小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『カーニバル』清涼院流水

1999年04月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ミステリ界に「恐怖の大王」降臨!いま最もラジカルな作家の決定打。
(帯より)


~感想~
JDCシリーズ。カーニバル三部作(?)事件編。まあよく思いつくわと、それだけは感心できなくもない、大小様々な事件が起こりまくり、釈然としない解決を見せたり見せなかったりします。ある意味本書は予告編です。注目は最初と最後に配された、マンガによる映画風の(映画ばりとは間違っても言いません)“予告”です。これがもう、笑えるのなんのって……w 誰が誰やら解らない予告編ってのもいいですね。訂正します。いいかもしれませんね。そのマンガしか見所がないのか? ですって? そうかもしれません。そうじゃないかもしれません。物好きな方は読んでお確かめください。


99.4.28
評価:なし 0
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ミステリ感想-『カーニバル・イヴ』清涼院流水

1999年04月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
人類絶滅―空前絶後の大犯罪計画、発覚!!犯人の名は「ビリオン・キラー」。全世界を巻き込む超弩級犯罪―JDCシリーズ第三弾。
(裏表紙より)


~感想~
JDCシリーズ。カーニバル三部作(?)予告編。予告編です。それ以上でもそれ以下でもないどころか、それですらありません。僕はもうなにも言いませんからね。今度はクソ長いですよ。覚悟はいいですか? 本当に『カーニバル』を読むよりも有意義な時間の過ごし方が他にないんですね? ……だったらしかたありません。どうぞお読みください。一緒に後悔しましょう。


99.4.23
評価:なし 0
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ミステリ感想-『ジョーカー』清涼院流水

1999年04月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
すべてのミステリの総決算……。究極の連続不可能犯罪を企む天才犯罪者が、陸の孤島で「幻影城殺人事件」を演出する。
作家・江戸川乱歩と同じ本名を持つ富豪が、生涯を賭して築いた幻影城。美しい湖の小島に浮かぶ紅の城は、様々な趣向が凝らされた「異形の館」である。
推理作家たちが秘境を訪れる。―老いた探偵が惨劇に引き寄せられた時、舞台は整い、物語が始まる。
作家の一人が執筆する推理小説が、現実世界を侵蝕し、虚構が世界を包む。虚無の深淵に在る闇の水脈から惨劇が生じ、空前の事件が幕を上げる。
装飾的な不可能犯罪が繰り返される。屍は日を追うごとに増えていく。推理小説のありとあらゆる構成要素をすべて制覇すべく犯行を続ける「犯人」―その正体は、限られた「登場人物」の中の一人!
事件を支配する犯人の武器は、その天才と「言」の魔力。ひたすら「言」が「迷」い続ける「謎」の山に挑むのは、言と謎を極めた推理作家の集団、百戦錬磨の警察精鋭捜査陣、犯罪捜査のプロフェッショナルたるJDC(日本探偵倶楽部)の名探偵チーム……そして「読者」―「君」自身。
神出鬼没、史上最凶の天才「真犯人」、その名は「芸術家」!
物語の覇者たる「神」は誰か?「真犯人」の究極の正体は!?旧き約に操られた世紀末の探偵神話を語る「僕」とは!?
JDCの切り札・九十九十九が、決して解けない世界の秘密―「神の理」― を悟る時、匣の中の物語は幻魔作用を失い、世界は暗黒の死の館から、めくるめく虚無の彼方へと飛翔する。
時の輪が完成する最後の一行。終焉を迎えた世界に「読者」=「君」は何を読む?
(裏表紙より)


~感想~
JDCシリーズ。「コズミックで懲りた」という意見を聞いた方も多いでしょう。断言します。本書はある意味『コズミック』を超えています。あの『コズミック』をも上回る衝撃を受けてしまうかもしれません。そういった意味では、ことJDCに限るならば流水は「期待を裏切らない作家」なのかもしれません。訂正します。暴言でした。撤回させてください。本当にごめんなさい。読んでも後悔しない方、絶対に僕に抗議をしない方はどうぞお読みください。僕は止めませんよ。もうなにがあっても知りませんからね。


99.4.18
評価:なし 0
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ミステリ感想-『鴉』麻耶雄嵩

1999年04月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
弟・襾鈴(あべる)の失踪と死の謎を追い、異郷の村に潜入した兄・珂允(かいん)。
襲いかかる鴉の群れ。四つの祭りと儀式。蔵の奥の人形。錬金術。
嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき殺人現場。人殺しの手に現れるという奇妙な痣。
村を支配する大鏡。そして、メルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大崩壊。

このミス16位、本ミス1位


~感想~
身もフタもなく一言でいえば「トリック小説」。
最後の最後で明かされる真相はまさにカタストロフィ。
これもわりあい普通のミステリだと思うのだが、なぜに“異形”の空気が漂うのか?
麻耶雄嵩は雰囲気で読ませることにかけては当代屈指の存在かと。


99.4.15
評価:★★★★★ 10
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ミステリ感想-『ミステリーズ《完全版》』山口雅也

1999年04月14日 | ミステリ感想
~収録作品~
密室症候群
禍なるかな、いま笑う死者よ
いいニュース、悪いニュース
音のかたち
解決ドミノ倒し
「あなたが目撃者です」
「私が犯人だ」
蒐集の鬼
《世界劇場》の鼓動
不在のお茶会

本格ミステリ・ベスト100 43位、このミス1位、文春4位


~感想~
まるで実験的にものされたような、不敵にして大胆な試みがなされまくっている。
ふぞろいでいながら、しかし“完璧なる短編集”の名に恥じない。
私見だが、なにからなにまで実に、実に山口雅也らしい作品ばかり。オススメはできないが、ぜひご一読を。


99.4.14
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『探偵宣言』芦辺拓

1999年04月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
殺人喜劇の時計塔
殺人喜劇の不思議町
殺人喜劇の鳥人伝説
殺人喜劇の迷い家伝説
殺人喜劇のXY
殺人喜劇のC6H5NO2
殺人喜劇の森江春策


~感想~
連作短編集ではなく、いままでに出された短編を、巻末の書き下ろし短編でむりやり連作短編にまとめた異色作。
ただ、連作としての魅力は当然ながら薄い。
『鳥人伝説』・『時計塔』などは奇想のあふれた名短編。
その一方でファンブックのような同人誌的ノリの作品、物理トリックに頼りきった作品など、好みが大きく分かれるところ。
ともあれにぎやかな短編集である。


99.4.12
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』島田荘司

1999年04月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
英国に滞在する夏目漱石は、シェイクスピアの勉強のため、ベイカー街へ通っていた。
夜な夜な幽霊の声に悩まされた彼はホームズのもとを訪れる。
そのころホームズは呪いをかけられた男が一夜にしてミイラになった事件の謎を追っていて……。
直木賞候補、吉川英治文学新人賞候補、日本推理作家協会賞候補、文春 3位


~感想~
パロディ小説の最高峰。漱石の視点とワトスンの手記とのギャップが秀逸。
奇想の見本ともいえる面妖な事件にスラップスティック、史実をふまえた漱石の足取り、
ホームズ譚の真実(?)と、どこをとっても最高の出来。どうか外見に惑わされぬよう。これは名作!


99.4.9
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『踊る手なが猿』島田荘司

1999年04月08日 | ミステリ感想
~収録作品~
踊る手なが猿
Y字路
赤と白の殺意
暗闇団子


~感想~
『踊る手なが猿』
冗長に過ぎるきらいはあるが構成は見事。

『Y字路』
短編ながら完璧に近い奇想。10ページ足らずの超短編と錯覚させるほどのキレ。

『赤と白の殺意』
異色の幻想小説。

『暗闇団子』
いわゆるありがちな話ではあるが、展開のうまさで読ませる著者ただ一つの時代小説。


~総括~
他では味わえない、いい意味で氏らしからぬ短編がずらり。短いながらも読み応えは抜群。


99.4.8
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『パズル崩壊』法月綸太郎

1999年04月07日 | ミステリ感想
~収録作品~
重ねて二つ
懐中電灯
黒のマリア
トランスミッション
シャドウ・プレイ
ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?
カット・アウト
……GALLONSOFRUBBINGALCOHOLFLOWTHROUTHTHESTRIP

日本推理作家協会賞 候補 ――重ねて二つ


~感想~
いかにも法月短編らしい、切れ味鋭い3編『重ねて二つ』・『懐中電灯』・『黒のマリア』
……で。問題はまさしく“崩壊”した残りの面々。
まだ趣向は解る『シャドウ・プレイ『ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?『カット・アウト』はいいとして、他の2編はミステリ作家、いやさ作家として「これはこれでいいのかね?」と大それた質問をしたくなる。


99.4.7
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『朱色の研究』有栖川有栖

1999年04月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です」
火村英生は教え子から突然の依頼を受ける。
有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、
その矢先、新たな殺人を示唆するような電話が入った。
現場に急行した2人が見たのは、予告通りに……。


~感想~
退屈。読了後になんらの印象も残さない。
ケレン味のまったくない、淡々とした展開と、あまりにも納得のいかない動機。
冗長にすぎる紀行文さながらの乾いた仕立てなど、どこまでも無味乾燥。


99.4.5
評価:★ 2
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