2月8日、埼玉県草加市「松一屋薬局」の松永樹浩先生をお迎えして、本年度1回目の定例勉強会が開かれました。
今回は「中医心理学」と題してご講義頂きました。
◆成功する人=怒りをコントロールできる人
中医学では感情は五臓の働きと密接に関わると考えます。
五臓の不調は感情に影響し、また、激しい感情は五臓に影響します。
特に
怒りは病気に繋がることの多い感情です。怒りは気の鬱滞から熱を生じ、熱をもった気は上に上がります。
症状としては
気の鬱滞・・・胸や背中・脇腹の脹痛、げっぷ、おなら など
気の上昇・・・胃液の逆流、心臓の痛み、血圧上昇、頭痛、めまい、意識障害 など
怒りを表現する
「腹が立つ」「腹が膨れる」「血がのぼる」などと言うのはまさにこうした症状を言い表していますね。
怒りを主る五臓は「肝」、肝の行き過ぎを抑えるのは「肺」、肺の働きを助けるのは「脾」ですから、このバランスをとることで怒りっぽさは改善していきます。
カッとなりそうなときに深呼吸をすると落ち着くのは、身体に滞った「濁気」を吐き出し「清気」を取り入れることで気が循環するため。上昇した気が降りるので「頭を冷やして」冷静になることができるのです。
過剰な怒りは自分も他人も傷つけてしまうもの。実り多い人生を送るには、怒りをコントロールすることがとても大切です。
◆弱いのはこころだけじゃない
「こころが折れる」「ハートが弱い」などという言葉をよく聞くようになりました。
こころの弱さはすなわち五臓の弱さ。
子供は
よく動き、よく眠り、しっかり食べて排泄し、友達と遊ぶことで心身ともに成長します。友達とのもめ事や、大人に叱られたり、失敗したり、悔しい思い、情けない思いなどを経験して
この世は自分の思い通りにならないということを知り、
こころを鍛えていくのです。そうした経験が少ないと、
自分の尺度に合わないことは何でもストレスと感じて
不平不満が多く、衝突しやすく、その解決方法も稚拙なまま大人になってしまいます。それがこころの折れやすい人です。
五臓を強くするにはある程度の負荷が必要ですが、
「こころの負荷」もそのひとつです。
こころの病の治療には、まず五臓の働きを回復し、それから少しずつこころに負荷をかけて鍛錬する必要があります。こころの強さは薬だけでは得られません。
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「寿命と健康寿命は違います。長生きしても死ぬまで心身ともに健康でいられるわけではない。皆そのことを忘れている」と松永先生。
そのとおり!いわゆる『ピンピンコロリ』を理想とするなら、血糖値だ血圧だという
「部分」ではなく、自分という人間全体のバランスをとる。これしかないのです。
我々の学ぶ中医学は、豊かな人生を生きるための知恵の結晶なのでした。
~定例会終了後は松永先生を囲んでの懇親会、薬膳夕食会でした。
こちらは長崎伝統野菜辻田野菜と烏骨鶏の蒸しスープ。
真ん中にぴょろんとしているのが冬虫夏草と枸杞子。冬虫夏草は肺腎を補い身体を温めます。飲んだ後、身体がポカポカに!
こちらは五島の鹿肉を使ったお料理。鹿肉は五臓を強めます。柔らかくまるで牛肉のよう・・・とっても美味~!
スタッフ:春田有紀子