長崎・龍虎堂薬局 子宝・不妊相談blog ~あなたにもかわいい赤ちゃんを…~  

中国漢方による『周期調節法』での子宝相談! 不妊症や治療にお悩みの方へのお役立ち情報と薬局の情報をupしていきます。

龍虎堂薬局のご紹介

長崎県、長与町の漢方薬局です。開局は1978年、今年で36年目になります。 イスクラ産業の「不妊症専門講座(周期調節法)エキスパートコース」を受講。 年に一度、中国での研修や「お茶の間講座」・「スクーリング」などで中医師・中医学講師の先生方に師事し、不妊症や不育症の学習に研鑽を重ねています。 長崎の薬局で唯一、日本不妊カウンセリング学会の認定不妊カウンセラーがおります。不妊症でお悩みの方、結婚予定の方… 一人で、カップルで悩まずにご相談下さいね。 (ご相談はご予約制です。前もってご連絡下さい。) お店のHPへはブックマークからどうぞ。facebookもやってます♪(*^-^*)

く、苦しい!~咳・ぜんそく~

2015年11月27日 | ながさきプレス「漢方のチカラ」
中医学で考える「肺」とは? 

秋から冬にかけて、空気はどんどん乾燥します。この時期、一番影響を受けやすいのは。中医学では「肺」のほか鼻やのど・気管支はもちろん、外界からの刺激を防ぎ身体を守る皮膚(皮毛)も含めて「肺系」と称します。肺系が弱い方はぜんそくのほか、花粉症慢性鼻炎アトピーなどの皮膚疾患を併せ持っていることも少なくありません。これらは肺系でつながっているからと考えます。
また、肺は「嬌臓」(弱々しい臓器)といわれ、気温や湿度の変化、ウイルス・大気汚染など外界の影響を受けやすく、潤いを好み乾燥を嫌います。だから夏に汗をかき過ぎたり、過労・睡眠不足などで体力が落ちている方は要注意!秋は乾燥や冷えから咳やぜんそくが悪化しやすい時期なのです。

なぜ、咳やぜんそくが出るの? 
咳やぜんそくは気管支のけいれんによって起こります。誘因となるものは○アレルギー(ほこりやダニ、花粉、ペットの毛など) ○風邪やインフルエンザ ○気候の変化(気温や気圧など )○ストレス ○過労 ○睡眠不足など多岐にわたります。
発作時には咳や痰、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難といった症状が現れます。中医学では、本来下がるべき“肺気”が上逆した結果、発作が起きると考えています。

漢方では… 
症状が激しい発作期には対症療法を、緩解期には根本からの体質改善を行います。
【発作期】は咳やのどの状態、痰の量や色の有無などから対応する方法を探ります。透明の痰や鼻水が多い時には小青竜湯などを。から咳で乾燥感がある場合は潤肺糖漿などを。こもった咳や痰が黄色or無痰、喘鳴など伴う時には麻杏止咳顆粒など、咳や痰のタイプ別に分け、お薬はさまざまあります。
【緩解期】には、「肺・脾・腎」を中心に五臓のバランスを調整します。肺が弱い肺気虚の人には息切れ、動くと悪化、疲れやすい、風邪引きやすい、汗かきなどの症状が見られます。この時には肺気を補う衛益顆粒などを。乾燥感を伴う肺陰虚には、肺を潤す麦味参顆粒八仙丸などを。また、「脾は痰を生む源」といわれ、胃腸が弱い人は脾気虚を改善する必要あり!健胃顆粒など胃腸を調える薬で咳や痰が治まることもあります。慢性ぜんそくや息を深く吸い込めないなどは腎の力の問題。腎陽虚(冷えタイプ)には双料参茸丸などを。腎陰虚(ほてりタイプ)には八仙丸などを使います。

生活養生で気をつけること
暴飲暴食や過労、睡眠不足を避けることです。特に冷たい飲食物を摂るのは厳禁!肺を潤す食べ物(梨や白きくらげ、山芋、レンコン、百合根など)胃腸を調え免疫力を高める食べ物(きのこ類やいも類、南瓜など)をしっかり摂って外邪に負けない強い肺を保ちましょう!

なかなか治らない咳やぜんそく、肺系の不調は漢方で良くなりますよ。様々な原因が絡み合っていますので、ぜひご相談下さいね!

【秋のオススメ 白きくらげのデザート】
梨は肺を潤し、熱を冷ます代表的な果物。咳や痰、美肌にも良いこの時期オススメのデザートです。
お好みでクコの実やキウイ、パイナップルなど生フルーツを添えるとより美味♪砂糖を減らして蜂蜜を加える事で更に潤い度がup!します。作ってみてはいかが?

【材料】
 大きさにより1~2個 
白きくらげ(乾燥) 15g 
砂糖(氷砂糖が◎) 70g 
レモン汁少々 
※水の量と砂糖は好みにより加減して下さい。
【作り方】
 ①白きくらげをたっぷりの水で戻し、固い部分を切って残りを一口大にちぎる
 ②鍋に水600ccと砂糖、白きくらげを入れて30~40分コトコト煮込む
 ③梨の皮を剥き、一口大に乱切りして②に投入。5~10分ほど煮込み、最後にレモン汁をふって出来上がり♪


ながさきpress2015年11月掲載

脳卒中と漢方

2015年11月10日 | 勉強してきました
2015年9月13日、福岡の勉強会に行ってきました。
中医学講師は韓小霞先生。「脳卒中」について西洋医学と中医学それぞれの視点からみっちりと講義して頂きました。

◆脳卒中ってどんな病気?
脳に血液を送る血管が詰まって(脳梗塞)、意識障害・麻痺・言語障害などを引き起こすのが脳卒中です。
1.ラクナ梗塞
脳の末梢血管(細い血管)が詰まるもの。心臓から脳へ送られる血液の量が足りず、脳が慢性的な血流不足に陥っていることが原因になります。無症状のことが多いタイプです。
2.アテローム血栓性脳梗塞
血液のドロドロした汚れが血管を詰まらせてしまうもの。血管が枝分かれしている部分で起きやすく、寝ているときなど安静時に発症しやすいのが特徴です。
3.心原性脳塞栓症
心臓にできた血栓が血流に乗って脳へ到達し、血管を詰まらせてしまうもの。活動時に突然発症することが多く、脳内出血に進行して重症化する、最も危険なタイプです。

脳に血液を送る大きな血管は眼動脈と近接しているので、ここが詰まると「目が見えにくい」「片目が見えない」などの症状が出ることがあります。脳卒中の前兆の可能性大ですから、ぜひ見逃さないようにしてください。あれっ?と思ったらすぐに病院へ。

◆血管が切れると脳出血
詰まった血管が破れてしまうと脳出血です。脳は言うまでもなく人間の活動のコントロールセンターですから、出血により脳細胞が壊死すると生命活動そのものが障害され、最悪の場合死に至ります。
1.脳内出血
その名のとおり、脳の血管が切れて出血するもの。死亡リスクも高く、損傷範囲によっては一命を取りとめても重篤な後遺症が残ります。
2.硬膜下出血
頭を打つなどで頭蓋骨のすぐ内側の血管から出血し、血腫ができていくタイプ。初めはあまり症状がなく、血腫が脳を圧迫することで頭がボーっとするなど意識障害が出てきます。
3.クモ膜下出血
脳の外側の血管が詰まって切れるタイプ。頭痛、頚の痛みが特徴で、経過が良い場合でも再発・再発時の死亡リスクが高いため、発症後3週間以上の安静が必須になります。

◆中医学の見方
「血管の詰まり」をもたらす、そもそもの原因は体質の偏りです。
1.虚証
消化力、血液を作る力、心臓のポンプの力、体内を清浄化する力など、体の機能が弱った状態です。もともと体の弱い人は虚証ですが、加齢によって誰でも虚証になっていきます。
2.痰濁・お血
痰濁はネバネバした老廃物、お血は血液ドロドロ。運動不足や食べ過ぎなど悪い生活習慣でも、虚証を背景にした機能失調からでも生じて体に溜まっていきます。
3.肝鬱化火
ストレスによる自律神経失調(緊張状態)です。血圧が上がったり、血流が悪くなってお血を作ったり、消化力を低下させて痰濁が蓄積したり、血管がもろくなったりします。

年は誰でもとりますし、現代人はみな運動不足・食べ過ぎ傾向。精神的ストレスも避けられません。つまり、脳卒中の危険は誰にでもあるということ。高血圧、高脂血症、動脈硬化、動脈瘤、心不全などの持病のある人は脳卒中ハイリスク群。血液をサラサラにして汚れや詰まりをつくらないこと、脳までしっかり血を巡らせることが大切です。

◆脳卒中の予防、後遺症改善には?
原因となる体質の偏りに対し、漢方薬は虚証には【補気、補血、補陰】など足りないものを補うもの、痰濁・お血には【化痰、活血】など老廃物をキレイにするもの、肝鬱化火には【疏肝、理気】などストレスを発散して気の巡りを良くするものを使います。
脳卒中の後遺症も、虚証から生じる痰濁・お血によって起きているものと考えて【補気、補血、補陰】【化痰、活血】が基本になります。言語障害には【補腎】の薬をしっかり使います。

西洋薬は、血圧を下げる、血液の粘度を下げるなどピンポイントに作用しますが、根本的な体質改善や虚証を補うことは不得意です。
西洋医学と中医学、双方の良さを活かして大病を予防、改善していくのがベストですね。

ハルビン・不妊症中国研修レポート

2015年11月03日 | 勉強してきました
恒例の中国不妊症研修に今年も行ってきました。
その模様をレポートします!

◆黒竜江中医薬大学付属第一医院
今回の研修先はロシアとの国境、黒竜江省の省都・ハルビンにある黒竜江中医薬大学附属第一医院。中国でも有数の規模を誇る「国家臨床研究基地」として1日4000人もの患者さんが国内外から訪れています。中でも婦人科は古くから有名で不妊症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症や骨盤内炎症の研究や治療を得意とし、欧米との共同研究も数多くなされています。院長の孫先生によると>「中国におけるART(=体外・顕微授精)の成功率は約3割に過ぎないが、漢方との併用でその成功率は格段に上がる。」と中西結合治療の素晴らしさを説かれていました。

◆名老中医の経験とPCOSの講義

2日間にわたり朝8時から夕方5時まで、臨床研修や病棟見学、講義を受けました。1日目は「南の羅、北の韓」と名高い婦人科の老中医、父・韓百霊先生の教えを継承する継承者、韓延華教授より代々受け継がれている「韓氏婦科診治不妊症経験」を。2日目には長年PCOSを研究している王秀霞教授より「PCOSと胚胎停育(流産)に対する中医治療の理論と実践」を教えて頂きました。過去“南の羅”の継承者・広州中医薬大学の羅頌平教授からもご指導ご教授頂いたことがあり、中医婦科の二大巨頭の教えを請えた大変貴重な機会となりました。

◆理想的な治療環境
PCOSに強い病院!ということから、多くのPCOSの臨床症例と病棟では当院でPCOSを克服し妊娠→流産兆候で入院中の方を見せて頂きました。PCOSは卵巣機能が弱いため、妊娠しづらく流産しやすい傾向にあります。初期流産が危ぶまれたものの、西洋薬と漢方のWサポートで8週までこぎつけ経過も順調とのこと。PCOSも流産も根本原因は腎虚と脾虚漢方薬でしっかりと身体を補い、必要があればホルモン剤や注射を使う。理想的な環境がそこにはありました。
今回の研修では“基本”に立ち返ることの重要性と共に、新たな発見やヒントを得ることが出来ました。私たちの熱意が伝わってか、どの先生も忙しい中を惜しげもなく教えて下さいました。そのご厚意に感謝しつつ、一人でも多くの赤ちゃんが授かるよう私たちも日本で頑張ることが何よりの恩返し!と気持ちを新たにして帰路につきました。


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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
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多嚢胞性卵巣(PCO・PCOS)って? 
生殖期女性の5~10%に認められ、卵胞発育不良卵巣膜が硬いことから排卵しづらく不妊原因になります。不規則ながら排卵がある軽度~全く排卵できない重度のものまで様々。原因は不明ですが、内分泌や糖代謝異常との関連性が指摘されています。また、生活習慣病や定期的な子宮内膜の脱落がないことから子宮内膜がんを発症する“ハイリスク群”とされており、生涯にわたって注意が必要です。

【よく見られる症状・所見】
 □月経異常(無排卵・稀発月経・無月経) 
 □不妊
 □卵巣の多嚢胞状態 
 □血中男性ホルモン高値、LH>FSH
 □毛深い 
 □にきび
 □肥満  など


西洋医学では、妊娠希望の場合は薬物や手術で排卵誘発し、タイミングや体外授精などで妊娠を目指します。未婚・妊娠希望なしの場合は、内膜異常の予防も兼ねてピルなどで定期的に生理を起こします
漢方では【補腎・活血・化痰】を中心に、体質とホルモンバランスを改善し、卵巣機能の正常化を図ります。不妊治療中の方も漢方との併用で治療がうまくいったり、自然妊娠する例も少なくありません!

日本不妊カウンセリング学会
認定カウンセラー
夏苅竜子

ながさきpress2015年9月掲載