内的自己対話-川の畔のささめごと

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コミュニケーションの可能性の条件としての第一次情報形成過程 ― ジルベール・シモンドンを読む(41)

2016-03-31 05:31:24 | 哲学

 昨日まで三日かけて読んだ段落の最後の文は、「情報(化)とは、或るシステムがそれにしたがって個体化するところの意味(方向性)であるから、常に現在に属し、現勢的である」と主張していました。この文の末尾には脚注が一つ付いています。今日はその注を読みましょう。

Cette affirmation ne conduit pas à contester la validité des théories quantitatives de l’information et des mesures de la complexité, mais elle suppose un état fondamental — celui de l’être préindividuel — antérieur à toute dualité de l’émetteur et du récepteur, donc à tout message transmis. Ce qui reste de cet état fondamental dans le cas classique de l’information transmise comme message, ce n’est pas la source de l’information, mais la condition primordiale sans laquelle il n’y a pas d’effet d’information, donc pas d’information : la métastabilité du récepteur, qu’il soit être technique ou individu vivant. On peut nommer cette information « information première ».

 段落最後の文のような主張は、情報の量化理論の妥当性や複合的なものを測る複数の尺度の妥当性に異議を唱えることへと導くものではないとシモンドンは言明します。
 以下、多少言葉を補ったり言い換えたりして注の内容を訳します。
 この主張は、ある根本的な状態を想定している。その状態とは、「前個体化的存在」(« l’être préindividuel »)のことである。この状態は、情報の発信者と受信者という二元性に先立ち、したがって、伝達されたあらゆるメッセージに先立つ。従来の見方によればメッセージとして伝達された情報とされるものの中でこの根本的な状態から残されているもの、それは、いわゆる情報源ではない。それは、それがなければ情報効果が成立しない、したがってそもそも情報そのものが成り立たない初期条件である。この初期条件とは、情報受信者の準安定性である。その受信者が技術的存在であっても生命個体であってもそれは同様である。この意味での情報形成過程を「第一次情報形成過程」と名付けることができる。
 データあるいはメッセージとしての情報形成の前提として、そのように伝達可能な形式を備えた情報を情報として受容するだけの安定性を備えた「場所」が必要です。その場所は、技術的に生産された受容体でも生物個体でもありえます。一言で言えば、情報はそれを受け入れる場所において情報という形に成るのです。






















































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