内的自己対話-川の畔のささめごと

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生命体の個体化 ― ジルベール・シモンドンを読む(79)

2016-05-26 02:16:33 | 哲学

 今日からILFIの第二部「生命体の個体化」(« L’individuation des êtres vivants »)を読み始めるが、テキストを引用しながらの本文に密着した読解に先立って、第二部の鍵概念について差し当たりの見通しを立てておこう。
 第二部は二つの章から成り、それぞれの章がさらに二節に分かれ、それぞれの節は二項から五項に分けられている。章・節・項のいずれにもタイトルが付けられているが、二つの章のタイトルは、それぞれ « Information et ontogénèse : l’individuation vitale » « Individuation et information » となっており、「個体化」(« individuation »)と「形成」(« information ») とが中心概念であることがわかる。前者は、同著全体の主題であるのだから、それが章節の見出しにもしばしば現われることには何の不思議もないし、後者もまた同書のタイトルに含まれている語であるから、それに重要な意味が与えられていることは容易に想像がつく。
 シモンドンにおける « information » 概念は、« individuation » 概念との関係でそれがどのような意味で使われているのか理解することではじめて、そのシモンドン固有の意味を捉えることができる。しかし、この概念の多義性さらにはその曖昧さがシモンドンの哲学の理解を困難なものにしているという批判もあることを念頭に置いてテキストを読んでいく必要がある。
 他にももちろん重要な論点が第二部に含まれていることは言うまでもないが、今回の連載では、生命レベルにおける « information » 概念と « individuation » 概念との関係に特に留意して読んでいくことにする。





























































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