9月21日(日)、定例勉強会に行ってきました。
中医学講師・陶恵寧先生による
『痺証(痛み)』の講義です。
ひしょう
☆「痺証」とは
中医学では、
スジ(筋肉・腱・靭帯)・関節・骨の痛みや痺れを「痺証」といいます。痺証を起こす原因は
冷え、湿気、病理産物(ドロドロ血液、ネバネバヘドロ=水分代謝不良)などですが、その本をたどればその人の
気・血・精が不足し、外からの刺激に弱くなったり巡りが悪くなるために起きるもの。
治療は、冷えは温め、湿気は発散し、炎症は冷まし、ドロドロやネバネバは掃除する・・・といったことに併せて、不足している気・血・精を補うことが重要です。
血を蓄えスジを管轄するのは肝臓、
精を蓄え骨を管轄するのは腎臓。血は精を生み精は血を生むため、肝・腎は源を同じくする=同源といわれます。
お互いに支えあう肝と腎は衰えるときも同時ですから、血と精の不足・スジと骨の衰えは同時に起こるのです。
出産後に腰痛や関節痛、カカトの痛みを訴える方がいますが、これも出産と授乳によって血と精が足りなくなってしまったために起こります。
☆腰がだるい、は老化のはじまり
なんだか
腰がだるいな
、こわばるな、と感じたら
肝腎不足=生命エネルギーの蓄えが減ってきたサインです。放っておけば蓄えは減る一方。気がついたら即、“貯金”を始めましょう!
目が乾いてしょぼしょぼする、
口が渇く、
手足がほてるといった症状があれば赤信号。生命エネルギーの残高不足はこうした
潤い不足の症状としてあらわれます。潤い不足は血液不足。川の流れを想像してもらえばわかりますが、水が豊かな川は滔滔と流れ、水の少ない川は澱んで流れなくなり、いずれ川床が見えて干上がってしまいますね。人間の体も同じです。
中医学では「通じざればすなわち痛む」といい、詰まったところが冷えて血管が収縮し
、酸欠状態になると
じわじわとしつこく痛みます。もし詰まった血管が破れて
炎症が起こると
激痛になります。ぎっくり腰や痛風など猛烈な痛みを引き起こすのは炎症型の痺証です。
☆補腎、活血、通絡が治療のポイント!
痺証の治療は
①肝腎を元気にする(補腎)
②血流を良くする(活血)
③詰まりを通す(通絡)
この3点を押さえ、更に
温めるもの、
湿気をとるもの、
炎症をとるものなど症状によって必要な生薬を配合した薬を使います。痛みはとにかくつらいもの。痛い痛いの毎日では積極的に活動する意欲そのものが失われてしまいます。湿布や鎮痛剤はあくまでその場しのぎ。痺証の根本は「衰え」であることを理解し、足りないものをしっかり補いましょう。また
、肝・腎を元気にするには歩くことがとても効果的。土踏まずを青竹やゴルフボールのようなもので刺激するのもいいですよ!
スタッフ:春田有紀子