトを作るとレギュラー企画はもちろんのこと、自分でもチャット大喜利を毎週のように開催し、さらに2005年からは1日1問出題のデイリー大喜利を始めた。
休止期間が3年ほどあったようだが現在も継続しており、このデイリー大喜利だけでも2005年~2023年から3年を差し引いても足掛け15年に渡る。ここ数年はお題をもらってもいるが年間250問は間違いなく作っており平均すれば年間300問は行っているはずだ。
それに加えて17回開催している60分大喜利では最低30問、コガトナでは計1280問ほどを出題した。
今はレギュラー企画はコガリーグだけだが昔はしょっちゅう単発企画をやっていたし、生大喜利会に提供も始めたから、20年間で平均してざっくり年間100問としてみよう。
ざっと数えてみる。

デイリー大喜利 15年×300=4500
60分大喜利 17回×30=510
コガトナ 1280
毎週のレギュラー企画や過去の単発企画その他 20年×100=2000

計8290問。少なく見積もっても最低このくらいは作ってきたはずだ。
毎週3問の笑点の大喜利コーナーは67年続いているが、全て一人が出題していたとしても156×67=10452問である。
僕が世界一を名乗ってもいいのではなかろうか。


ようやくお題の作り方の話に入る。こっちはもっと異常だから覚悟して欲しい。
以前はちゃんと普通に作っていて、出来上がったら自分で考えてみてすぐに10回答くらいはできそうかチェックしていた。
今はそんなことをしていない。なんとなくだ。
作った。できた。まあ行けるだろ。これはシンプルだからデイリー大喜利だな。長考向きだからコガリーグか。じっくり取り組んで欲しいからコガトナ用に取っておこう。これは酷いからデイリー大喜利行きだ。
そんな感じだ。

そしてたくさんのお題を作った人なら経験があるだろうが、何か単語をもらい、そこから発想してお題作りをすることがある。
しかし僕のように毎年異常な数のお題を作っていると、わざわざ単語をもらうのも気が引ける。かと言って自力で単語を見つけてくるのも限界があるしマンネリ化する。(当時はランダム単語ガチャのようなものは無かった)
そこで思いついたのが、趣味と実益を兼ねたSCPの大喜利化である。(※ここからが異常です)

SCPというのはざっくり説明すると海外発祥の創作SFサイトのようなもので、異常な物品や現象を管理し世界を守るSCP財団という存在がいるという設定で、各国で数千のオリジナルストーリーが考案されている。
これにドハマリした。そして凝り性なので1から順に読んで行き、簡単な説明を付けたページを作った。

https://koganezawa.main.jp/scp/scp-top.html

そして気づいてしまった。これお題作りの単語をもらう代わりに使えるんじゃね?と。
自力では絶対に使わない単語と、思いつきもしない発想を得られ、大喜利のお題にするのにうってつけではないか!
こうして僕はSCPを1から順にお題化していくことになった。

たとえばコガトナ2023準決勝のお題「味も値段も全て普通なモブバーガーの新作CM」は

SCP-1670 - Interdimensional House of Pancakes (次元の狭間のパンケーキ屋)
あるレストランチェーン店。チェーン店として運営されていないと営業中の状態へと逆行する。その際には付近の住民が客や店員として内部に現れ、彼らは以前から通っていると主張する。外見は普通だが時折、異常な存在も現れる。財団職員が店員になり開店しておけば逆行現象は起きないため、わざと低サービスで営業し客を遠ざけている

が元ネタである。
これは個人的にマンガ化もしたお気に入りSCPで、おいしくないパンケーキ屋からモスバーガーをもじったモブバーガーを思いついた。


準々決勝のお題「お尻の大きな受刑者ばかり集められたデカシリ刑務所の日常」は、

SCP-1663 - Containment Site 1663-0 (隔離サイト1663-0)
5ドル硬貨。見る、触れる、あるいは存在を知るだけで暴露し、影響を受けた者はあらゆる財産を忌避し放棄する。やがては水や食物でさえ拒絶し餓死に至る。感染力の高さから収容したサイト自体を隔離し、情報を極端に制限することで対処している

が元ネタ。隔離サイトから刑務所を連想し、刑務所といえば網走刑務所。網走を何かダジャレで変えたい、デカシリでいいか、という発想だ。
こんな調子でSCP-001からSCP-1700まで作ってきました。ここ数年はほぼSCPからしかお題を作っていません。
こうして大量生産したお題をストックしておき、出来の良い物を大型企画や生大喜利への提供へ、そうでもない物をデイリー大喜利へと(※小金沢さんはデイリー大喜利にはどんなお題を出題してもいいと思っています)振り分けているだけで、理論立てて1つ1つのお題を作っているわけではなく、下手な鉄砲を(それも異常な方法で異常な数を)撃っているだけなのである。

こんな話を某サイトの真面目な記事に載せられるわけないだろ!!
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ミステリ感想-『あなたが誰かを殺した』東野圭吾

2023年11月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
別荘地で起こった連続殺人事件。犯人は動機も経緯も黙して語らず、遺族は真相を知るため検討会を催す。
そこに協力者として招かれた加賀恭一郎は、別荘族の間に潜む闇を解き明かしていく。


~感想~
犯人が黙して語らない事件の真相を、遺族たちが情報を持ち寄りそれを加賀恭一郎がすり合わせて推理していく。こんなの面白いに決まっている。特に作中でタイトルが現れた時には思わず唸った。
その後も熟練の腕で情報を整理し、新事実を適切に開示していき、納得行く推理を積み重ね、意外性ある真相にたどり着き最後まで楽しませてもらった。シリーズ最新作、各種ランキングへ勝負の9月にふさわしい良作である。

ただ一点だけどうしても容認できないことがある。タイトルからして「どちらかが彼女を殺した」・「私が彼を殺した」との関連を匂わせておきながら、その2作とは異なり犯人が作中で普通に指摘されているのだ。
「どちらかが彼女を殺した」・「私が彼を殺した」は最後まで犯人が明かされず、読者は推理を楽しむことができた。これだけ酷似したタイトルならば当然今回もそれを期待して買った向きも多いだろう。作者か講談社かどちらが付けたか知らないが、売らんかなだけ考えた愚行であると言って構うまい。
評価はこれにより7点からマイナスし6点とさせていただく。頼むからこんな下らねえことやめようよ…。


23.11.8
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン ステカセキング&ス二ゲーター外伝 episode4

2023年11月06日 | 今週のキン肉マン
・絶対的な強さを持つ者は変身しない
・なるほどガンマンは変身などしない
・こうしてマンモスマンへの変身ができた
・でもターボメンに完敗するしスニゲーターも変身などしない超人に負けるんだよね…
・我々はいったい何を見せられているんだ(2回目)
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ミステリ感想-『アリアドネの声』井上真偽

2023年11月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ユニバーサルデザインを突き詰めたモデル都市「WANOKUNI」の地下施設が巨大地震により崩壊。
ひとり取り残された「見えない・聞こえない・話せない」3つの障害を持つ女性を助けるため、災害救助用ドローンを向かわせる。
崩落・浸水・火災の危機が迫る中、6時間以内に彼女をシェルターまで導けるのか。


~感想~
いわゆる三重苦の女性をタイムリミットの迫る中で、最新型のドローン一台で安全地帯まで誘導するという困難なミッションがまず読ませる。
そしてドローンを操縦する高木春生もまた、幼い頃に兄を亡くした過去に囚われ、地下に取り残された彼女の境遇と重なり合う。
想定外の危機が次々と訪れ、それを最新技術と知恵と工夫で乗り越えて行くが、中盤にはある疑念が芽生える。この題材に伴う偏見も容赦なく描き、絶体絶命の窮地を越えた先に、思いも寄らない衝撃が待ち受ける。
タイムリミットサスペンスとSFに近い最新技術の融合のみならず、ドラマチックな展開に驚愕の真相を加えた、まさに本格ミステリでしか描き得ない最高のエンタメ傑作である。
(またもう誰も覚えていない「21世紀本格」の模範例とも呼ぶべき一作でもあろう)


23.11.3
評価:★★★★☆ 9
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