第108回「起死回生の3ヶ月～Aさんの妊娠」

　Aさんが初めて来店されたのは去年の６月。5回の人工授精の後にトライした初めての体外受精が不成功に終わった時に、このコラムを読んだのがきっかけでした。

　結婚4年の36才でしたが卵巣予備能を示すAMHが1.7ng/ml(42才前後)と低く、6個採卵出来た内の2個しか受精せず、その卵も育たず治療はキャンセルに。
次の周期は無排卵で生理が来たばかり。「でも、再来月には体外受精に再挑戦したいんです！」との希望でした。

　基礎体温表を拝見すると、治療が長引くにつれ低温期の体温が上昇して高温期との差が無くなって来ており、月経期もなかなか下がらない。どこが低温期でどこが高温期なのか？一見分からない周期もありました。
　疲れやすく、イライラ、月経血の塊があり、ご主人様も精子数や運動率が低く、疲れやすい、お腹が弱い…などここに前回の体外受精が上手くいかなかった原因があるようです。

　もう少し延期するよう提案しましたが、「どうしても再来月に」とのことでリスクも承知頂いた上で、奥様には卵胞を元気にし、ホルモンバランスを調える補腎薬・疏肝薬を中心に、ご主人様には胃腸を調え精子を元気にする補腎薬をしっかりと服用して頂きました。

　2ヶ月半後、「ショート法で8個採卵、6個が受精し、グレード１の胚盤胞が3つも出来ました!!」という連絡には私も胸をなで下ろしました。全部凍結したため、次周期はホルモン剤を排泄するお薬を、戻す周期には着床しやすくする漢方に変更。２度目の胚移植で無事妊娠し、赤ちゃんを守る安胎薬を服用中です。

　年末に来店されたご主人様は「アリガトウゴザイマス」とずっとニコニコ。
海外在住で日頃離れているのもあってか、妊婦の奥様がとても心配なご様子で、たくさんの質問にお答えしました。お互いを気遣う姿に「本当に授かって良かったなぁ」と心が温かくなりました。

ながさきプレス2013年２月号

日本不妊カウンセリング学会
認定カウンセラー
夏苅竜子

第107回「勉強づくしの日々(２)」

　11月に神戸元町夢クリニック・松本恒和院長の講義を受ける機会がありました。
東京の加藤レディースクリニック(KLC)や各地の夢クリニック系のグループ
(永遠幸グループ)をご存じの方も多いのではないでしょうか？
「身体に優しい不妊治療」を提唱し、治療に当たっておられます。　
　　　　　　　　　　
「妊娠の理想型は自然妊娠。医療の介入は必要最小限にとどめるよう
心がけています」とのこと。以前は一般的な不妊治療(連日注射し採卵)が
中心でしたが、注射による月経周期の乱れや卵の劣化・消耗、薬剤耐性や薬剤アレルギー
による採卵数の低下など、さまざまな問題点を感じて多くの治療を低刺激法や
完全自然採卵(KLCメソッド)に移行。

「良い卵を採卵するには月経周期を
乱さないことが重要で、大量・長期的な排卵誘発注射や高温期の注射は後の
周期の卵胞に悪影響を与えるのでやらない。高齢者には負担を掛けずに、　　　　　　
若年者はもともと良好卵の存在確率が高いのでKLCメソッドでの治療が理想なのです。」と。

「ヒューナーテストを(性交後試験)重要視し、画一的なステップアップをしない。」
というのも、とても納得できました。世界一とも言われている2万件の採卵周期を
実施している永遠幸グループでは、 私達の理想とする不妊治療がおこなわれていました。

「西洋医学と東洋医学、道は違えども目指すところは同じ。漢方で妊娠しやすい
身体づくりをし、私達が不妊治療をする。お互い補完し合う治療が出来れば、
更に多くの不妊で悩んでいる人達に希望を与えられるのでは。」と仰る松本先生の
言葉に感銘を受けました。

当店は全国の中医不妊症専門講座受講店(約100店)の中でもエキスパートコース(18店)に所属し、　
日々勉強を重ねています。ご相談下さい！

日本不妊カウンセリング学会　認定カウンセラー
夏苅竜子

ながさきプレス・2013年1月号掲載

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