結婚5年の36歳、フルタイムで働く痩せ型のMさん。「グレードの良いものを3度胚移植をしているけど、今回もダメだった…。残りの1個で何とか妊娠したいんです」と来店。1度自然妊娠したものの流産してしまい、その後はなかなか妊娠せず…。人工授精6回。転院先で「精子無力症」と診断されて顕微授精とステップアップし、不妊治療を続けていました。
Mさん自身の体調をうかがうと、生理痛がひどくて1~2cmの塊が出る。頭痛や肩こり、常時イライラ、手足の冷えが強い。生理の前には胸が張り、プロラクチン値も相当高い。胃腸も弱くて下痢や軟便が多く、むくみ、低血圧で疲れやすい…など、強いストレス状態と血行不良、根本的な身体の弱さも見受けられました。卵子の残数を示すAMHの数値は実年齢+5歳。基礎体温も低温期が36.5℃、高温期は37℃を超える日もあり、決して良い状態ではありませんでした。しかし、凍結卵が残っているので、まずは着床環境と体質改善を重点に置いて漢方薬を服用して頂きました。
1ヶ月後の来店時には、「生理時の塊がなくなって、生理痛も軽くなった!下痢もなくなり、イライラも手足の冷えもずいぶん減りました!」と身体の変化を実感。その後の体調もどんどん良くなり、3ヶ月間漢方薬を調整しながら臨んだ残り1個の胚移植は、残念ながら陰性=妊娠不成立。「1から身体づくりをし直して採卵に挑みましょう!」と再決意し、採卵まで積極的に周期調節法で元気な卵子づくりを始めました。
それから4ヶ月。いつものようにご予約の電話を頂き「そろそろ採卵準備周期のはず」と相談を始めたところ、開口一番「自然妊娠したんです!!ビックリしました!!」と。採卵準備をしていた矢先に、なんと自然妊娠されたのです。
タイミング時だけでしたが、ご主人様にも精子を元気にするものを飲んで頂いていました。Mさんも採卵に向けてしっかり身体づくりをし、お2人の身体が調った結果が元気な受精卵の着床→自然妊娠に結び付きました。
心拍も見えて順調のようです。このままお腹の赤ちゃんが順調に育ってくれることを願うばかりです。
治療するにしても、自然妊娠を目指すにしても、「自身の妊娠力を高めることに尽きる」のだということを改めて感じさせられた症例でした。
日本不妊カウンセリング学会
認定カウンセラー
夏苅竜子
ながさきpress 2013年12月掲載