内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

両立不可能なもの同士が問題解決システムとして組織化されるとき ― ジルベール・シモンドンを読む(39

2016-03-29 06:13:05 | 哲学

 昨日読み始めた « information » についての段落の続きを読みましょう。この段落の内容は、今日のようないわゆる高度情報化社会に生きる私たちにとってきわめて示唆的に富んでいます。この本の主要部分が博士論文として提出されたのが1958年のことです。徹底した改革的思考が有している卓越した先見性の一つの輝かしい例証と言うことができるでしょう。

l’information est donc une amorce d’individuation, une exigence d’individuation, elle n’est jamais chose donnée ; il n’y a pas d’unité et d’identité de l’information, car l’information n’est pas un terme ; elle suppose tension d’un système d’être ; elle ne peut être qu’inhérente à une problématique ; l’information est ce par quoi l’incompatibilité du système non résolu devient dimension organisatrice dans la résolution ;

情報(化)とは、それゆえ、一つの個体化(過程)の端緒であり、「個体化の要求」である。それはけっして与えられたもの(データ)ではない。情報(化)のユニットもアイデンティティもない。なぜなら、それは(最初から数えられる)ひとつの「項」ではないからだ。情報(化)は、存在の或る一つのシステムの緊張(状態)を前提とする。それは、ある問題群(あるいは問題性)にのみ内在しうるものである。情報(化)は、それによって未解決なシステムの両立不可能性が解決(過程)の中で組織を形成する次元となることである。

 情報の発生と個体の発生は同時的です。個体が発生するところに、そしてそれが生きようとするかぎり、個体と環境との間、個体と社会のと間、個体同士になんらかのコミュニケーションが必要とされるようになるからです。情報(化)とは、個体化過程以前からそれとして在る、いわゆるデータ(与えらたもの)ではありません。常に同一的な単位として取り扱えるものでもありません。関係あるいはシステム形成以前に、それを構成する項として先在するものではないのです。解決しなければならない或る問題群(問題性)があるところにしか情報は生まれないのです。そのままでは解消不可能な緊張状態がその状態を構成する要素(個体)間の両立不可能性として問題化され、かつその問題を解決しようとする志向性がそこに発生するとき、情報が生成するのです。























































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